食品の安全についての普及啓発のためのツールおよびプログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200837002A
報告書区分
総括
研究課題名
食品の安全についての普及啓発のためのツールおよびプログラムの開発に関する研究
課題番号
H18-食品・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学 医学部公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 肇子(慶應義塾大学 商学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学医学部公衆衛生学教室)
  • 守山 正樹(福岡大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 大山 敏雄(株式会社野菜工房)
  • 赤松 利恵(お茶の水女子大学 生活科学部栄養教育学)
  • 杉浦 淳吉(愛知教育大学 教育学部)
  • 田中 久子(女子栄養大学公衆栄養学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食の安全の情報を伝達する、主として保健所を中心とした行政職員は、食品衛生監視員と(管理)栄養士である。それぞれの専門性を活かし食の安全を普及啓発するために彼らが必要としている技術研修の内容などを明らかにする。研修のプログラムおよびツールを開発・完成させる。
研究方法
研究班は、開発グループ(心理学研究者中心)と実施・評価グループ(栄養学、公衆衛生学研究者中心)から構成され、研究協力者として行政機関勤務者がいる。
プログラムとツールの利用者及び対象者の現状については、質問紙調査(Web調査)によって把握した。開発されるプログラムとツールの内容の決定にあたり「食の安全に関して消費者に伝えるべきことは何か」と食品安全委員会委員を各々対象とした質的調査(デルファイ法)を実施した。これらの結果を用いて、プログラムとツールを開発した。完成に向けては、研究協力者を含め、研究班のディスカッションによった。評価は、対象者への質問紙調査によって実施した。
結果と考察
知識習得を目的としたカードゲーム「食の安全カルテット」とパンフレットが完成した。パンフレットは、点字版を作成し、全国に配布した。食物栄養学専攻女子大生を対象としたランダム化比較試験による評価では、知識の変化は、群による主効果と交互作用はみられなかったが、「とても面白かった」と回答した割合はゲーム(介入)群のほうが講義(コントロール)群よりも多く、ゲームで遊ぶメリットが得られた。今後は大学生以外の一般消費者に対して実施し、利用可能性および教育効果を測定する必要がある。
 食事バランスのなかでのリスクの位置づけを学ぶためのボードゲームを開発した。
 食品安全委員会委員を対象とした調査では、第1位にリスクの考え方、第2位残留農薬、第3位遺伝子組換え農作物。第4位化学物質の量と作用の関係、第5位メディアの功罪と続いた。
結論
これまでのリスクコミュニケーションの媒体(パンフレットなど)と形式(講義)に、ゲーミングシミュレーションを組み合わせることによって、リスクコミュニケーションの効果的なプログラムやツール(教材)開発が可能であった。 開発評価されたプログラムやツールの普及方法についての検討が必要と考えられた。 専門家間で食の安全に関する認識の違いが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200837002B
報告書区分
総合
研究課題名
食品の安全についての普及啓発のためのツールおよびプログラムの開発に関する研究
課題番号
H18-食品・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学 医学部公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 肇子(慶應義塾大学商学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 守山 正樹(福岡大学 医学部公衆衛生学教室)
  • 大山 敏雄(企業組合TS野菜工房)
  • 赤松 利恵(お茶の水女子大学 生活科学部栄養教育学)
  • 杉浦 淳吉(愛知教育大学 教育学部)
  • 田中 久子(女子栄養大学公衆栄養学研究室)
  • 清水 隆司(順天堂大学医学部公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 消費者の現状に即した、心理学、行動科学、教育学、ゲーミングシミュレーションなどに基づいた「食の安全」に関する教育プログラムと教材(ツール)の開発と評価。
研究方法
質的及び量的調査を実施し、その結果に基づき、ディスカッションにより教育プログラムと教材(ツール)を開発する。評価は、質問紙によった。
結果と考察
6つの教材とプログラムが完成した。
1)「カルテットゲーム(パンフレット付き)」:市販
 知識習得を目的とした。対象は小学校高学年以上。知識習得すべき内容はデルファイ法の調査結果に基づいて決定した。パンフレットについては点字版を作成し、遊び方をYOUTUBEにて公開した。
2)「食のバランスゲーム」
 食事バランスガイドを基本に栄養バランスと食品に含まれるリスクの理解を目的とした。対象は小学生以上。ドイツでのゲーム展示会に出展し好評を博した。今後、評価が必要である。
3)「食の安全二次元マッピング」
リスク概念や、価値観、リスク認知の違いを理解することを目的とした。小学3年生以上を対象。小学校教諭がファシリテーターとなり利用できるように、指導要綱を作成し、使い方を説明する映像を制作した。また、聴覚障害者も利用できるよう、映像には、手話通訳映像が挿入できるように配慮した。またYOUTUBEにて遊び方を公開した。
4)「食の安全二次元マッピング(カードゲーム編)」
 リスク概念や、価値観、リスク認知の違いを理解することを目的とした。小学3年生以上を対象。ファシリテーターの力量に左右されないように配慮したものとなった。
5)「ステイクホルダースープづくりゲーム」
 リスク概念や、価値観、リスク認知の違い、リスクの公平配分を理解することを目的とした。小学3年生以上を対象。
6)「クロスロードゲーム(食の安全編)」:市販
 食の安全危機管理におけるリスクコミュニケーショントレーニングを目的としている。高校生以上を対象。防災をテーマに開発されたクロスロードゲームを基に、これまでの危機事例を収集し問題を作成した。
結論
このようなツールを利用しつつ、様々な難問に対しての合意形成に向けて、たとえ専門家が不在であっても、日常的なコミュニケーションを推進していくことが必要であろう。また、開発に時間がかかるが、評価を今後も続けていく。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200837002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
質的調査によって、(管理)栄養士、食品衛生監視員、食品安全委員会委員が捉えている食の安全に関する概念が明らかとなり、行政機関における栄養職種がかかわるリスクコミュニケーションの現状がわかった。そしてリスクコミュニケーションを促進するための媒体やプログラムが開発され、クロスロードゲームについては、有効利用が可能との評価できた。
臨床的観点からの成果
開発されたプログラム及びツールはすべて必ずしも専門家が介在する必要はなく、さまざまな場面において利用可能である。特にクロスロードゲームは、高校生以上を対象とし、二次元マッピング法は、小学生以上を対象としているため、学校現場で有効に活用できる。
ガイドライン等の開発
専門家が捉える食の安全についての質的調査結果を踏まえたカルテットゲーム付きパンフレットは、食の安全に関する全体像をとらえた情報提供媒体となった。
その他行政的観点からの成果
クロスロードは、平成18より20年度まで全国40か所で開催された「食品の安全性に関する地域の指導者育成講座」(食品安全委員会主催)において使用された。
 クロスロード及びカルテットゲームは(財)日本公衆衛生協会
その他のインパクト
開発された食のバランスゲームについては、日本ウォーキング協会、農協でそれぞれが利用しやすいように改善されて使用されることとなった。また、2008年11月4日付け読売新聞では「カードゲームで模擬訓練」と題し、クロスロードゲーム「食の安全編」が紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
堀口逸子、吉川肇子、丸井英二
クロスロードゲームを用いたリスクコミュニケーショントレーニング-食の安全をテーマとして-
厚生の指標 , 55 (7) , 28-33  (2008)
原著論文2
竹田早耶香、赤松利恵、田中久子、ほか
地域における栄養担当者の食の安全に関するリスクコミュニケーション 双方向のリスクコミュニケーションの特徴について
栄養学雑誌 , 67 (1) , 1-7  (2009)
原著論文3
赤松利恵、野村真利香、堀口逸子、ほか
自治体等における栄養担当者の食の安全に関するリスクコミュニケーションへの関与の現状と課題
日本衛生学雑誌 , 64 (1) , 32-40  (2009)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-