歯科分野における診療ガイドラインの評価とその普及に関する研究

文献情報

文献番号
200835063A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科分野における診療ガイドラインの評価とその普及に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-017
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
石井 拓男(東京歯科大学 社会歯科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 杉崎 正志(東京慈恵会医科大学 歯科学教室)
  • 川崎 浩二(長崎大学病院 地域医療連携センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科領域における診療ガイドラインの普及・理解・定着を促進するために、1.現在及び今後の作成への取組についての把握、2.患者参加による診療ガイドラインの作成について検討する基礎資料の作成、3.歯科界の各臨床研究分野の方々で診療ガイドラインに関する情報を共有することを目的とした。
研究方法
1.歯科臨床系の25学会を対象にアンケート調査を行った。
2.NPO法人を一般集団の代表として、診療ガイドラインに関するアンケートを実施した。
3.関係学会・歯科医師会・大学を対象にシンポジウムを開催した。
結果と考察
1.22学会から回答を得た。平成18年度の調査に対し、既に作成済み、現在作成中、今後作成予定、いずれも増加した。歯科臨床系の学会は総じて診療ガイドラインへの取り組みに積極的である傾向が認められた。作成上の課題として、関係するすべての専門家グループの代表の参加は難しいこと、患者の参画等が挙げられた。作成の優先順位については、高頻度の治療、患者数が優先度が高かった。
2.EBM、医科診療ガイドライン、歯科診療ガイドラインいずれもほとんど知られていなかった。特に、歯科診療ガイドラインは、医科の半数程度と非常に低い認知度であった。医科診療ガイドラインについてはNPO法人の活動分野が「保健・医療・福祉」である方が「それ以外」より認知度が高く、歯科診療ガイドラインについては年齢が高い方が認知度も高いことが示された。8割強の方が歯科診療ガイドラインがあったほうが安心できると回答したが、3割の方は歯科診療ガイドラインから被る損失や被害について不安を持っていた。歯科診療ガイドラインの作成にあたり、患者参加をより一層推進すると同時に、国民向けの普及啓発の必要性が示唆された。
3.医科・歯科での実際の診療ガイドライン作成の経験を踏まえた示唆に富む講演・質疑がなされた。
結論
1.歯科臨床系の学会は総じて診療ガイドラインへの取り組みに積極的であるが、学会間の連携や患者の参画など、診療ガイドライン作成上の課題が明らかとなった。作成の優先順位については、高頻度の治療、患者数が優先度が高かった。
2.歯科診療ガイドラインへのニーズは高いことが示されたことから、今後、歯科診療ガイドライン作成への患者参加を推進し、国民向けの普及啓発の必要性が示唆された。
3.今後の歯科領域における診療ガイドライン作成・普及・理解・定着の促進に有意義なシンポジウムとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
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