医師確保計画を踏まえた効果的な医師偏在対策の推進についての政策研究

文献情報

文献番号
202122006A
報告書区分
総括
研究課題名
医師確保計画を踏まえた効果的な医師偏在対策の推進についての政策研究
課題番号
20IA1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学 地域医療学センター地域医療政策部門)
研究分担者(所属機関)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 松本 正俊(広島大学医学部)
  • 岡崎 研太郎(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 片岡 仁美(臼井 仁美)(岡山大学病院 ダイバーシティー推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医師確保計画の進捗のモニタリング・評価を行うための戦略・指標をとりまとめるとともに、都道府県の医師確保策について情報収集を行い、効果が期待される施策を分析することにある。3 年計画の2 年目となる令和3年度は、(1)医師確保策の実態等に関する都道府県調査、(2)我が国における地域枠医学生・医師のキャ
リア形成プログラム等に関する調査、(3)病院勤務医師の従たる従事先の実態と従たる従事先の状況を反映させた新たな医師偏在指標の試み、(4)地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題についての検討に関する検討を行い、(5)医師偏在指標の改善についての検討を行うことを目的とした。
研究方法
(1)医師確保策の実態等に関する都道府県調査
47都道府県の医師確保計画担当部署を担当に質問紙調査を、18 都県を対象にヒアリング調査を行った。
(2)我が国における地域枠医学生・医師のキャリア形成プログラム等に関する調査
オンライン質問紙調査は、全47 都道府県の地域枠医学生・医師のうち、各都道府県の医師確保計画担当課担当者が把握しているもの約11,000 人、自治医科大学学生と全国9 大学医学部の一般枠( 地域枠ではない) 学生、約5,000 人を対象として実施した。
(3)病院勤務医師の従たる従事先の実態と従たる従事先の状況を反映させた新たな医師偏在指標の試み
新たな医師偏在指標について試算するにあたっては2018 年の医師届出票情報の利用について厚生労働省に申請・許可を得た。病院勤務医師の従たる従事先の実態を明らかにするにあたっては、特定機能病院と地域医
療支援病院に勤務する医師の従たる従事先の実態を集計・分析した。
(4)地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題についての検討
地域枠卒業生の義務年限と同時期となることが多い専門研修を行っている専攻医の研修状況とライフイベントの関係について既存の資料を基に分析した。
(5)医師偏在指標の改善についての検討
本研究班内に医師偏在指標の現在の運用状況を踏まえ、医師偏在指標検討小委員会を設置、小委員会において、医師偏在指標の「概念」の評価と整理を議論することとし、第8 次医療計画に向け、どのような課題があるかについて検討を行った。
結果と考察
(1)医師確保策の実態等に関する都道府県調査
都道府県を対象とした質問紙調査及びヒアリング調査の結果、医師確保に関しては、概ねどの都道府県も、医師を含む複数の職員で業務にあたっていること、また考えうるあらゆる媒体を使って医師誘致の宣伝を行っていること、地域枠からの離脱については、離脱者に一定の傾向があると都道府県担当者は感じており、こうした傾向の分析を通じ離脱を未然に防ぐことに役立つものがあると考えられた。
(2)我が国における地域枠医学生・医師のキャリア形成プログラム等に関する調査
キャリア形成で重視することとして、学生は地域枠、自治医大ともに指導医の存在と専門医の取得、地域で勤務する年数、を最も重視する傾向にあることが明らかとなった。
(3)病院勤務医師の従たる従事先の実態と従たる従事先の状況を反映させた新たな医師偏在指標の試み
特定機能病院において、従たる従事先を有する医師の割合は、それ以外の病院群と比較して有意に高かった。専門医を有する医師が従たる従事先を有していることから、特定機能病院の専門性の高い医師が、従たる従事先においても専門的な診療を担っていることを表している可能性があった。
(4)地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題についての検討に関する検討
カリキュラム制の研修を新規に行う医師のうちライフイベントが理由である者は1 割であったが全員が女性であった。また、プログラム制からカリキュラム制に移行した者のうち約半数がライフイベントが理由であり、約9 割が女性であった。これらの分析から、改めてライフイベントが専門研修に及ぼす影響が特に女性医師において顕著であることが示された。
(5)医師偏在指標の改善についての検討
医師偏在指標は、医師偏在対策を検討する際に参照される一指標であり、医師偏在対策上の全ての論点や、各地域の課題意識を計算式としてすべて表現するものではないこと、また、医師偏在指標が複雑になることは、指標データ
の解釈を困難なものとし、医師偏在対策の観点から望ましくないことが確認された。
結論
本研究を通じ、各都道府県が医師確保計画に基づき実施ししている医師確保策の実際、地域枠等の義務離脱に係る現状と課題、キャリア形成プログラムの運用状況、ライフイベントとキャリアの両立に向けた現状と諸課題、医師偏在
指標の改善についての現状の把握と今後の課題を明らかにすることができ、医師確保計画を踏まえた効果的な医師偏在対策の推進に必要な知見を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2023-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-11-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,500,000円
(2)補助金確定額
7,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,387,883円
人件費・謝金 1,195,796円
旅費 13,575円
その他 3,172,746円
間接経費 1,730,000円
合計 7,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-12-06
更新日
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