HIV感染症及びその併存疾患や関連医療費の実態把握のための研究

文献情報

文献番号
202120005A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症及びその併存疾患や関連医療費の実態把握のための研究
課題番号
20HB1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 西岡 祐一(奈良県立医科大学 糖尿病学講座)
  • 横幕 能行(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 感染症内科)
  • 今橋 真弓(柳澤 真弓)(名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
  • 谷口 俊文(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院・感染制御部)
  • 佐藤 大介(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 町田 宗仁(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、HIV感染者、特に血液凝固異常症(血友病等)を合併したHIV感染者が受けている治療の標準的な姿を明らかにするとともに、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)による悉皆調査により、HIV感染症及びその併存疾患の「医療状況」と「医療費」の2つの実態を把握することを目的としている。
研究方法
今年度は、(1) HIV/AIDSの検査・治療状況の推計(エイズ動向委員会への報告)、(2) レセプトによる血友病特定アルゴリズム開発のためのバリデーションプロトコル構築、(3)国連合同エイズ計画(UNAIDS)で定義されている90-90-90の2nd90(Retained to Care)と治療が行われている(On treatment)のNDBにおける集計定義策定、(4) 抗HIV薬に関する医療経済分析、(5)HIV及び血液凝固異常症を有する患者の整形外科的治療分析の5つを行った。
結果と考察
(1) HIV/AIDSの検査・治療状況の推計(エイズ動向委員会への報告)
抗HIV薬を処方されている患者について、2013年4月1日~2021年3月31日の8年間に、NDB上で死亡が確認されたのは823人であった。このうち、男性は771人(93.7%)、女性は52人であった。また、死亡者の平均年齢59歳であり、死亡年齢中央値は男性56歳、女性50歳であった。死亡時のレセプトに記載された主傷病病名としては「詳細不明のヒト免疫不全ウイルス[HIV]病」が134人と最多であり、心停止がそれに続いた。「気管支及び肺の悪性新生物」が36人と3番目に多く、エイズ指標疾患である「びまん性非ホジキン<non‐Hodgkin>リンパ腫」が26人と4番目であった。エイズ指標疾患としてのがん傷病名(主傷病)としては、非ホジキンリンパ腫が多く、死亡者は25~79歳に幅広く分布している。子宮頸部の悪性腫瘍は35~39歳でのみ観察され、カポジ肉腫は35~69歳に分布していた。

(2) レセプトによる血友病特定アルゴリズム開発のためのバリデーションプロトコル構築
 血液凝固異常症(特に血友病A,B)の患者をレセプト情報等により特定する「バリデーション研究」の実施に向けた研究計画骨子(プロトコル)を構築した。まず、文献検索により、血友病患者をレセプト情報等により特定するためのバリデーション研究を収集・整理し、特定された文献の全ての連絡責任著者に、カルテレビューに関する追加資料 (実施手順書等) があるかを照会し、情報提供を求めた。次に、先行研究における研究デザイン概要をまとめ、研究代表者の野田、研究分担者の荻原、研究協力者の奥村の3名の合議により、バリデーション研究の研究計画骨子を構築した。

(3)国連合同エイズ計画(UNAIDS)で定義されている90-90-90の2nd90(Retained to Care)と治療が行われている(On treatment)のNDBにおける集計定義策定
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)で定義されている90-90-90の2nd90(Retained to Care)と、治療が行われている(On treatment)の算出を行うべく、Retained to CareとOn TreatmentのNDBにおける集計定義を策定した。

(4) 抗HIV薬に関する医療経済分析
 HIV治療に関する医療費削減効果や副作用軽減の観点から、従来から行われている3剤併用療法から2剤併用療法に関する医療経済評価の検討を行った。具体的には、3剤併用療法から2剤併用療法への切り替えに関する医療経済評価として、ARTによる治療を受けたHIV患者が2 drug (DTG+3TC)へ切り替えた場合の予算影響分析(Budget Impact Analysis)モデルを用いた。

(5)HIV及び血液凝固異常症を有する患者の整形外科的治療分析
 血液凝固異常症患者(HIV感染症を併存している患者を含む。)にとって大量輸血等のリスクがある大腿骨近位部骨折に焦点をあて、日本全国の保険医療受診者全体を対象として大腿骨近位部骨折の発生数および合併症率、死亡率を算出した。今年度は、HIV患者、血液凝固異常症(血友病等)を合併したHIV感染者、血友病患者を対象とした本来分析の第一段階として、全国の保険医療受診者全体を対象とした分析を実施した。
結論
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、HIV/AIDSの検査・治療状況の推計を行った。本研究成果は2021年3月の第156回エイズ動向委員会にも報告された。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202120005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,000,000円
(2)補助金確定額
22,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,405,415円
人件費・謝金 6,634,041円
旅費 10,440円
その他 11,950,104円
間接経費 0円
合計 22,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-03-09
更新日
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