労働者のメンタルへルス不調の予防と早期支援・介入のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200836012A
報告書区分
総括
研究課題名
労働者のメンタルへルス不調の予防と早期支援・介入のあり方に関する研究
課題番号
H20-労働・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
横山 和仁(三重大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田元宏(三重大学 大学院医学系研究科)
  • 竹村洋典(三重大学 医学部附属病院)
  • 原谷隆史(独立行政法人労働安全衛生総合研究所)
  • 堤 明純(産業医科大学 産業医実務研修センター)
  • 井奈波良一(岐阜大学 大学院医学系研究科)
  • 近藤信子(四日市看護医療大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,523,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
職域のメンタルヘルスケアの有効な予防・早期介入支援策を明らかにすると共に,関係者の資質向上のための教育プログラムや教材を開発することを目的とする。
研究方法
3年計画の初年度にあたる平成20年度は,種々の職域におけるメンタルヘルス不調例について,どのような支援が早期に行われるべきであったか,あるいは実際に行われたか,さらに予防可能性とその内容について,面接および質問紙による調査を行った。また,早期の支援介入に関連する労働者のメンタルヘルス不調の予防にかかる文献レビューを行った。
結果と考察
1.休業者への対応で特に困難なことは人間関係の調整であり、事業所にはメンタルヘルスを学ぶ機会の確保や対人関係技法の向上などのスキルの研修や講習が期待されている。しかし,このような取り組みは比較的実施されておらず,効果も得られていないことが伺われた。
2. 三重県内の精神科医師の“軽症ながら慢性化傾向をもつ若い世代のうつ状態を操作的診断基準(ICD-10及びDSN-IV-TR)に当てはめた場合,人格障害・双極性感情障害・非定型うつ病などの抗うつ薬の反応性が不良な精神障害を基盤としている可能性が示唆された
3. 家庭医・総合医がなぜ労働者のメンタルヘルス不調にうまくアプローチできないのか、またそれに対する対策が示唆された。
4. EAP等の外部相談機関の職場メンタルヘルス不調への関わり,特に早期介入におけるこれらの機関の役割を検討することを目的として,文献研究,資料収集を行った。日本の外部相談機関では医療が重視されているが,対策のコストを考慮して経済的で有効な支援を提供することが望まれる。
5. 産業医を対象とした職域メンタルヘルス不調の予防と早期介入・支援のための教育プログラムや教材を開発することを目的した文献レビューより,労働者・家族・管理監督者の教育のみならず,それを行う産業医の教育能力の向上や教育項目について示唆を得た。
6. 2事業所のメンタルヘルス不調に陥ったことがある労働者を対象に,事業所,産業医,医療機関に対してどのような早期支援を望んでいたかなどを明らかにした。
7.産業看護職の教育,管理監督者や従業員への教育,事業場内での連携,メンタルヘルス不調者に対する継続的なサポート,メンタルヘルスに対する偏見やプライバシーの問題が今後の検討課題であることが示された
結論
職域のメンタルヘルスケアの弱点とグッドプラクティス事例の把握の両面を行い,有効な予防・早期介入支援策の重要性が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-03-26
更新日
-