未就業歯科衛生士の現状の把握とその活用に関する研究

文献情報

文献番号
200835066A
報告書区分
総括
研究課題名
未就業歯科衛生士の現状の把握とその活用に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高木 裕三(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木好幸(国立大学法人 東京医科歯科大学 歯学部)
  • 遠藤圭子(国立大学法人 東京医科歯科大学 歯学部)
  • 藤原愛子(静岡県立大学 短期大学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科保健医療のニーズが多様化し拡大する中で、良質なサービスを効率的に提供するには、歯科医師と共にこれらを支えている歯科衛生士を充足することが重要である。ところが、我国の歯科衛生士名簿登録者のうち60%弱が未就業である。そこで、これらの未就業者を活用するために、高い未就業率の背景を明らかにして、再就業への意欲向上に繋がる方策を検討することを研究目的とした。
研究方法
本研究では、先ず全国の日本歯科医師会会員から無作為に抽出した3,610名を対象に「歯科診療施設における歯科衛生士の雇用状況と雇用者の意識について」のアンケート調査を実施した。次いで、公表されている統計データをもとに、2007年における未就業歯科衛生士数と再就業可能者数の推計を行い、加えて、オランダとデンマークにおける歯科衛生士事情を訪問調査により調べた。
結果と考察
歯科医師へのアンケート調査の結果、歯科衛生士を雇用している歯科医師(75.4%)は彼女等により多くの業務を期待し、雇用確保には待遇改善が必要であると考えていることが示唆された。しかし、歯科衛生士を雇用していない歯科医師は歯科衛生士に対する認識が異なっていることも明らかになった。また、12月の時点で約2割の診療施設が歯科衛生士の求人を行っており、充足がスムースに行われていない状況が示唆された。一方、公表されている人口統計と歯科衛生士免許登録者数を基準に推計した所、未就業者は59.3%で、その中で再就業可能な歯科衛生士数は49,118人と推計された。また、オランダおよびデンマークを調査した結果、両国では歯科衛生士が専門性と自立性を活かした歯科保健医療活動を展開しており、免許登録者の70~75%が就業していることがわかった。
結論
歯科診療施設へのアンケート調査の結果、法に規定されている歯科衛生士の業務は歯科医師に十分に認知されており、教育で重点が置かれている部分と歯科医師が求める資質や業務が一致していることが明らかになった。しかし、歯科衛生士の充足は必ずしもスムースに行われていない状況があると思われた。一方、オランダとデンマークでは歯科衛生士が疾病予防と健康増進を推進する重要な職種として国民から大いに期待されていることが明らかとなり、我国では歯科衛生士の業務範囲を含め、何らかの対応をはかる必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
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