救急救命士が行う業務の質の向上に資する研究

文献情報

文献番号
202122037A
報告書区分
総括
研究課題名
救急救命士が行う業務の質の向上に資する研究
課題番号
21IA1012
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学 医学部 救急医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 畑中 哲生(救急振興財団 救急救命九州研修所)
  • 田邉 晴山(財団法人救急振興財団救急救命東京研修所 )
  • 水野 浩利(札幌医科大学医学部救急医学講座)
  • 安田 康晴(広島国際大学 保健医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成3年より運用されている救急救命士制度において、医学、医療の絶え間ない進歩・発展にともない救急救命処置の範囲についてもその状況に応じて適切に見直す必要があるなかで、厚生労働省の予算事業「救急救命処置検討委員会」において追加の検証が必要と評価された項目について、消防本部の協力を得ながら会議形式での議論、実態調査、前向き観察研究などにより課題の解決を行うことを目的として研究を行った。
研究方法
①心肺停止を対象とした「自動式人工呼吸器による人工呼吸」について、救急救命処置として追加するにあたっての指示要件:後の検討に向けて救急救命士による人工呼吸器の使用に関する厚生労働省の定めた規定、救急隊による人工呼吸器の使用に関する消防庁の規定の状況を整理した。
②「乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液」、「エピネフリンの投与」、「食道閉鎖式エアウエイ、ラリンゲアルマスクによる気道確保」について、特定行為の指定を解除するにあたっての、包括指示下で実施可能な範囲と具体的指示を必要とする範囲等と求められるMC体制:検討にあたって、具体的指示要請に対して医師が介入した事例について調査を行うこととして1消防機関でのパイロット調査を行った。次年度に対象消防機関を拡大しての調査を行う方針とした。
③救急救命処置(特定行為)として「アナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内投与」を追加するにあたっての、アナフィラキシーの判断基準、投与対象、必要な手順、ヒューマンエラーの防止策、必要な講習等の詳細の提示:実際のアドレナリン投与は行わない形で、救急救命士によるアナフィラキシーの病態判断、およびアドレナリンの適応判断に関する精度についての前向き観察研究を実施することとし、実証研究のデザイン、アナフィラキシーとアドレナリン投与の適応の判断基準等について検討した。
④「特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持」の見直し:在宅療法継続中の傷病者の気管切開チューブ事故抜去事例に対するチューブの再挿入に関しての実際のプロトコール作成を念頭においた課題の抽出、平成4年の救急救命処置検討委員会報告書の見直しに向けた現況の把握と課題の抽出を行った。
結果と考察
②当該処置に関して具体的指示要請に対する医師が介入した事例についての調査結果は先行研究と同様の傾向がみられ、次年度に対象消防機関を拡大しての調査を行う方針とした。③アナフィラキシーの病態判断およびアドレナリンの適応判断に関する精度についての前向き観察研究においては、研究参加者の実業務への支障を最低限とすることや医療安全上の問題など研究遂行上の課題が指摘されており、解決を図り実証研究を実施する予定である。①自動式人工呼吸器による人工呼吸、④特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持の見直しについても検討を継続する。
結論
以上の研究結果より、救急救命処置検討委員会において実施検証が必要と評価された項目について本研究で検討し、知見の収集や実証実験の結果をふまえて、厚生労働省の定める「救急救命処置の範囲」を医療の進歩に応じたものに更新することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2022-10-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,200,000円
(2)補助金確定額
3,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 316,608円
人件費・謝金 391,558円
旅費 0円
その他 1,753,834円
間接経費 738,000円
合計 3,200,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-10-18
更新日
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