医療技術の社会的役割と経済性の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200835079A
報告書区分
総括
研究課題名
医療技術の社会的役割と経済性の評価に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-033
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 敏彦(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 薬学部 )
  • 須賀 万智(聖マリアンナ医科大学 予防学部)
  • 杉森 裕樹(大東文化大学 健康科学科)
  • 平尾 智広(香川大学 医療管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の目覚ましい科学の発展に伴い、さまざまな種類の医療機器が毎年数多く開発されている。これらは医療の改善や進歩に大いに期待されるものではあるが、その保険導入に際しては臨床試験等により安全や有効性、医療経済的な効果等が科学的に証明されていることが前提条件になりつつある。現在、その評価手法については、特に医療機器については、確立されたものがなく、医療技術の適正な評価が難しく、優れた医療技術の早期実用化が困難な場合もある。医療技術評価の経済的評価には、技術導入に際してかかるコストと、技術導入による疾病負担の軽減分を算出することが基本となる。この試みはこれまでに国外で数多く行われつつあるが、算出の方法が標準化されていないため、異なる疾病に対する医療技術の横断的な評価が困難であった。本研究では方法の標準化と、横断的評価を可能とする適応の範囲等を決めることにより解決を図る。本研究は医療機器の実用推進により期待される疾病負担の軽減を推定、評価する手法を検討し、実用化可能な評価手法を提案し、有効性の高い医療技術の早期導入に資する事を目的とする。
研究方法
今年度は、幾つかの代表的な医療機器・医療技術を取り上げ、既に実施されたDALY、QALYなどの疾病負担指標を用いた経済的評価に関する研究についてレビューを実施し、評価手法の統一性や我が国独自のデータの有無等を検討した。
結果と考察
評価手法の統一性や我が国独自のデータの有無等を検討した結果、幾つかの医療機器・医療技術を対象に標準化された方法に基づいて調査を実施することが必要と考え、データシートの作成を試みた。調査対象としては、眼内レンズ、薬剤溶出性ステント(DES)、椎体形成術、内視鏡下粘膜切除術(ESD)の4つを取り上げた。データシートは1)臨床転帰に関する疫学モデルに関するデータ(治療期間、寛解率、再発率、死亡率、再手術率、等)2)各病態におけるQOLに関するデータ、3)医療費、4)間接経費の各パートから成り、全てに共通な部分と各医療技術に固有な部分を有することとした。

結論
本研究により、早期に実用化すべき機器の評価が論理的かつ科学的公平性をもって多くの関係者により速やかに実施されることが期待できる。また、これにより有用性の高い医療技術が速やかに導入され、その結果、国民全体の疾病負担が軽減することが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
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