医療機関の医療安全の連携の現状把握及び促進する手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
202122026A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関の医療安全の連携の現状把握及び促進する手法の開発に関する研究
課題番号
21IA1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 修平(公益社団法人全日本病院協会)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 庸次(公益社団法人全日本病院協会)
  • 西澤 寛俊(公益社団法人全日本病院協会)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
  • 小谷野 圭子(公益財団法人東京都医療保健協会 練馬総合病院 質保証室)
  • 藤田 茂(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
  • 大西 遼(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,568,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全を確保するには、医療安全管理担当者の養成・配置のみでなく、望ましい院内体制、活動内容を明らかにし、その達成状況を、適宜、実態を把握し、改善する必要がある。医療安全管理体制相互評価(以後 相互評価)は、医療機関相互の連携を促進し、特に大規模の急性期病院が、資源の限られた小規模、慢性期などの病院を指導、協力することにより、地域全体の医療安全の向上を図る方法として注目されている。既に、相互評価のための点検表は複数公表され、相互評価を想定した研修も全日本病院協会が実施している。本研究では、医療安全管理体制、相互評価の実施状況を把握するとともに、相互評価に係る課題を抽出し、全日本病院協会の相互評価のための研修プログラムを改善し、標準的研修プログラムとして実際に実施することにより、効果を実証することを目的とした。
研究方法
令和3年度はCOVID-19の感染拡大と政府の緊急事態宣言の発出等により、研究計画の一部変更を余儀なくされたが、調査は当初計画通りに完了した。まず、相互評価の点検表と教育プログラムの現況調査のため、国立病院機構、労働者健康安全機構、国立大学病院長会議、私立医科大学協会、南大阪医療安全ネットワーク(ベルランド総合病院)に、対面とオンラインを併用し、インタビュー調査を実施した。次に、全国の病院から病床規模で層化抽出した3,166病院を対象に、郵送法によるアンケート調査を令和4年1月7日発送、1月28日回収という日程で実施した。また同日程で、全日本病院協会の医療安全管理相互評価研修プログラム受講者391名に対して、研修内容の評価、改善点等について質問項目を設定、アンケート調査を実施した。
結果と考察
相互評価の点検表と教育プログラムについてのインタビュー調査では、評価者研修を行っている団体はなく、評価基準や評価方法の標準化、総合的質の確保が課題であると考えられた。各団体が重点項目の評価を重視する傾向にある中で、医療安全体制に関わる基礎的な部分の標準的評価項目と評価方法(評価者の研修等)の確立が必要であることが示唆された。
全国の病院を対象としたアンケート調査の有効回答率は20.7%(654/3,166)であった。約8割の病院が同じまたは隣接する市区町村の開設主体が異なる医療機関と相互評価を実施しており、常設の相互評価実施のための部署を設置している。研修受講者を対象としたアンケート調査の有効回答率は40.9%(160/391)であった。約9割の受講者が研修内容に満足していた。
結論
相互評価は、他院を相互に評価することであるが、評価の前提として、医療安全管理相互評価体制構築が必須である。
標準的な評価項目、評価方法、評価基準、評価者の資質の均てん化が必須である。
全日本病院協会の標準的相互評価点検表とテキストを用いた研修会を実施している。しかし、標準的ということなので、広範囲に展開する必要がある。また、点検表、テキスト、研修内容と方法の再検討は、今後の課題である。
全日本病院協会が実施する研修会(特に、質向上・安全管理・情報管理)は、1-2日間のコースが多いが、短時間の研修に参加するだけでは概要の理解はできるが、それだけでは、実務に適用することは困難である。特に、演習を多く活用しているのは、利活用を目的にするからである。したがって、1回の研修会だけではなく、継続研修が必要である。安全管理者養成講習会と同様の、標準的研修プログラム(一定の内容・時間)、標準的教材(PPT,テキスト)を制度化する必要がある。
地域における相互評価を実施して、顔の見える関係が強化されたため、COVID-19蔓延下での情報共有と相互支援が円滑にできたことは予期しない副次的効果として特筆できる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,568,000円
(2)補助金確定額
5,568,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,694,132円
人件費・謝金 848,000円
旅費 489,120円
その他 2,537,114円
間接経費 0円
合計 5,568,366円

備考

備考
自己資金額366円

公開日・更新日

公開日
2022-12-08
更新日
-