HPVワクチンの安全性に関する研究

文献情報

文献番号
202119028A
報告書区分
総括
研究課題名
HPVワクチンの安全性に関する研究
課題番号
21HA2004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(川崎市健康福祉局 川崎市健康安全研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 斉藤 和幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 新薬審査第三部)
  • 竹原 健二(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
14,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、2018-2020年度研究で構築されたWeb調査システムを用いた縦断的なWeb調査と、積極的勧奨に伴う患者の動向を把握するためのサーベイランスを実施することとした。それらの調査により、①患者の長期的な症状の経過やそれに伴う社会的ニーズの変遷などを把握すること、②積極的勧奨に伴う患者を早期に把握し、今後の臨床症状の詳細についての調査につなげていくこと、③収集したデータを報告、医療従事者と相互にフィードバックすることを通してワクチン接種後に症状を呈した患者の支援についての政策提言を検討すること、を目的とした。
また、上記とは別に、2019年12月にWHOが発行したImmunization Stress-Related Response (ISRR)に関するマニュアルにつき、HPVワクチンの有害事象に関わることであり、WHOの了承を得て日本語版発効のための翻訳作業を行った。
研究方法
1.前方視的コホート研究
【研究対象】
1) 日本国内でHPVワクチン接種を受けた後に健康上の不具合が生じた者 
2) 患者自身、もしくは患者本人からの情報収集が不可能な場合には親権者から、研究参加の同意を得られた者
法に基づく救済制度で認定を受けた者は延べ402名、2020年にすでに本コホート研究に参加した対象者41名については、参加協力の継続をあらためて依頼を行った。
【方法】患者個人が回答するWebアンケート調査
【調査項目】
・ 患者背景(年齢、既往歴)
・ ワクチン接種前の状況(就労・就学、睡眠等)
・ 接種ワクチン名
・ ワクチン接種後に生じた症状の種類・程度、接種から症状発現までの時間、現在の状況
・ ワクチン接種後に生じた症状に関する治療内容と治療期間
・ ワクチン接種後に生じた症状に関する入院回数と入院期間
・ 日常生活および就学就労に影響があった期間と程度
・ 医療や社会的支援に対する希望(自由記述)
2.サーベイランス
【研究対象】
HPVワクチン接種後、何らかの症状を訴えて協力医療機関を受診したもの
【方法】
Google Formを用いて協力医療機関に1ヶ月に1回患者の受診動向について依頼した。
【調査項目】
・ 受診患者数(新規・継続)
・ 延べ受診患者数
・ 紹介患者数
・ 副反応疑い申請患者数
・ 新規受診患者のワクチン接種後から発症までの期間
結果と考察
1.前方視的コホート研究
Webアンケート運用の総括及びアンケートシステム改修における回答項目の監修を行った。解析対象は4件となり、回答者は全員20代であった。4名全員が未だ感覚障害、運動障害、自律神経症状、認知機能障害など複数の症状を持続して経験しており、複数回の入院が必要な症状を経験している患者も存在した。また、前回調査以降に発生し、治癒に至った症状も認められた。これについて班内で検討を行い、年度報告としてまとめた。
2. WHOマニュアルの翻訳作業
2019年12月にWHOはImmunization Stress-Related Response (ISRR)に関するマニュアルを発行した。HPVワクチンの有害事象に関わることであり、WHOの了承を得て日本語版発効のための翻訳作業を引き続き行い、令和3年度内にほぼ翻訳作業を終え、WHOにおける確認作業に進めた。
3. サーベイランス研究
厚生労働省の担当官と協議を行い、サーベイランス体制構築の総括及びサーベイランス回答項目の監修を行った。
本年度は、前研究班に引き続きWebアンケート調査を運用し、回答率の低下への対策としてアンケートシステムの改修を行った。2022年2月15日から改修後のWebアンケートを開始し、新規回答者のリクルートも行ったが、現在母集団が固定されている状況では新たに回答を得るのは困難であった。しかし、2022年4月からHPVワクチンの積極的勧奨が再開されワクチン接種が増えると有害事象を呈する患者も増加することが予想され、新たに救済認定される患者に対して本Webアンケートが患者の臨床症状や社会的なニーズを把握するためにも必要な研究と位置づけられると考えられる。
また、HPVワクチンの積極的勧奨再開に伴う多様な症状を呈する患者が増加するかどうか、その迅速な把握は患者に対する支援提供上有益な情報であり、そのための体制構築は必要な研究であると考えられる。
結論
HPVワクチンの安全に関する研究の患者の追跡データ蓄積を行い、4名による有効回答から要約値によるまとめを行った。
また、HPVワクチン接種後に症状を呈した患者数のサーベイランスの体制を構築し、サーベイランスの実施ができる状況を整えた。
WHOが発行したImmunization Stress-Related Response (ISRR)に関するマニュアルにつき、WHOの了承を得て日本語版発効のための翻訳作業を行った。

公開日・更新日

公開日
2024-08-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202119028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,970,000円
(2)補助金確定額
13,136,165円
差引額 [(1)-(2)]
5,833,835円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 766,672円
人件費・謝金 7,183,378円
旅費 0円
その他 5,186,115円
間接経費 4,170,000円
合計 17,306,165円

備考

備考
班会議等がWeb開催となり、予定していた旅費(海外旅費含む)の支出が発生しなかった等があったため、未使用となった補助金を返還する。

公開日・更新日

公開日
2024-08-08
更新日
-