動物用医薬品等に関する畜水産食品の安全性確保に係る研究

文献情報

文献番号
200837026A
報告書区分
総括
研究課題名
動物用医薬品等に関する畜水産食品の安全性確保に係る研究
課題番号
H19-食品・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
三森 国敏(国立大学法人 東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 動物生命科学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 渋谷 淳(国立大学法人 東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 動物生命科学部門)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 九郎丸 正道(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医解剖学教室)
  • 古濱 和久(国立大学法人 岩手大学 獣医薬理学・毒性学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物用医薬品OX、DC及びPBOの肝発がん機序解明、動物用キロノン薬のGFLXの血糖異常の機作解明、と畜場における背根神経節の脊柱からの完全除去法の確立を目的とした。
研究方法
OX、DC、PBOについては、酸化ストレスでの発がん機序解明のためにラットやマウスを用いて分子病理学的解析を、PBOではさらにメチル化解析及びin vivo変異原性試験を行った。GFLXはラットへの経口投与による臨床病理学的検索を行った。牛の脊柱からの背根神経節の除去率を調べた。
結果と考察
OXのプロモーション過程には,メラトニン併用投与での前がん病変の抑制の結果から、OX代謝過程での酸化的ストレスの関与が示唆された。さらに腫瘍性病変内ではそのストレスは回避され、細胞増殖活性の亢進と共に腫瘍形成に重要な役割を果たしていることが示された。DCの肝発がんプロモーション閾値は750 と1500 ppmの間にあることが示された。マウスの肝二段階発がんモデルにおいて、PBOの発がんにより発がんプロモーション26週目における非がん部位でのゲノムのメチレーションの網羅的解析を行った結果、31個の高メチル化状態を示すプロモーター断片と115個の低メチル化断片を得た。PBOにはin vivo変異原性は無く、遺伝子障害の関与の可能性は低いと考えられた。GFLXは反復投与により、血糖異常が見られ、その原因は膵への高い移行性と KATP チャネル阻害によると考えられた。背根神経節の脊柱からの除去率は、平均87%であった。
結論
OXの肝発がんプロモーション作用には活性酸素種の増加が関与し、その肝腫瘍誘発には、酸化的ストレスからの回避及び細胞増殖亢進が示唆された。DCの発がんプロモーションの閾値は750 ppmより高かった。PBOによる発がんプロモーション過程で、転写を含む発現調節に変調をきたしている遺伝子群の存在している可能性が示された。PBOは、遺伝子障害による発がんリスクは低いと考えられた。GFLXは、膵インスリン貯蔵の予備能の違いが、血糖低下と上昇の相反する病態に繋がると思われる。牛脊柱の有効利用には、と畜場での背根神経節の除去技術改良が必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-23
更新日
-