電子私書箱と連携した保健医療情報の安全な利活用を促進する 医療情報ネットワーク基盤整備の技術的方策に関する研究

文献情報

文献番号
200835076A
報告書区分
総括
研究課題名
電子私書箱と連携した保健医療情報の安全な利活用を促進する 医療情報ネットワーク基盤整備の技術的方策に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大山 永昭(東京工業大学 理工学研究科附属像情報工学研究施設)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多 紘一(早稲田大学 国際情報通信研究センター)
  • 土屋 文人(東京医科歯科大学 歯学部付属病院)
  • 八幡 勝也(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 秋山 昌範(東京医科大学 医学部医療情報部)
  • 石垣 武男(放射線科名古屋広小路クリニック)
  • 山本 隆一(東京大学 大学院情報学環)
  • 小尾 高史(東京工業大学 大学院総合理工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、個人を主体とした保健医療情報等の安全な利活用を実現するために必要となる、電子私書箱及び社会保障カードと連携して医療情報の安全な流通を実現する医療情報ネットワークの実用化に向けた検討を行う。具体的には、電子私書箱及び社会保障カードと連携した保健医療サービスの在り方に関する検討を行うとともに、電子私書箱における保健医療福祉分野で構築される電子認証基盤の利用方法の検討、電子私書箱業務提供者および医療機関における運用方法、導入・維持コストについての調査・試算を行い、電子私書箱と医療機関が連携して安全な保健医療情報サービスを促進するための技術的方策を明らかにする。
研究方法
電子私書箱及び社会保障カードに求められる機能要件を整理し、この要件を基に電子私書箱の基本システムの具体的な構成を検討した。また保健医療情報の安全な管理のための要件を整理し、電子私書箱を利用した個人健康情報提供・参照システムの実現モデルを提案した。さらに提案した個人健康情報提供・参照システムを実際の医療機関における実証実験によってその有効性を評価した。
結果と考察
実証実験の評価より、電子私書箱を利用した健康情報の提供・参照については、情報の信頼性確保という面でメリットを感じている反面、万人に使いやすいシステムであることへの課題が多くあげられた。また診療時に電子私書箱上の個人健康情報を提示することはおおむね診断の質の向上に効果があると考えられているが、システムのセキュリティに関して電子署名の有効性や患者のプライバシー保護対策を信頼してよいか判断できないとの意見があり、安全性の高いシステムであることをユーザに理解させる方法は今後検討していく必要がある。
結論
本研究では、現在政府で検討が進められている電子私書箱や社会保障カードと連携することで、安全・安心な保健医療情報の流通を実現するシステムモデルを示し、実証実験による評価を行った上で、システムの利点や課題を明らかにした。本研究で得られた成果は、保健・医療・福祉情報セキュアネットワーク基盤普及促進コンソーシアムや現在オンデマンドVPN技術の研究開発を行っている研究グループとの間で成果を共有することで、これら研究グループが進めている医療機関相互における情報連携の実証実験や医療サービスの検討等への反映や、電子私書箱を構成する技術仕様へフィードバックすることを予定している。

公開日・更新日

公開日
2009-04-22
更新日
-