患者ニーズを踏まえた美容医療に関する調査と課題整理のための研究

文献情報

文献番号
202122018A
報告書区分
総括
研究課題名
患者ニーズを踏まえた美容医療に関する調査と課題整理のための研究
課題番号
20IA1014
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 定伯(医療法人 城内会)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
  • 山内 英子(聖路加国際大学 聖路加国際病院 ブレストセンター 乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳房再建手術を受けた患者が、医療機関からどのような説明を受け、どのようなことで悩み、どのようなフォローアップを受けているか、その情報に地域差や医療機関差があるのかといった美容医療の実情については明らかになっていない。そこで、そこでの現状を明らかにすることを目的に、乳房切除後に再建手術を経験した患者さんの現状やニーズなどを把握するためのアンケート調査票、並びに、WEBアンケート調査システムを構築、WEBパネルを利用した調査を実施した。
研究方法
乳房再建手術を受けた患者が、医療機関からどのような説明を受け、どのようなことで悩み、どのようなフォローアップを受けているか、その情報に地域差や医療機関差があるのかといった美容医療の実情については明らかになっていない現状を踏まえ、令和2年度に構築したアンケート調査票をもとに2022年2月25日から3月2日までで、WEBアンケート調査を実施した。調査票は、患者、並びに乳房再建手術を実施している医療者の助言をもとに作成した。
対象は、「再建手術をうけた経験がある患者」とし、乳がん患者、がん未発症の乳房再建手術経験者を想定する。「乳がんの診断をうけたことがある人で、乳房切除手術(温存手術、全摘手術、予防的切除など)ならびに乳房再建手術をうけたことがある18歳以上の女性50人を対象に行ったこの結果、プール対象者は全国全般にわたっており全国調査としての性格をもたせた。
結果と考察
今回の結果から、乳房再建手術などの実施医療機関においても類似の満足度調査を行うとともに、情報の渡し方について標準化するための教育プログラムの立案などが必要であると考えられる。今後は、当該オンラインシステムなどを活用した満足度調査を継続し、患者が安全、安心して美容医療を受けることができる環境づくりが必要とされる。今後は、今回抽出された課題を中心により多くの数の調査が必要と思われた。
今回の調査期間中COVID-19禍で乳がんに対して予防的切除や自家組織再建に手術実行について手術室・病院が使用不可能であったため影響を受けた可能性があること、乳房インプラントを受けた患者では、乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫(BIA-ALCL, Abreast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma)の懸念もあり、自由診療で追加治療(手術)を受けた方もおられるためfollow- upを検討していく必要があり、登録システムの設置が必要となってくること、患者の価値観に沿って家族を含めた意思決定支援及びチーム医療が重要であることが推察された。
結論
今後も本研究班の構成員で、Ⅳ期の再建問題、SNSの取り扱い、自由診療の範疇となる対側乳房の問題など引き続き研究を続ける必要がある。理由として美容医療(自由診療)の方々はその中で確立してしまっており、一部が保険、一部が自由診療の混在した領域は乳房・乳がんの領域で本研究内容の拡大充実しかないと判断されるためであり、更に、乳房/乳がんの世界で美容に対する考え方を示さなければ、他領域で完遂することは難しいと思われる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202122018B
報告書区分
総合
研究課題名
患者ニーズを踏まえた美容医療に関する調査と課題整理のための研究
課題番号
20IA1014
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 定伯(医療法人 城内会)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
  • 山内 英子(聖路加国際大学 聖路加国際病院 ブレストセンター 乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
美容医療における有害事象については、正確な実態把握が困難である。本研究では、患者側からのニーズを踏まえた美容医療に関する課題整理のために、美容医療と同様な材料・手技を用いて乳房再建された乳がん患者を対象として行う調査について、その方法の妥当性について検討を行う
令和3年度に、乳房切除後に再建手術を経験した患者さんの現状やニーズなどを把握するためのアンケート調査票、並びに、WEBアンケート調査システムを構築、WEBパネルを利用した調査を実施した。
研究方法
乳房再建手術を受けた患者が、医療機関からどのような説明を受け、どのようなことで悩み、どのようなフォローアップを受けているか、その情報に地域差や医療機関差があるのかといった美容医療の実情については明らかになっていない現状を踏まえ、令和2年度に構築したアンケート調査票をもとに2022年2月25日から3月2日までで、WEBアンケート調査を実施した。調査票は、患者、並びに乳房再建手術を実施している医療者の助言をもとに作成した。
対象は、「再建手術をうけた経験がある患者」とし、乳がん患者、がん未発症の乳房再建手術経験者を想定する。「乳がんの診断をうけたことがある人で、乳房切除手術(温存手術、全摘手術、予防的切除など)ならびに乳房再建手術をうけたことがある18歳以上の女性50人を対象に行ったこの結果、プール対象者は全国全般にわたっており全国調査としての性格をもたせた。
結果と考察
再建については自家組織者(皮弁(20名)、自家脂肪移植(15名))または異物(インプラント)(23名)使用者共に全国にわたっている(SC10)。また脂肪注入について保険適用についての質問には、おそらく皮弁自家組織再建と同維持に「無償」で提供されていると考えられる(SC11-2-4)。乳がん病期Ⅳ期患者ではガイドライン上では適応外となっている。本結果は50名のアンケート結果からの解析である。
美容医療に関わるアンケート調査は信頼性と妥当性、再現性が、わが国における患者意識・行動様式とも相まって実現困難であった。
 今回 美容医療でも用いられる手技・材料に極めて近似または同一のもので「再建」された乳房再建患者に対して、個人情報保護など秘匿性を担保しつつ、実臨床に即した実態を調査開始した。今後の乳房再建と美容医療に関わる課題抽出に繋がると思われる。
今回の結果から、乳房再建手術などの実施医療機関においても類似の満足度調査を行うとともに、情報の渡し方について標準化するための教育プログラムの立案などが必要であると考えられる。今後は、当該オンラインシステムなどを活用した満足度調査を継続し、患者が安全、安心して美容医療を受けることができる環境づくりが必要とされる。今後は、今回抽出された課題を中心により多くの数の調査が必要と思われた。
今回得られる結果は患者会の参加のもと日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャーリー学会などで成果発表し、患者、医療者、医療機関など当事者へ広く普及予定である。
 今回の調査期間中COVID-19禍で乳がんに対して予防的切除や自家組織再建に手術実行について手術室・病院が使用不可能であったため影響を受けた可能性があること、乳房インプラントを受けた患者では、乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫(BIA-ALCL, Abreast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma)の懸念もあり、自由診療で追加治療(手術)を受けた方もおられるためfollow- upを検討していく必要があり、登録システムの設置が必要となってくること、患者の価値観に沿って家族を含めた意思決定支援及びチーム医療が重要であることが推察された。
結論
美容医療に関わる真の課題を患者参加のもと、横断的専門家間での臨床研究の端緒が始まり、今後の本領域での問題点の抽出と課題克服の方法・方策を検討し、当事者・国民に普及・啓発することが重要と考えられた。
今後も本研究班の構成員で、Ⅳ期の再建問題、SNSの取り扱い、自由診療の範疇となる対側乳房の問題など引き続き研究を続ける必要がある。理由として美容医療(自由診療)の方々はその中で確立してしまっており、一部が保険、一部が自由診療の混在した領域は乳房・乳がんの領域で本研究内容の拡大充実しかないと判断されるためであり、更に、乳房/乳がんの世界で美容に対する考え方を示さなければ、他領域で完遂することは難しいと思われる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202122018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本結果は50名のアンケート解析であり、乳がんⅣ期の再建、SNSの取り扱い、対側乳房整容的改善(美容と同様の自由診療)について検討した。美容医療の従事者・患者はその枠内で確立するが、一部が保険診療、一部が自由診療の混在した領域は乳房・乳がんの領域のみであると判断された。乳房/乳がん領域で美容に対する考え方を決定することが重要思われる。本研究は政策的なアンケートであり、今後もこの枠組みで研究を継続することが重要であると思われ保険適応まで進めることが重要であると判断された。
臨床的観点からの成果
乳がん再建患者が、どのような説明を受け、どのようなことで悩み・フォローアップを受けているか、詳細は美容医療同様実情について不明な現状を踏まえ、乳房切除手術(温存手術、全摘手術、予防的切除など)ならびに乳房再建手術後の18歳以上の女性50人のwebアンケートでは、自家組織者(皮弁(20名)、自家脂肪移植(15名))または異物(インプラント=美容医療同様材料)(23名)使用者であった。また脂肪注入について保険適応については、おそらく皮弁自家組織再建と同時に無償で提供されていると推察された。
ガイドライン等の開発
本研究はwebアンケートを用いた端緒的研究であり、美容医療で用いられるインプラントを含む乳ガン切除後再建患者への初めてのアンケートで調査であった。本研究で得られた、Ⅳ期の再建は既存ガイドラインでは推奨されていないが、現状は実施しており、患者など当事者意向を踏まえそれらにきめ細かく対応するガイドラインの作成が必要である。また、SNS、対側乳房整容改善など美容医療と関連する不確定情報に対する対処方法について医療者・患者当事者で正しく理解し活用する方法の開発とガイドラインでの作成が必要である。
その他行政的観点からの成果
美容医療とインプラント材料など共通の乳がん再建患者での意識調査を実施し、unmet needs、hidden agenda を初めて描出し行政提案した。乳がん再建のような、一部が保険診療、一部が自由診療の混在した領域は重要であり、乳房/乳がん領域で美容に対する考え方を示し、他領域まで拡大し行政提案する必要がある。本研究骨子は、保険医療の根幹にも寄与する政策的なアンケート調査であり、今後調査対象者数を増加し、乳ガン、再建、患者会で構成される本研究班を継続しつつ保険適応まで展望する。
その他のインパクト
患者側の意識と医療施設の判断は異なる事もあり、特に、美容医療は自由診療のため、正確・詳細は調査はなされていない。ガン患者の意識と対比しつつunmet needs、hidden agenda を描出した。本結果要旨は日本オンコプラスティックサージャリー学会、日本乳癌学会、日本形成外科学会などで発表予定である。また研究代表者は日本形成外科学会ガイドライン委員会作成作成中の「患者さんのための乳房再建ガイドブック」の評価委員に委嘱されており、本研究班結果を反映する予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
日本血管腫・血管奇形学会共同開催市民公開講座 講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-06-24
更新日
2024-05-28

収支報告書

文献番号
202122018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,700,000円
(2)補助金確定額
1,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 881,932円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 719,272円
間接経費 100,000円
合計 1,701,204円

備考

備考
自己資金1,204円のため

公開日・更新日

公開日
2022-12-01
更新日
-