看護師学校養成所2年課程(通信制)の入学要件等の見直しによる影響の評価

文献情報

文献番号
202122023A
報告書区分
総括
研究課題名
看護師学校養成所2年課程(通信制)の入学要件等の見直しによる影響の評価
課題番号
20IA2007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
奥 裕美(聖路加国際大学 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小山田 恭子(聖路加国際大学 大学院看護学研究科)
  • 三浦 友理子(聖路加国際大学大学院看護学研究科)
  • 相澤 恵子(聖路加国際大学大学院看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
1,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成 30(2018)年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則 (以下、省令)の改正で見直された、看護師養成所2年課程(通信制)への入学要件としての准看護師業務経験年数の変化が、入学者及び教育体制等に与えた影響を評価し、さらなる入学要件の改正や、教育体制の充実に向けた施策を検討するための基礎資料を提供することを目的として実施した。令和2‐3年度に行う2年計画の研究の2年目である。
研究方法
<令和2年度>
通信制の専任教員と学生を対象に調査票を用いた量的横断的調査を行った。
<令和3年度>
量的調査の結果を解釈し、①本当に業務経験の短縮は学習レディネス・学習状況に影響しないのか、②省令変更後の教育体制の変化の実際、③通信制の学習内容の保証のために必要な施策等について、教員26名にインタビューを実施した。
結果と考察
①「保持する技術力に明確な違いはない」、「業務経験年数による成績差は明確ではなく、その他の要素が存在する」という一方、「患者とのコミュニケーションや実践力」や「社会人基礎力」に課題があるという意見もあった。また、若い学生が増え「出産・子育てを経験する学生の支援の必要性が増している」、全体としての年齢幅が増し「学生の多様性がさらに増してい(る)」た。②省令改正に対応するための教員増について、改正前から基準以上の配置が合った場合は「変化はな(し)」かった。増員した教育機関でも「将来にわたる安定確保は困難」であると指摘していた。対面授業についても改正前から規定以上に実施していた場合は「実質的な時間増がな(い)」かった。改正後に増加した場合「時間増による効果の認識」があった。学年定員が多く、働きながら学ぶ学生が多い通信制での対面授業数の増加により、場所と機会の確保に大きな負担があったが、COVID-19の感染拡大によるICT活用の推進はそれを一部緩和した。一方、教育機関、教員、学生のICT機器の準備や技術の習得には課題もあった。③「入学要件としての業務経験年数、経験内容のより明確な確認の必要性」を規定することが指摘された。
結論
混合研究法(説明的順次デザイン explanatory sequential design)にて実施した。令和2年度に通信制の学生・教員に対して量的横断的調査を実施し、量的データのみでは理解や説明が困難な部分について詳細に説明することを目的として、令和3年度に教員を対象とした半構造的インタビューを実施した(下図参照)。研究は概ね予定通りに実施することができた。

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202122023B
報告書区分
総合
研究課題名
看護師学校養成所2年課程(通信制)の入学要件等の見直しによる影響の評価
課題番号
20IA2007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
奥 裕美(聖路加国際大学 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小山田 恭子(聖路加国際大学 大学院看護学研究科)
  • 三浦 友理子(聖路加国際大学大学院看護学研究科)
  • 相澤 恵子(聖路加国際大学大学院看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成 30(2018)年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則 (以下、省令)の改正で見直された、看護師養成所2年課程(通信制)への入学要件 としての准看護師業務経験年数の変化が、入学者及び教育体制等に与えた影響を評価し、さらなる入学要件の改正や、教育体制の充実に向けた施策を検討するための基礎資料を提供することを目的として実施した。
研究方法
混合研究法(説明的順次デザイン explanatory sequential design)にて実施した。令和2年度に通信制の学生・教員に対して量的横断的調査を実施し、量的データのみでは理解や説明が困難な部分について詳細に説明することを目的として、令和3年度に教員を対象とした半構造的インタビューを実施した(下図参照)。研究は概ね予定通りに実施することができた。一連の研究は聖路加国際大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号20-A052)。
結果と考察
<令和2年度>
通信制の①専任教員と②学生を対象に調査票を用いた横断的調査を行った。改正前後の比較のため平成27年に行った同様の調査(井部,2015)で使用した項目を参考に作成した調査票を使用した。①71件を分析対象とした(有効回答率95.9%)。所属機関での准看護師就業年数10年未満の学生割合は31-50%というものが40.8%と最も多く、49.3%が「改正後経験年数が短い学生が増えた」とする一方「一時的に増加したがその後はさほど変わりがない(26.8%)」とするものもあった。改正以降78.6%が「教育方法・体制等に変化があった」と認識し、入学要件の就業年数をさらに短縮する場合には「見学実習受け入れ施設の充実(47.9%)」「教員の教育力(43.7%)」「国家試験対策(42.3%)」等に対策が「とても必要」と回答した。②956件を分析対象とした(有効回答率78.4%)。94.5%が准看護師として就業しながら学習しており、通信制への進学理由は「働きながら学ぶことができるから」55.6%、「入学に必要な業務経験年数が7年に短縮されたから」13.6%であった。通信制への入学要件としての就業年数は7年が適切とするものが最も多く33.7%、5年が32.8%、10年とするものも24.4%あった。
 これらの結果をうけ、省令施行後3年を目途に求められている見直しに向けた検討を行うという本研究の目的を踏まえ、2015年度調査結果との比較、そして省令改正前後の比較について質問した項目に注目して結果を解釈し、詳細に確認することが必要であるという点を3点にまとめた。
<令和3年度>
量的調査の結果を解釈した3点、①本当に業務経験の短縮は学習レディネス・学習状況に影響しないのか、②省令変更後の教育体制の変化の実際、③通信制の学習内容の保証のために必要な施策等について、教員26名にインタビューを実施した。①「保持する技術力に明確な違いはない」、「業務経験年数による成績差は明確ではなく、その他の要素が存在する」という一方、「患者とのコミュニケーションや実践力」や「社会人基礎力」に課題があるという意見もあった。また、若い学生が増え「出産・子育てを経験する学生の支援の必要性が増している」、全体としての年齢幅が増し「学生の多様性がさらに増してい(る)」た。②省令改正に対応するための教員増について、改正前から基準以上の配置が合った場合は「変化はな(し)」かった。増員した教育機関でも「将来にわたる安定確保は困難」であると指摘していた。対面授業についても改正前から規定以上に実施していた場合は「実質的な時間増がな(い)」かった。改正後に増加した場合「時間増による効果の認識」があった。学年定員が多く、働きながら学ぶ学生が多い通信制での対面授業数の増加により、場所と機会の確保に大きな負担があったが、COVID-19の感染拡大によるICT活用の推進はそれを一部緩和した。一方、教育機関、教員、学生のICT機器の準備や技術の習得には課題もあった。③「入学要件としての業務経験年数、経験内容のより明確な確認の必要性」を規定することが指摘された。

結論
平成 30(2018)年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下、省令)改正時、本省令は「施行後3年を目途に入学者の動向、今後の教育の内容の見直しの状況等を勘案し、入学要件における就業経験年数を5年以上とすることを含めて検討すること」そして「その結果に基づいて、 必要な見直しを行うことと」付記されていた。本調査の結果は、看護師養成所2年課程(通信制)への入学要件としての准看護師業務経験年数の変化が、入学者及び教育体制等に与えた影響を評価し、さらなる入学要件の改正や、教育体制の充実に向けた施策を検討するための基礎資料となる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
2023-07-20

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202122023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)看護師学校養成所2年課程(通信制)の学生、教員の現状について、概観する情報を収集したた。(2)(1)にて収集した量的データのみでは理解や説明が困難な部分について、詳細に説明することを目的とし2021年度にインタビュー調査を実施する。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
本調査結果および、2021年度に実施するインタビュー調査の結果を合わせ、平成30(2018)年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下、省令)の改正で見直された、看護師養成所2年課程(通信制)への入学要件としての准看護師業務経験年数の変化が、入学者及び教育体制等に与えた影響を評価し、さらなる入学要件の改正や、教育体制の充実に向けた施策を検討するための基礎資料を提供する。
その他のインパクト
看護師学校養成所2年課程(通信制)についての全国的な調査は他にはなく、当該教育機関の現状の一端を知る唯一の調査として貴重である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
202122023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,400,000円
(2)補助金確定額
1,398,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,002,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 48,762円
人件費・謝金 121,175円
旅費 0円
その他 675,694円
間接経費 553,000円
合計 1,398,631円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-12-01
更新日
-