医療の質の向上のための医療情報利活用における標準化と相互運用性推進に関する諸課題の研究

文献情報

文献番号
200835077A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質の向上のための医療情報利活用における標準化と相互運用性推進に関する諸課題の研究
課題番号
H20-医療・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 大原 信(筑波大学人間総合科学研究科)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 佐藤 弥(山梨大学大学院医学工学総合研究部)
  • 中島 直樹(九州大学病院 医療情報部)
  • 山本 隆一(東京大学大学院 情報学環)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安全な医療の実現、患者への診療情報提供、医療機関相互の診療情報共用による連携、などの実現に向け、厚労省標準的電子カルテ推進委員会最終報告を実現する観点から、医療情報の利活用における標準化と相互運用性の確立に向けた諸課題を技術面と医療社会面の双方を総合的に分析し解決を目指す。
研究方法
次の課題について分担して実施した。(a)地域医療連携における標準化:筑波大病院とその周辺地域医療機関での連携実験による問題点の抽出、 (b)患者情報提供における標準化:患者診療情報提供のCDおよびUSBメモリ提供についての実験による運用上の分析、(c)医療者視点の相互運用性:ユーザインタフェイスの分析、(d)用語コードの標準化:全国国立大学病院へ現状資料調査を依頼し収集・分析、(e)患者視点の健康情報と医療情報の管理のあり方:福岡地区の糖尿病データを実例として調査、(f)院外からの情報アクセスセキュリティー:医療安全管理のガイドライン準拠の課題の整理と事例を作成、(g)整合性のある技術文書整備方法:各文書で扱う事項のデータベース化手法の検討。
結果と考察
技術運用面では大きな障壁が存在しない一方で、情報連携運用のための共通キーとなるIDや相互共通コードの必要性が高い。指紋認証機能付き可搬媒体の有用性を示した。ネットワーク経由で情報をアクセスすることと対比して可搬媒体での有用性を示す事例であろう。地域医療情報連携や患者情報の連携において、こうした情報を患者自身が管理するほうがよいか、第三者機関などが管理するほうが良いかについて、患者の意識調査の結果を踏まえた適切な方策を検討していくことが重要である。また医療者にとって電子カルテやオーダシステムのユーザインタフェイスの共通化が重要である。
結論
個々の技術およびそれを局所的な課題に応用することについて、技術運用面では大きな障壁が存在しない一方で、情報連携のための共通コードの利用環境を整備する必要がある。また健康情報を個人が管理し利用する場合の潜在的可能性の高さと個人意識の状況が明らかになった。標準化は処方用法などニッチな標準化の必要性、および医療者に提供される機能の整理、文書の整合性のある管理と公表の重要性が指摘され、2年目の研究の課題とすることになった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-28
更新日
-