助産師の需給実態の把握と適正な養成数及び配置基準の探索

文献情報

文献番号
200835069A
報告書区分
総括
研究課題名
助産師の需給実態の把握と適正な養成数及び配置基準の探索
課題番号
H20-医療・一般-023
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
前田 樹海(東京有明医療大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、不足が社会問題化している助産師は、不足の基準が曖昧であり、地域性や状況に応じた適正な配置基準がどのようなものかを明らかにする必要がある。本研究では、助産師に関する現状の需給統計の問題点を踏まえ、助産師の養成キャパシティおよび配置の実態を明らかにし、その上で、助産師養成計画および助産師配置計画に資する、適正養成数および適正配置数にかかわる基準の作成を目的とする。
研究方法
今年度は1)分娩の取り扱いを中止した病院における助産師の動向、および2)助産師養成キャパシティに関わるデータ収集を実施した。1)については、2007年4月から2008年4月の間に分娩の取り扱いを中止した病院全91件の看護部長を対象として質問紙調査を実施した。2)については、すべての助産師教育機関、助産所、産科標榜病院、診療所を対象とした助産師教育にかかわる実態調査を実施した。研究に際し長野県看護大学倫理委員会の審査を受けた。
結果と考察
分娩の取り扱いを中止した病院47件から回答を得た。中止前後の助産師の実人員数は677名から288名減少して389名となり、減少率は42.5%だった。分娩取り扱い中止後に当該病院に残留した助産師は373名。退職した240名中転職先が判明した207名中163名(78.7%)が二次医療圏内の転職であり、そのうち151名が助産師として再就職していた。また、圏外に転職したのは44名で、そのうち42名が助産師として再就職していた。これは、分娩介助をあきらめ現職にとどまる助産師がいる一方で、分娩介助を行なうために異動する多くの助産師の存在を示すが、それでも二次医療圏外への異動は難しい現状を示している。
助産師教育機関のうち大学(100校)については、回収数43件中助産師課程定員を数字で定めている大学が34件、数値で定めていない大学が4件、無回答その他が5件であった。助産師課程定員を数字で示している大学の入学定員の総計2,880名に対する助産師定員の割合は349名であり、その割合は12.1%であった。この割合を全国の大学の助産師課程に適用すると、日医や厚労省が報告等で引用している8,324名(2006年度)のうち、大学の入学定員7,169名は867名と補正され、実際には2,022名と推計される。
結論
1)分娩取り扱いを中止した病院では6割の助産師が残留し、分娩介助以外の業務に就いている。2)退職した4割のうち8割は同一2次医療圏内で再就職する。3)大学における助産師養成定員は入学定員の約12%。4)わが国の助産師の養成定員の公称値8,324名(2006年度)は、実際には2,000名程度と推計される。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-