ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究~オール四国の体制の整備~

文献情報

文献番号
202120019A
報告書区分
総括
研究課題名
ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究~オール四国の体制の整備~
課題番号
21HB1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
高田 清式(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 武内 世生(高知大学 医学部附属病院 総合診療部)
  • 窪田 良次(香川大学 医学部 地域包括医療学講座)
  • 尾崎 修治(徳島県立中央病院)
  • 末盛 浩一郎(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 井門 敬子(愛媛大学医学部附属病院 薬剤部)
  • 若松 綾(愛媛大学医学部附属病院)
  • 中村 美保(高知大学医学部附属病院)
  • 小野 恵子(愛媛大学医学部附属病院 総合診療サポートセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四国地区は近年HIV・エイズ患者の増加が著しく、かつ高齢化率が約33%を超え、長期療養が必要な例が多く、施設への紹介・受け入れが難渋している。この背景のもと、四国全域の拠点病院・診療施設を研究対象とし、各県の研究分担者と連携して四国内の病院・施設との連携整備、さらには県・市の保健行政との連携も踏まえ、ブロック拠点病院が存在しない四国地区全体の診療体制の充実を図りたい。
研究方法
【研究1】拠点病院を中心とした教育講演、意見交換、研修教材の作製
四国各地区で意見交換を図るために各ネットワーク会議や講演会を開催し、意見交換を行う。研修教材も作成する。
【研究2】四国の高齢者施設におけるHIV感染症等に関する研修会と実態調査
高齢者施設から現場の福祉・介護担当者に参加いただき研修会を開催する(知識啓蒙とともにHIV感染者を支援する自覚を促す目的)。
【研究3】福祉療養施設への出張研修、意見交換
 介護・受け入れを推進するため療養型病院や福祉施設へ直接出張講義を行う。医師・看護師・薬剤師・MSW等のHIV診療チームとして出張講義をし、HIV感染者の福祉・介護に関し調査する。
【研究4】地域で実践的なポケット版小冊子の作製
地方でHIV/エイズ患者を積極的に介護施設で円滑に介護をしてもらう目的で、介護時に実用的なHIVに関するポケット小冊子を作製する。
【研究5】在宅介護職の実施研修
HIV患者の介護を円滑にしてもらうため、在宅介護職の各看護師にHIV患者の実施研修を行う。
結果と考察
【研究1】
愛媛県の行政の協力を得てHIV診療ネットワーク会議(県全域の各拠点病院が参加)を令和4年2月22日にWEB会議で行い、、行政からHIV感染者の現況報告、各拠点病院のアンケート集計・討議、当院のHIV診療の現況、LGBTに関する学校教育(ほこいし医院)、中四国内のHIV関連認知機能障害の現況などの話題提供・討議を行った。高知県では「県HIV感染症研修会」がオンデマンド形式にて84名の参加による研修が行われた(令和4年2月1日~28日の期間に視聴)。また、四国内の拠点病院の意見交換目的で、令和4年1月30日に四国地区エイズ診療中核拠点病院HIV担当看護師連絡会をWEB会議にて行い4県12名の看護師(他に医師2名)が参加し、各病院の実情や行政との連携に関して討議した。同日午後に四国地区エイズ診療中核拠点病院HIV診療医師研修会を開催し各地区から計3例(抗酸菌症例、梅毒合併例等)を提示し、照屋勝治先生(国立国際医療研究センター)にも参加・コメントしてもらい、四国の医師7名と他に看護師(午前から継続参加)、薬剤師、MSWも参加のもと合同で症例の討議を行った。「在宅介護に役立つ薬の情報~抗HIV薬の基礎知識~」を作製し県内の各介護施設および全国の中核拠点病院に配布した。
【研究2】
高齢者施設から現場の介護・福祉担当者に参加してもらい、HIV感染症等に関する研修会を開催予定であったが、新型コロナウイルス蔓延にて開催できず、令和3年度は、(講演できない面を補足する)講演すべき内容を判りやすく冊子として作製し各高齢者施設に配布した。
【研究3】
 高知県では1医療機関で実施し20名の医療スタッフで研修会を行い(認知機能の悪化の患者の連携も兼ねてHIV感染症の基礎知識と治療、感染予防策・血液曝露後の対応を研修)、患者紹介とともに大学病院と地方の医療施設との円滑な連携が図られた。
【研究4】
 愛媛および四国での実用的な(最新の愛媛や四国の現況や針刺し事故時の感染予防内服薬を配備している病院名等を記載)HIVに関するポケット冊子(18x10㎝大程度でハンディ)を作製し四国さらには中国地区の主なHIV診療施設に配布した。さらに各施設への円滑な受け入れ対策の一環として、「HIV陽性者受け入れQ&A集」のポケット冊子を作製し、感染管理、自施設での研修会、中核拠点病院との連携法、抗HIV薬についてなど、受け入れに難渋しそうな問題点に関し具体的な対処法を提示した。
【研究5】
 在宅介護職の看護師に3日間当院のHIV患者の実施研修(外来、病棟)と講義・討議を1回実施した。HIV感染症に関する啓蒙とHIV患者の在宅医療への推進にも繋がり、極めて意義深い研究活動と考えた。
結論
ブロック拠点病院がない地域において、HIV診療体制整備のために高齢介護施設の介護・福祉担当者への資料配布、患者受け入れ先への出張講義、ポケット版小冊子の配布等を行い、介護のための知識・経験を共有できた。高齢化社会で介護・療養が必要なHIV感染・エイズの増加に対応するため、診療体制の整備は、特にブロック拠点病院が身近に存在しない四国においては拠点病院間のみならず介護・福祉施設との福祉連携の充実が不可欠であり、研究を継続し地方のモデルという点でもさらに向上に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202120019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,193,887円
人件費・謝金 2,503,843円
旅費 56,720円
その他 3,938,550円
間接経費 2,307,000円
合計 10,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-03-09
更新日
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