モダンバイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200837004A
報告書区分
総括
研究課題名
モダンバイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H18-食品・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西島 正弘(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 穐山浩(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 小関良宏(東京農工大学工学部生命工学科)
  • 手島玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、第二世代にあたるモダンバイオテクノロジーを応用した食品の安全性確保のための科学的知見の蓄積、当該食品の検知法の確立及び遺伝子組換え魚、薬用遺伝子組換え植物、リスクコュニケーション等に関する調査研究を行い、遺伝子組換え食品の安全性のより一層の確保を目的とする。
研究方法
遺伝子組換え体の安全性に関するポストゲノム手法導入のための網羅的プロファイリング解析では、GFP導入組換え鶏肉をモデルとしてDNAチップを用いるトランスクリプトーム、2次元電気泳動によるプロテオーム、FT-ICRMS, LC-Linear-Trap- TOF/MSを用いるメタボローム解析を行った。組換え食品の検知法に関する研究では、安全性未審査の複数の遺伝子組換え作物(中国産BTコメ、赤トウガラシ、サケ等魚類)を対象とした定性試験法の開発、リアルタイムPCRアレイ分析を利用した高範囲な遺伝子組換え農作物を検出する技術の開発を行った。アレルギー性に関する安全性評価手法の開発では、GFP発現鶏肉を用いたアレルゲノーム手法を用いるアレルゲン性試験、食物アレルギー動物モデルを用いた評価並びにアレルゲンデータベース(ADFS)の更新を行った。また、遺伝子組換え食品の動向調査として、リスクコミュニケーション、組換え微生物、遺伝子組換え魚、遺伝子組換え動物、遺伝子組換え薬用植物等に関して、現状の把握を行い、モデル組換え体の開発も行った。
結果と考察
非意図的影響を知るためのポストゲノム手法導入のための調査研究では、鶏肉の網羅的プロファイルの比較解析が可能となった。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、リアルタイムPCRアレイ分析を利用した高範囲な遺伝子組換え農作物を検出する技術の有用性が示された。アレルギー性に関する研究では、アレルゲノーム手法による遺伝子組換え鶏肉のアレルギー性評価手法を確立し、アレルゲンデータベースの更新を行った。遺伝子組換え食品の動向調査では、研究成果の普及のためのわかりやすい資料とコミュニケーション技法について要点をまとめた。
結論
第二世代の遺伝子組換え食品のより一層の安全性確保のため、安全性に関する研究を中心に、当該食品の検知に関する試験法の確立及びリスクコミュニケーション等に関する動向調査を持続し、透明性を確保しつつ、より一層の安全確保、消費者の不安解消に努める必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200837004B
報告書区分
総合
研究課題名
モダンバイオテクノロジー応用食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H18-食品・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西島 正弘(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 穐山浩(国立医薬品食品衛生研究所  代謝生化学部)
  • 小関良宏(東京農工大学工学部生命工学科)
  • 手島玲子(国立医薬品食品衛生研究所  代謝生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、第二世代にあたるモダンバイオテクノロジーを応用した食品の安全性確保のための科学的知見の蓄積、当該食品の検知法の確立及び遺伝子組換え魚、薬用遺伝子組換え植物、リスクコュニケーション等に関する調査研究を行い、遺伝子組換え食品の安全性のより一層の確保を目的とする。
研究方法
遺伝子組換え体の安全性に関するポストゲノム手法導入のための網羅的プロファイリング解析では、高トリプトファンコメ,アラキドン酸蓄積ダイズ,成長ホルモン導入アマゴ,GFP導入組換えニワトリをモデルとしてDNAチップを用いるトランスクリプトーム、2次元電気泳動によるプロテオーム、FT-ICRMS等を用いるメタボローム解析を行った。組換え食品の検知法に関する研究では、安全性未審査の複数の遺伝子組換え作物(中国産BTコメ等)を対象とした定性試験法の開発、リガーゼ連鎖反応等を利用した高範囲な遺伝子組換え農作物を検出する解析技術の開発を行った。アレルギー性に関する安全性評価手法の開発では、高トリプトファンコメ等を用いたアレルゲノーム手法等を用いるアレルゲン性試験並びにアレルゲンデータベース(ADFS)の更新を行った。また、遺伝子組換え食品の動向調査として、リスクコミュニケーション、組換え微生物、遺伝子組換え魚、遺伝子組換え動物、遺伝子組換え薬用植物等に関して、現状の把握を行い、モデル組換え体の開発も行った。
結果と考察
非意図的影響を知るためのポストゲノム手法導入のための調査研究では、コメ,ダイズ,アマゴ,ニワトリ等の網羅的プロファイルの比較解析が可能となった。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、高範囲な遺伝子組換え農作物を検出する解析技術の有用性が示された。アレルギー性に関する研究では、アレルゲンの網羅的解析技術、並びにアレルゲンデータベースの検索機能の有用性が示された。遺伝子組換え食品の動向調査では、第二世代の遺伝子組換え食品のリスクコミュニケーションに関して、一般向けパンフレットの改定案を作製した。
結論
第二世代の遺伝子組換え食品のより一層の安全性確保のため、安全性に関する研究を中心に、当該食品の検知に関する試験法の確立及びリスクコミュニケーション等に関する動向調査を持続し、透明性を確保しつつ、より一層の安全確保、消費者の不安解消に努める必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200837004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
第二世代にあたるモダンバイオテクノロジーを応用した食品の安全性研究の中では、非意図的影響を知るためのポストゲノム手法導入のための調査研究で、コメ,ダイズ,アマゴ,ニワトリの網羅的プロファイルの比較解析が可能となった。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、高範囲な遺伝子組換え農作物を検出する解析技術の有用性が示された。アレルギー性に関する研究では、アレルゲンの網羅的解析技術、並びにアレルゲンデータベースの検索機能の有用性が示された。
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
安全性審査未了の2系統の組換え食品(米国産コメLL601, 米国産トウモロコシDAS59132)の定性検査法を開発し、公定検査法として公開した。また,平成20年6月に開かれたコーデックス総会で、協力研究者の吉倉を議長とした組換え食品に関するタスクフォース(TFFBT)で議論された3つの指針が採択された。すなわち、組換え動物評価指針、栄養改変植物評価指針、低レベルで存在する未承認組換え植物評価指針の3つの指針である。
その他行政的観点からの成果
当所で開発したアレルゲンデータベース(ADFS)が、食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会の審査において、既存のアレルゲンとの相同性を調べるためのデータベースの一つとして活用された。
その他のインパクト
 平成19年11月27日、平成20年2月19日に、日本食品衛生協会主催のシンポジウム「食品の安全―消費者が不安に思っているものー」において、「遺伝子組換え食品への不安」の題目で、本研究班の研究内容について、一般向けの講演がなされた。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
23件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
55件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
米国産LL601rice検査法〔監視安全課長通知)、とうもろこし(DAS59132)検査法(H20.6.18, 食安発第0618001号)
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Toyota, A., Akiyama, H., Sugimura, M. et al
Quantification of 35S Promoter and MON810 Maize Construct- Specific Gene in Maize Using a Combination of a Capillary- Type Real- Time PCR System and a Plasmid Reference Standard 
Biosci. Biotech. Biochem , 70 , 2965-2973  (2006)
原著論文2
Akiyama, H, Watanabe, T, Kikuchi, H. et al.
A Detection Method of CryIAc Protein for Identifying Genetically Modified Rice using the Lateral Flow Test Assay.
J. Food Hyg. Soc. Japan. , 47 , 111-114  (2006)
原著論文3
Yamaguchi, A., Shimizu, K., Mishima, T. et al.
Detection Method of Genetically Modified Papaya using duplex PCR
J. Food Hyg. Soc. Japan , 47 , 146-150  (2006)
原著論文4
Teshima R, Okunuki H, Sato Y et al.
Effect of Oral Administration of CpG ODN-OVA on WBB6F1-W/Wv Mice
Allergol. International , 55 , 43-48  (2006)
原著論文5
Oguchi, T., Onishi, M., Chikagawa, Y. et al.
Development of the event-specific quantitation method for GA21 maize which is a GM event without CaMV35S
J. Food Hyg. Soc. Japan , 49 (1) , 16-22  (2008)
原著論文6
渡邉敬浩,白雅優子,古井聡 他
安全性未審査遺伝子組換えコメ(LL rice)を対象とした検知技術の開発と評価
J. Food Hyg. Soc. Japan , 48 , 170-178  (2007)
原著論文7
大森清美,土屋久世,渡邉敬浩 他
トウモロコシ加工食品からのイオン交換樹脂タイプキットを用いたDNA抽出精製法の検討
食品衛生学雑誌 , 49 , 45-50  (2008)
原著論文8
渡邉敬浩,笠間菊子,菊地博之 他
遺伝子組換えトウモロコシ(Mon810系統)の定量PCR法を対象とした外部精度管理試験
食品衛生学雑誌 , 47 , 15-27  (2006)
原著論文9
Satoh R., Koyano S, Takagi K. et al.
Immunological characterization and mutational analysis of the recombinant protein BWp16, a major allergen in buckwheat
Biol. Pharm. Bull. , 31 , 1079-1085  (2008)
原著論文10
新藤智子、金澤由基子、古谷真美 他
経口感作および経口惹起によるマウスの食物アレルギーモデル
秦野研究所年譜 , 30 , 9-16  (2007)
原著論文11
Watanabe, T., Tokishita, S., Spiegelhalter, F. et al.
Development and Evaluation of Event-specific Qualitative PCR Methods for Genetically Modified Bt10 Maize
J. Agric. Food Chem , 55 , 1274-1279  (2007)
原著論文12
Nakayama, T., Kurosawa, Y., Furui, S. et al.
Circumventing air bubbles in microfluidic systems and quantitative continuous-flow PCR applications
Anal. Bioanal. Chem. , 385 , 1327-1333  (2006)
原著論文13
Takagi K., Teshima R., Nakajima O. et al.
Improved ELISA method for screening human antigen-specific IgE and its application for monitoring specific IgE for novel proteins in genetically modified foods
Regul. Toxicol. Pharmacol. , 44 , 182-188  (2006)
原著論文14
Nakajima O., Teshima R., Takagi K.et al.
ELISA method for monitoring human serum IgE specific for Cry1Ab introduced into genetically modified corn
Regul. Toxicol. Pharmacol. , 47 , 90-95  (2007)
原著論文15
Koyano S, Takagi K, Teshima R. et al.
Molecular cloning of cDNA, recombinant protein expression and characterization of a buckwheat 16-kDa major allergen
Int Arch Allergy Immunol. , 54 , 73-81  (2006)
原著論文16
Akiyama, H., Sasaki, N., Sakata, K. et al.
Indicated detection of two unapproved transgenic rice lines contaminating vermicelli products
J. Agric. Food Chem. , 55 , 5942-5947  (2007)
原著論文17
Shimizu E., Kato H, Nakagawa Y. et al.
Development of Screening Method for Genetically Modified Soybean by Plasmid Based Quantitative-Competitive PCR
J. Agric. Food Chem. , 56 , 5521-5527  (2008)
原著論文18
Mano J., Shigemitsu N., Futo S.et al.
Real-time PCR array as a universal platform for the detection of GM crops and its application in identifying unapproved GM crops in Japan.
J. Agric. Food Chem. , 57 (1) , 26-37  (2009)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-