根拠に基づく更年期障害治療推進のための洋漢統合医学的エビデンスの構築

文献情報

文献番号
200835072A
報告書区分
総括
研究課題名
根拠に基づく更年期障害治療推進のための洋漢統合医学的エビデンスの構築
課題番号
H20-医療・一般-026
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
並木 隆雄(千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 光一(千葉大学大学院薬学研究院 )
  • 地野 充時(千葉大学大学院医学研究院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
更年期障害症状のうちホルモン補充療法(HRT)と桂枝茯苓丸(KB)の効果を無作為に比較することで、桂枝茯苓丸がどの症状により有効性があるか検討するとともに、桂枝茯苓丸有効例と無効例についてエストロゲン受容体遺伝子多型解析で識別しようとするものである。これにより桂枝茯苓丸有用性の科学的エビデンスが蓄積できるとともに、桂枝茯苓丸の服用効果が期待できる患者を推定でき、漢方療法のエビデンス、漢方製剤の適正使用を遺伝子多型解析という新たな切り口から確立できること。
研究方法
対象患者:問診などにより更年期障害と診断された女性患者。
ただし、1.子宮または卵巣の手術、合併症がある症例 2. 甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症を発症した症例 3. 血管拡張作用を有する薬剤を服用している症例を除く。
上記患者にエストロゲン受容体の遺伝子多型(ERβ:CAリピート数及びRsa多型)を解析し、SS型群(両アレルともCAリピート数21以下)とその他群に分け、それぞれについて、無作為にHRTまたはKBを処方する。12週後に症状を調査し、更年期障害の治療と遺伝子多型の相関、症状の改善度を検討。治療前後で更年期障害の自覚スコアおよび他覚スコアを求める。
結果と考察
10名の更年期症状を訴える新規患者がエントリーした。その中で、3名は除外項目に当てはまったため除外した。患者の平均年齢は49.00±3.42歳であった。ERβ遺伝子CAリピート多型は19/19リピートhomozygous、19/23リピートheterozygousであった。また、DHPLC法による結果は、最も保持時間の長い値のピークが高い場合はhomozygous、2番目に保持時間の長い値のピークの方が高い場合heterozygousを表す。CAリピート多型解析を行った結果、SS genotypeの患者が1名、SL genotypeの患者が4名、LL genotypeの患者が2名であった。各genotype別に、治療開始前Kupperman更年期指数の総合点、および更年期障害の主な症状である血管運動神経症状、精神神経症状、筋・頭痛症状についてスコア分布および平均値をえた。
結論
研究対象となる患者を募集し、7名の患者を得てCAリピート多型解析を行った結果、SS genotypeを1名、SL genotypeを4名、LL genotypeが2名であった。今回の検討では患者数が少なく、治療開始前の更年期障害症状とCAリピート多型との相関はみられなかった。次年度も症例をさらに集める予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-17
更新日
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