医師のキャリアパスを踏まえた地域偏在等の動態分析および医師需給の適正化に関する研究

文献情報

文献番号
200835062A
報告書区分
総括
研究課題名
医師のキャリアパスを踏まえた地域偏在等の動態分析および医師需給の適正化に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 創一(東京大学医学部付属病院 企画情報運営部)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 政策科学部 計画科学室)
  • 井出 博生(東京大学医学部付属病院 企画情報運営部)
  • 康永 秀生(東京大学大学院医学系研究科 医療経営政策学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は,医師調査のデータを個人レベルで継時的に縦断化し,医師のコホート集団における診療科・業務内容・地域などの移動を分析することによって,特定診療科の医師数の動向,勤務医から開業医への異動,女性医師の就労状況とそれらに関わる要因等々を分析し,現下の諸問題に関わる現状把握と政策立案に資する資料を提供することを目的とする.
研究方法
多相生命表の原理を用いて,医師の診療科間移動の側面を考慮した医師の将来予測を行った.また,1972年から2004年における外科系医師の動態を分析した.医療施設調査から、1981-2005年における3年ごとの手術件数の集計値を引用し,手術件数の変化に影響を与える要因を分析した.さらに1981年以降に登録された医師の卒後20年までの届出及び就労状況を集計した。
結果と考察
2010年で内科10.7万人,小児科1.6万人,精神科1.4万人,外科5.3万人,産婦人科1.2万人,その他8.9万人で合計29.0万,2020年で内科11.8万人,小児科1.8万人,精神科1.6万人,外科5.3万人,産婦人科1.2万人,その他10.2万人で,合計32.0万人と推計された。外科医師の動態分析では,全般に外科からの離脱が増加している一方で,新規の参入が減少しており,外科系医師の平均年齢の上昇が認められた.また1996年以降,全外科系医師数・手術施設数はほぼ横ばいである一方,全身麻酔手術件数は増加しており,手術の低侵襲化がすすんでいる.医籍登録年別の就労状況の傾向は、男女とも離職ピークが1-2年遅くなる傾向がみられており、女性医師で顕著であった。休業、復職については、近年休業者数が復職者数を上回る傾向にあるものの、女性医師数全体が増加しており、全体における休業、復職の割合は一定に推移していることが明らかになった。
結論
医師の人材活用のためには、個人のキャリアパスに対応できる柔軟な雇用形態、及び人材のきめ細かな動態把握が必要であり、本研究はそのための基礎資料を提供しうる.

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-