患者の視点を重視した診療ガイドラインの評価体系の確立及び普及促進に関する研究

文献情報

文献番号
200835073A
報告書区分
総括
研究課題名
患者の視点を重視した診療ガイドラインの評価体系の確立及び普及促進に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部 社会医学講座 医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学・医療管理学教室)
  • 小泉 俊三(佐賀大学医学部・総合診療部)
  • 葛西 龍樹(福島県立医科大学・家庭医療学)
  • 平尾 智広(香川大学医学部・医療管理学)
  • 和田 ちひろ(いいなステーション)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、(1)日本の状況や患者の視点を考慮したAGREE instrumentの改訂版の作成、(2)その実用性・有効性の検証、(3)EBMの方法論の見直しについてのレビュー、(4)各国における代表的な患者団体の組織運営の実態、診療ガイドライン作成等の医療政策形成への係わり状況、を明らかにする。
研究方法
文献調査、ヒアリング調査、診療ガイドライン評価については評価者を養成して実施した。
結果と考察
(1)(2)先行研究で開発された日本語版AGREE instrumentについて逆翻訳を行い、国際的な研究者パネルにより内容の真性の検証を行った。また患者団体などによるヒアリング調査により、患者視点を加えた改訂について検討した。日本で2008年までに公表された150診療ガイドラインの系統的な評価・解析を行った。最近開発されたものほど質の向上が認められた。患者用と医療者用の比較では、両者は異なった観点から編集がなされている可能性が示唆された。
(3)現在の医療環境はEBMが開発された時期とは大きく異なっており、単一疾患モデル、RCTへの依存、IT技術の導入を前提に見直される必要がある。欧米における医療IT化の最近の動向、医療内容の評価と標準化にもたらす影響についてレビューを実施した。
(4)患者参加に関わる用語および概念を整理し、診療ガイドラインとの関係を明らかにした。英国では診療ガイドライン作成にあたって、患者参加の制度化、参加者に一定の研修を行っている。その教育プログラの内容を明らかにした。同プログラムの医療経済の取り扱いについて日本の診療ガイドラインで検証を試みた。
結論
本研究では、(1)患者参加についての概念整理、(2)患者の視点を考慮した診療ガイドラインの評価ツールの改訂と実証、(3)各国における患者参加の概要、(4)EBM方法論の見直しの動向、について明らかにした。患者参加を促進するための環境整備は、今後優先度の高い行政的な課題になることが想定される。本研究は、医療標準化の代表的手法である診療ガイドラインを対象にしているが、他の医療分野にもその知見、手法は応用可能であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-