身体障害者補助犬使用希望者の訓練の効果測定のための研究

文献情報

文献番号
202118054A
報告書区分
総括
研究課題名
身体障害者補助犬使用希望者の訓練の効果測定のための研究
課題番号
21GC2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
清野 絵(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所・障害福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 温(筑波大学 人間系)
  • 山本 真理子(帝京科学大学 生命環境学部 アニマルサイエンス学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,732,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ニーズや適性のある障害者に適切に補助犬のサービスが提供されるよう事業者のサービスの質を確保することを目的として、①障害者評価:補助犬が適性のある障害者に適切に提供されるよう補助犬使用希望者への情報提供の実態を調査した。②法令検証:他制度との比較検討等を行い、今後の法制度のあり方を検討した。③訓練・認定の評価、フォローアップ:補助犬使用(希望)者と補助犬の合同(共同)訓練、認定、フォローアップの適切なあり方について検討した。
研究方法
1.障害者評価に関する研究
文献調査と都道府県の公式ホームページにおける、補助犬に関する情報提供の実態を調査した。
2.法令検証に関する研究
社会福祉法人や福祉サービスの指導監査等における根拠法令や自治体のホームページ等の情報の分析、補助犬の育成に関わる指定法人の関係者、利用者等からのヒアリングより、評価の方法や基準等についての文献整理と調査を行った。
3.訓練・認定の評価、フォローアップに関する研究
一連の過程に関する文献調査、訓練事業者と補助犬使用者へのアンケートおよびヒアリング調査をした。
結果と考察
1.障害者評価に関する研究
文献調査の結果、障害者への補助犬や手続きについての情報提供が充分でない、理解促進や普及啓発の取組が少ないという制度の入口の課題が示唆された。都道府県の情報提供体制の調査の結果、補助犬、使用希望者への説明、育成事業、相談窓口という基本情報について記載がない都道府県があり、障害者に必要な情報が充分に提供されていない課題が明らかになった。さらに、補助犬の相談窓口は都道府県によって異なっており、また自治体ではなく訓練事業者が窓口となっている場合があった。相談窓口で提供されている情報や対応に差がある可能性が示唆された。今後、都道府県における補助犬やその利用手続の情報提供、潜在的な使用希望者への補助犬の普及啓発について基礎的な情報提供の内容やあり方を検討していくことが期待される。
2.法令検証に関する研究
指定基準に関しては、利用者である障害者の障害特性、生活状況、社会参加の意味付け等における補助犬の果たす役割を検討した上で、利用者と補助犬とのマッチングを含めた支援が可能な施設を指定できるような基準が必要であることが示された。指導監査に関しては、訓練事業者には指導監査が入るが、自治体が監査にその労力を十分割けるのかといった課題があり、現実に即した実効性のある監査の方法を検討する必要がある。補装具費支給制度との比較では、相談窓口として更生相談所等がその業務にあたるとされている。しかし、盲導犬において盲導犬希望者は直接訓練事業者に相談することが一般的にみられた。聴導犬も同様で、視覚・聴覚障害者自身の生活背景や障害の状況、それに合わせた補助犬以外の支援に関するアドバイスが不十分ではないかという指摘がみられた。補助犬利用に関する制度の情報提供や相談支援に関しては、盲導犬・聴導犬希望者は直接訓練事業者に相談することが一般的であった。しかし、全国一律のフレームワークに沿ってアセスメントが進められることは困難なことから、訓練施設・事業者の理念や担当訓練士によって差が生じる課題がみられた。
3.訓練・認定の評価、フォローアップに関する研究
調査の結果、補助犬使用(希望)者と補助犬の合同(共同)訓練、認定、フォローアップについて、明確な基準が存在しないことで、補助犬の制度が正しく運用されていない一面が見られた。補助犬と生活する使用者の自立と社会参加が正しく行われるためには、一連の手続きが明確となり、訓練事業者や指定法人間で統一されていることが必要であると考える。
結論
1.障害者評価に関する研究
都道府県の「地域生活支援事業」における補助犬の利用手続の情報提供や、潜在的な利用希望者への補助犬の普及啓発について基盤となる基礎的な情報やあり方を明らかにしていくことが必要である。
2.法令検証に関する研究
指導監査に関しては、訓練事業者には指導監査が入るが,指定法人は厚労省が指定し一度指定を受けると更新や監査がないことが課題として挙げられていた。現実に即した実効性のある監査の方法を検討する必要がある。「補装具」に補助犬すべて含め、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度に一元化を図る必要性が示された。障害者への相談は医療福祉施設・行政窓口の専門職が担う必要性が示された。
3.訓練・認定の評価、フォローアップに関する研究
補助犬使用者の調査から、補助犬使用(希望)者と補助犬の合同(共同)訓練、認定、フォローアップについて、明確な基準が存在しないことで、補助犬の制度が正しく運用されていない一面が見られた。補助犬と生活する使用者の自立と社会参加が正しく行われるためには、一連の手続きが明確となり、訓練事業者や指定法人間で統一されていることが必要であると考える。

公開日・更新日

公開日
2023-01-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
9,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,110,836円
人件費・謝金 1,037,540円
旅費 34,640円
その他 3,548,984円
間接経費 1,268,000円
合計 9,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
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