在宅医療への遠隔医療実用実施手順の策定

文献情報

文献番号
200835080A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療への遠隔医療実用実施手順の策定
課題番号
H20-医療・一般-034
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 原 量宏(香川大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 吉田晃敏(旭川医科大学 学長)
  • 辻 正次(兵庫県立大学大学院)
  • 岡田宏基(岡山大学医学部・歯学部付属病院)
  • 森田浩之(岐阜大学大学院医学系研究科)
  • 本間聡起(慶應義塾大学医学部)
  • 長谷川高志(国際医療福祉大学・大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域医療や在宅医療では、情報機器、症状チェックシート、酸素吸入器など治療機器を用いた遠隔医療が効果的手段になるが、医療者にとり遠隔診療に関する知識が不足している。遠隔医療のための診断学と言うべき知識として、適用可能診療行為と詳細、観察項目、手順などをまとめた実用実施手順の開発とが求められている。そこで診療各場面における諸課題を明らかにした手順作成を本研究の目的とする。
研究方法
1.在宅医療の実態と遠隔医療に対する住民のニーズについて直接患家を訪問し、構造化した質問票に従い聞き取り調査を行った。
2.研究班会議で在宅医療を遠隔医療として遂行する上での診療計画書、患者満足度評価の調査票を検討し、第1年度に試験運用するものとして確定した。
3.試験的ではあるが、既に遠隔医療を実施しているベストプラクティスの5地域を選び、研究班として訪問調査した。
4.在宅健康管理システムによる遠隔地健康管理の医療への影響を、福島県西会津町の5年のレセプトから評価した。
結果と考察
1.患者側から通院距離と費用、通院時間と診察時間とのバランスから、遠隔医療により丁寧に説明が受けられるなら受けたいとの意見を得た。一方で遠隔医療を受けた経験の無い患者にはイメージを作りにくい点で、遠隔医療をさらに具体的なものにしていく必要性がある。
2.実診療の中で、既に試験的に遠隔医療を受けている患者および新規同意を得た患者に対し診療計画書を作成し、遠隔医療の適用後に調査票による評価を頂いた。診療計画を作ることで、医師と患者が同一の目的を持って医療を行えることが実証でき、患者評価は良好だった。
3.岡山県新見市、山形県朝日町などTV電話診察の先進地域、香川県丸亀市・岩手県盛岡市・山梨県甲府市など地域医療連携へのIT活用先進地域を調査し、現実に起こる問題点、今後の展望の検討から、遠隔医療についての様々な形態が浮き彫りとなった。
4.レセプト分析では、高血圧や糖尿病などについては、遠隔健康管理が医療費削減効果を有するとの結果を得た。 
結論
遠隔医療の実診療上の有効性や、患者への恩恵が、今年度の研究で明らかになった。まだ規模の小さな調査であり、地域や診療機会を増やし、さらに具体的な結論へと導く必要がある。特に遠隔医療診療計画書、患者満足度調査票をブラッシュアップする必要があり、今後多くの臨床家から意見を得る。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
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