食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200837018A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部 )
  • 杉山英男(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
トータルダイエット試料を用いて各汚染物の摂取量を推定して健康リスクを評価するとともに,長期間継続することにより及び経年的な傾向を把握することを目的とした.また,多数の食品の分析データを収集することにより食品全体の汚染状況を評価した.硝酸塩については摂取量低減の方策を探るために,野菜中の実態を調査すると共に文献調査を実施した.同一の対象について摂取量評価方法が異なる場合の結果の変動についての検討も目的とした.
研究方法
全国10カ所で調製したトータルダイエット試料を調製し,試料中の有害金属,塩素系農薬,有機リン系農薬,PCB並びに放射性元素の濃度を測定して,1日当たりの摂取量を推定した.全国45カ所での食品中汚染物検査データ59万件を収集し,食品中の汚染物の検出率,複数の汚染物による汚染状況を明らかにした.野菜中の硝酸塩濃度の季節変動を評価しADIを越える摂取の原因を検討した.異なる摂取量評価手法を用いたトランス脂肪酸摂取量推定値を比較した.
結果と考察
有機塩素系農薬,PCBの摂取量は非常に少なかったが,鉛・カドミウム等の金属はTDIの数十%程度の摂取量であった.調査結果の信頼性を確保するためには,LQの設定を実際の汚染状況を勘案してある限度以下に統一する必要性があると考えられた.放射性核種の1日摂取量ならびに公衆への被ばくへ線量は小さいが,40Kと210Poの寄与が大きく,特に210Poの寄与は世界平均を上回った.我が国ではホウレン草中の硝酸塩濃度が夏季に非常に高くなり,ADIを越える摂取の大きな原因となっていた.摂取量推定方法によりその結果には差があった.調査対象を高濃度に含む特定の食品がある場合には,試料の選択が結果に大きく影響した.
結論
汚染物摂取量は,概ね例年通りであり,摂取量が上昇傾向にある汚染物は見られなかった.放射性核種の摂取量は懸念されるレベルではないが,210Poについての精密な暴露評価が必要である.ADI を超過する硝酸塩摂取低下のためには,特にホウレン草中の硝酸塩濃度低減策が需要である.摂取量推定法により結果に差があることから,目的に応じてTDS以外の方法の導入が必要と考えられた.

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-