重金属等を含む食品の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200837023A
報告書区分
総括
研究課題名
重金属等を含む食品の安全性に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
香山 不二雄(自治医科大学 地域医療学センター 環境医学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 堀口 兵剛(自治医科大学 地域医療学センター 環境医学部門)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻疫学保健学講座社会予防疫学分野)
  • 中井 里史(横浜国立大学大学院環境情報研究院環境疫学)
  • 吉田 貴彦(旭川医科大学健康科学講座環境保健)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)カドミウム経口曝露の健康リスク評価のために、カドミウム曝露の高い農家女性の5年後の追跡調査を実施し、近年のこの集団に健康影響が出ているか調査した。
2)海産物からの砒素および水銀の摂取量評価のために農家女性、漁協女性、10歳児の食事調査を行い、海産物摂取量と生体試料中砒素および水銀との関係を調べた。
3)ワラビ中に含まれる発癌物質プタキロサイドが調理による減衰を調べ、ワラビ摂取が発がんリスクを検討した。
研究方法
1)平成15,16年度に調査を実施した曝露の高い地域Fの追跡対象被験者の平成20年にそのコホート集団を対象に追跡調査を行い、現在の国内で最も高い曝露がつい最近まであった集団のCd曝露の健康影響に関して検討を行った。
2)重金属摂取量に焦点を当てた食事歴質問票を用いて、農家女性125人、漁協女性202人、10歳小児232人の食品摂取量を得た。また、尿、血液、毛髪を採取し、食事調査による曝露指標と生体内負荷量を比較した。
3)ワラビを採取し、湿重量100g、15検体を作成した。①重曹灰汁抜き群、②重曹灰汁抜き後、塩漬け+塩抜群、③生を、凍結乾燥、粉砕、メタノール抽出、濃縮し、高速液体クロマトグラフィーで、測定した。
結果と考察
1)地域 Fは平均血中・尿中カドミウム濃度が高く、50歳代以上は地域Eよりも有意に高い。尿中α-1ミクログロブリン濃度、尿中β-2ミクログロブリン濃度は、対照地域G&Hと比べ70歳代では有意に、上昇していた。この地域の過去のカドミウム曝露レベルは腎機能に対して大きな影響があると考えられる。
2)毛髪中総水銀濃度を、旭川の10歳の小児の幾何平均値は、1.41ng/mgと千葉県漁協女性では4.64ng/mgであり、毛髪中水銀濃度は千葉県漁協関係者が約3倍程度と高いことが明らかとなった。
3)ワラビ生鮮物のPT含有量は105.2mg/kgであったのに対し、塩漬け+塩抜きは3.4mg/kgと約96.8%減少、また重曹でのあく抜きを行ったワラビは0.2mg/kgと約99.8%減少した。
結論
1)明らかなカドミウム腎症(尿中β2MGが10,000micro-g/gクレアチニン以上)をエンドポイントとすると、米中Cd濃度基準値は0.4 ppmで妥当である。
2)JECFAが妊婦に対して定めたNOAELが毛髪中14ng/mgを超える被験者が201名中5名のみいた。この地域では妊婦に対する指導は必要である。
3)ワラビ中のプタキロサイドは、生鮮物と比較し、塩漬け+塩抜き、または重曹であく抜きを行った試料中には、ほとんど含有していないことが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-10-05
更新日
-