医学部教育、臨床研修制度、専門研修を縦断するカリキュラムの作成と医師養成の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200835061A
報告書区分
総括
研究課題名
医学部教育、臨床研修制度、専門研修を縦断するカリキュラムの作成と医師養成の在り方に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
徳田 安春(聖路加国際病院 一般内科)
研究分担者(所属機関)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院 院長)
  • 後藤 英司(横浜市立大学医学研究院)
  • 大滝 純司(東京医科大学)
  • 小俣富美雄(聖路加国際病院)
  • 高橋 理(聖路加国際病院)
  • 大出 幸子(聖路加国際病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
縦断的で一貫性のある卒前卒後の医師養成カリキュラムのあり方を提案するため、本研究ではまず卒前の医学部教育に焦点を当て、海外調査および国内研修医を対象とした調査、その他最近における医学教育関係資料の収集などを実施した。
研究方法
1.医学部卒後1年目の研修医向けアンケート調査票の作成・実施・結果の分析を行った。
2.海外調査(英国・米国):医学部教育・医師国家試験と卒後研修における現行のシステムや新たな取り組みについて調べた。
3.卒前臨床実習カリキュラムについて学習目標の見直し提言の作成を行った。
結果と考察
1.英国および米国では、診療参加型卒前臨床実習が充実しており、診察技術を評価するための実技試験が広く導入されており、卒業生における卒後臨床研修準備度はわが国より高かった。
2.わが国の卒前診療参加型臨床実習の実施体制はいまだ脆弱であり、実習内容も不十分である。多くの卒業生が臨床実習全期間における受け持ち総入院患者数は少なく外来研修期間も短い。
3.「初期研修を始めるのに必要な臨床能力を身に付けていたか」という質問に対して「そう思う」と回答した者は英国や米国と比較して低く、その一因として診療参加型卒前臨床実習が充分でないことが挙げられる。また、このような学習目的の達成度に大学間で大きな差があった。
4.卒後臨床研修へのシームレスな移行と研修目標の達成を可能とするために、卒前臨床実習カリキュラムの学習目標の見直しが必要であり、本報告書に卒前臨床実習の経験目標についての提案を行った。
5.現在行われている医師国家試験の形式は多肢選択問題による筆記試験のみで、実技試験は行われていない。今後、診察技術の評価としての客観的臨床能力試験Objective Structured Clinical Examination(OSCE)の導入が望まれる。知識に関する試験は臨床実習開始前に行われている「共用試験」にて実施し、医師国家試験では臨床実習で身につけた能力をOSCEにより評価できるようになれば、卒前・卒後教育の一貫性を高めると共に、卒前・卒後両面の臨床教育の効果が高まることが期待できる
結論
わが国の卒前診療参加型臨床実習の実施体制と内容を整備し、国家試験により診療技術の到達度を評価すべきであると思われる。
 

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-