横断的課題に広く対応し医療ICT基盤上で活用される診療ガイドラインの作成・編集・導入を推進するための研究

文献情報

文献番号
202122016A
報告書区分
総括
研究課題名
横断的課題に広く対応し医療ICT基盤上で活用される診療ガイドラインの作成・編集・導入を推進するための研究
課題番号
20IA1012
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
福岡 敏雄(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 総合診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学 医療情報システム研究センター)
  • 奥村 晃子(公益財団法人 日本医療機能評価機構 EBM医療情報部)
  • 富澤 信夫(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、横断的課題に対応し医療ICT基盤で活用される診療ガイドライン(CPG)作成推進のため、多角的な4つの取り組みを通し課題解決策を提案することと目的とした。(1)日本および諸外国のCPG作成動向調査と課題抽出(2)疾患横断領域のCPG作成方法・作成体制整備に向けた課題解決策の提案(3)ICTを活用したCPGの導入・適用に関する国内外の最新動向調査と課題抽出および試行(4)ICTを活用したCPGの導入・適用に関する現場での課題解決策および体制整備に向けた提案
研究方法
代表者と分担研究者がそれぞれの専門性や背景を活かし、それぞれの調査研究を進め、WEBを活用し定期的に情報共有しつつ研究結果をまとめた。研究代表者は、電子カルテとの連携を想定し診断をテーマとした診療支援システム(CDS)を開発し電子カルテに導入することで課題を整理した。【分担研究1(澤)】では、FHIRやAPIの国内外の動向調査を踏まえて、1)CPGコンテンツの提供方式、2)医療情報システムの標準規格をCPGへの適用の提案、3)医療情報システムへのCPG提供のシステム構成、4)医療情報システムとCPG提供のシステムとの連携様式について調査を進めた。【分担研究2(富澤)】では、横断的領域の代表として画像診断領域のCPGについて、米国、英国、カナダ、韓国のCPG調査からCPGに掲載する項目の選定過程、医療費に与える影響の評価方法、CPG普及のためのICT活用方法、ガイドライン遵守に関する評価方法などを調査し日本医学放射線学会のガイドライン委員と共に手引きとしてまとめた。【分担研究3(奥村)】として、海外の動向調査を踏まえて、Mindsガイドラインライブラリーに登録されているCPGの分類調査を進めた。
結果と考察
研究代表者の行ったCDSの開発と電子カルテへの導入のプロセスの中で、実際の電子カルテ内のデータ連係や薬剤データ管理などの課題があり、今後の連携に向け重要な示唆を得た。【分担研究1(澤)】では、1)CPGコンテンツ提供、2)CPGへの標準規格適用提案、3)医療情報システムとCPG提供のシステム構成、4)医療情報システムとCPG提供のシステムとの連携様式、の4点について、現在のテクノロジーの適用範囲で実現可能なモデルとしてFHIR+CPGデータベース+CDSエンジンのモデルを提案することで将来向かうべき方向性を示した。【分担研究2(富澤)】では、医学放射線学会の「疾患横断的課題に対応する画像診断ガイドラインの作成に向けた手引き」としてまとめた。【分担研究3(奥村)】では、CPGデータベースのマッピングを前提に作業を進めるなかで、疾患横断的なテーマ・トピックにでのCPG作成団体間で課題の共有と、連携体制を構築の重要性を明らかにした。また、英国NICE担当者とのリモートインタビュー調査によって、CPGの活用状況の継続的なモニタリングやICT活用を見据えたCPG作成ツールの利用、人材育成の重要性などを共有した。
結論
研究によって、1)CPGデータベースの充実とそれに基づくマッピングが診療を幅広くカバーする体制のために必要であること、2)横断的な分野についてはCPGの横ぐしとなる情報提供・支援体制を充実させることが必要であること、3)CPGが医療情報システムの中で活用されるためには、CPGデータベースが医療情報システム連携しCDSなどに反映される体制が望まれること、4)実際の電子カルテにCDSを組み込むためには多くの課題が残されていること、がわかった。それぞれの課題については、CPGデータベースのマッピングの推進、CPG作成支援体制や事前登録制度の拡充、医療ICT分野での医療情報の取り扱いや標準化への関与、CDSに活用できる医療情報の標準形式のあり方や現状の電子カルテ内でのデータ取扱いの改善策の提言などを継続的に行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202122016B
報告書区分
総合
研究課題名
横断的課題に広く対応し医療ICT基盤上で活用される診療ガイドラインの作成・編集・導入を推進するための研究
課題番号
20IA1012
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
福岡 敏雄(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 総合診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学 医療情報システム研究センター)
  • 奥村 晃子(公益財団法人 日本医療機能評価機構 EBM医療情報部)
  • 富澤 信夫(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)
  • 隈丸 加奈子(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、診療ガイドライン(CPG)が現場の診療フローの中で活用できるよう、個々のCPGが横断的に整えられ、今後進展が期待される医療ICT基盤で活用されるための、具体的な課題解決策を提案することを目的として、CPGの作成・編集・管理に関わるCPGデータベースの構造化や、医療現場へのCPGの提供体制や診療支援システム(CDS)に関わる医療ICTの課題を明らかにすることとした。
研究方法
代表者と分担研究者がそれぞれの専門性や背景を活かし、それぞれの調査研究を進め、WEBを活用し定期的に情報共有しつつ研究結果をまとめた。海外調査を踏まえて国内のCPGのデータ分析や横断的分類やマッピング手法を検討した。横断的な課題の作成支援や連携のあり方について調査を進め手引きを作成した。医療ICT基盤で活用されるFHIRやAPIなどの動向調査を進め、CPGなどの医療情報と医療情報システムとの連携のあり方、技術的課題について検討した。電子カルテにCDSを組み込むアドオンを開発し具体的に診断に関するCDSを電子カルテに導入することで課題を整理した。
結果と考察
CPGデータベースのマッピングを前提に作業を進めるなかで、疾患横断的なテーマ・トピックにでのCPG作成団体間で課題の共有と、連携体制を構築の重要性を明らかにした。また、英国NICE担当者とのリモートインタビュー調査によって、CPGの活用状況の継続的なモニタリングやICT活用を見据えたCPG作成ツールの利用、人材育成の重要性などを共有した。
横断的領域として画像診断領域のCPGについて、国外のCPG調査から掲載項目の選定過程、医療費への影響の評価方法、CPG普及のためのICT活用方法、ガイドライン遵守に関する評価方法などをまとめた。CPG作成の横断的領域の手引きとして、医学放射線学会の「疾患横断的課題に対応する画像診断ガイドラインの作成に向けた手引き」としてまとめた。
医療ICTでの活用については、FHIRやAPIの国内外の動向調査を踏まえて、1)CPGコンテンツ提供、2)CPGへの標準規格適用提案、3)医療情報システムとCPG提供のシステム構成、4)医療情報システムとCPG提供のシステムとの連携様式、の4点について、現在のテクノロジーの適用範囲で実現可能なモデルとしてFHIR+CPGデータベース+CDSエンジンのモデルを提案することで将来向かうべき方向性を示した。
CPGを診療フローの中で活用するCDSに活用するためには、CPGの作成過程や編集段階での定式化や標準規格の導入が重要であることを示した。さらに、実際に電子カルテと連携してCDSを導入し稼働させるためには、個々のデータ連携において多くの課題が残っていることを明らかにした。
結論
研究によって、1)CPGデータベースの充実とそれに基づくマッピングが診療を幅広くカバーする体制のために必要であること、2)横断的な分野についてはCPGの横ぐしとなる情報提供・支援体制を充実させることが必要であること、3)CPGが医療情報システムの中で活用されるためには、CPGデータベースが医療情報システム連携しCDSなどに反映される体制が望まれること、4)実際の電子カルテにCDSを組み込むためには多くの課題が残されていること、がわかった。
今後、横断的課題に対応させつつ医療ICT基盤上で活用されるCPGを作成導入を推進するためには、1)医療ICTで活用を想定し、診療ガイドラインの作成の段階から定式化や標準規格を組み込んだ支援体制、2)CPGデータベースの領域整理・マッピングを基盤に横断的領域や不足領域に対して効率的重点的に作成支援を行う体制、3)医療ICTの連携の中でCPGなどの医療情報の提供を想定した技術の組み入れと、4)電子カルテなどの医療情報システムがCDSなどの有機的な情報利活用を推進できるよう標準規格に基づく相互連携と提供する情報の標準化、を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202122016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療ICTで提案されているHL7 FHIR等の標準規格を含めた連携技術について、診療ガイドラインを医療現場で活用するための複数の連携手法と技術的課題や将来性について整理し、今後向かうべき方向性を示した。また、Mindsガイドラインライブラリーに掲載されている、国内の診療ガイドラインの分類方法を、疾患カテゴリーだけではなく横断的領域カテゴリーを加えて分類をし、今後重複領域や不足領域を明らかにする体制を整えた。
臨床的観点からの成果
画像診断領域について国内外の調査を行い、「疾患横断的課題に対応する画像診断ガイドラインの作成に向けた手引き」としてまとめた。画像診断は多くの診療ガイドラインに組み込まれている。この手引きを利用する事で診療ガイドラインを効率よく作成できる事に加えて、標準的な被ばく量の評価や技術的な限界を踏まえた現場にあったガイドライン作成が可能となる。
ガイドライン等の開発
日本医学放射線学会「疾患横断的課題に対応する画像診断ガイドラインの作成に向けた手引き」をまとめた。これは、ガイドラインを作成するにあたってのガイドラインとして活用されるものである。今後学会ホームページで公開され、画像診断を含む診療ガイドラインの作成や編集に活用される予定である。
その他行政的観点からの成果
令和4年度の厚生労働省委託事業「EBM(根拠に基づく医療)普及推進及び診療ガイドラインを参照できる仕組みの開発研究事業」として、診療ガイドラインデータベースの整備・マッピング、ガイドライン作成者支援、また医療情報システムで活用されるための診療ガイドラインを参照するシステム開発などに、引き継がれる。
その他のインパクト
研究成果を踏まえ「医療の質向上に向けた診療ガイドラインの活用」講演を、厚生労働省補助事業「医療の質向上のための体制整備事業」で開催された第3回医療の質向上のためのコンソーシアムで行い、診療ガイドラインと医療ICTの展開について意見交換を行った。QI事業に参加する多くの医療機関の病院管理者などの参加を得た。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
ISPOR日本支部 会員総会・特別セミナー
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
日本医学放射線学会「疾患横断的課題に対応する画像診断ガイドラインの作成に向けた手引き」
その他成果(普及・啓発活動)
3件
第53回 医学教育学会スポンサードセミナー、第58回腹部救急医学会 Minds主催セミナー、第3回医療の質向上のためのコンソーシアム

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
202122016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,750,000円
(2)補助金確定額
1,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 1,350,000円
間接経費 400,000円
合計 1,750,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-12-01
更新日
-