皮膚・排泄ケア認定看護師による高度創傷管理技術を用いた重症褥瘡発生の防止に関する研究

文献情報

文献番号
200835068A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚・排泄ケア認定看護師による高度創傷管理技術を用いた重症褥瘡発生の防止に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-022
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
真田 弘美(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 須釜 淳子(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 宮地 良樹(京都大学 大学院医学系研究科)
  • 松山 裕(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 館 正弘(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高度創傷管理技術を皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC看護師)に教育し、体系的ケアを策定・実施することで、重症褥瘡発生率の低下、褥瘡治癒率、患者QOLを向上し、医療コストを減少させることを目的とする。本年度は研究の第一段階として、教育プログラムを構築し実施することである。

研究方法
1.教育プログラムの構築と実施
1)創傷重症化予防管理プロトコール作成
文献によるエビデンスとエキスパートの意見より超音波エコー、サーモグラフイ、高度なフィジカルアセスメントを用いた非侵襲的アセスメント、非観血的デブリードマン、陰圧閉鎖療法、ドレッシング材選択、振動器使用を複合したプロトコールを作成した。また米国WOCプログラム等を参考にカリキュラムを作成し、教育時間として5単位を確保した。
2)教育の実施
平成21年3月6日~8日の日程で、10名のWOC看護師を対象に講習会を実施
2.教育内容の評価
1)自己回答式質問票による評価
2)フォーカスグループインタビューによる実施内容の評価と課題の抽出
内容を逐語録にし、質的帰納的に分析
結果と考察
教育受講生の看護師平均経験年数18.0±5.2年、WOC平均経験年数6.9年±3.4年。
自己回答式質問票の結果、各講義内容のわかりやすさと内容の高度さは高く評価された。しかし、ドレッシング材選択に関しては他の講義よりも高度さの評価が低かった。これは既にドレッシング材の選択権を持って実践している方が多いことも理由であると考えられたが、同時に講義内容を検討する必要があると考えられた。フォーカスグループインタビューの結果、<患者の利益>として教育の必要性を強く認識しており、また、高度創傷管理に伴う[裁量拡大へ向けての認識]には、<組織で認められる困難さ>、<前例のない権利拡大への不安>、<医師との裁量調整への懸念>などの不安要因があり、これらは今後の課題として挙げられた。そして教育の構築には、[安全性に関する質の担保]を行う重要性が挙げられ、それらは<高度創傷管理者としてのポジションの確保>、<調整力の発揮>、<教育の位置づけの明確化>であった。
結論
教育評価の結果より、プロトコールに位置づけた高度な技術は、現在の褥瘡問題に対処していくために必要な技術であり、また教育はそれに対応する高度な内容であった。今後の課題は、ケアの質を担保していくことである。次年度は高度創傷管理技術教育の有効性を費用対効果で証明し、教育の確立を目標としていきたい。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-