新医師臨床研修制度において有効な研修成果を挙げるための院内体制および地域医療研修の整備に関する研究

文献情報

文献番号
200835060A
報告書区分
総括
研究課題名
新医師臨床研修制度において有効な研修成果を挙げるための院内体制および地域医療研修の整備に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
堺 常雄(聖隷浜松病院)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 貴子(聖隷浜松病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.屋根瓦方式の研修体制を整備する
2.地域保健・医療研修の効果を検証する
3.将来の地域連携の基礎を構築する
ことにより、研修体制整備、指導医負担軽減、地域の医師育成の基盤をつくる。
研究方法
1.理想的な屋根瓦方式を構築している国内外の医学校・病院を視察し、当院で屋根瓦チーム医療体制を構築する
2.地域保健・医療研修終了時に、研修が地域医療への認識に及ぼす影響について抽出する
3.将来の地域連携構築に活かせる家庭医療専門医カリキュラムを策定する
結果と考察
1.屋根瓦方式での業務分担によって指導医の事務業務軽減が得られ、また指導することで知識や技術が自動的にup dateできるインセンティブが得られた。屋根瓦研修体制はこれ以外にも、①学会専門医を取得した指導医も専門領域に限らず、どの領域にも必要な診療に携わり自己のキャリアアップにつながり、「教えることが学ぶことである」という指導理念を後輩にhands-onできた②臨床研修医に密に関わることにより、将来にわたる良好なコミュニケーションが期待できた③専門領域に興味が持てるように指導でき、後期研修先として選択してくれる可能性が生まれた。さらに副次的にコメディカルにとって④チームメンバーが明確で指示経路がわかりやすくなった、などが得られた。人材育成が文化として根付いている場合は、組織から高い評価を得ると指導医のモチベーションがあがり、研修医に尊敬される指導医であることは自己のキャリアとしても重要、さらに病院にとっては熱心な指導医は学生や研修医に対する大きなアピールとなることがわかった。
2.「地域保健・医療」研修は、家庭医や老年医療に対する認識が深まり、将来専門とする診療科に影響を与えるほど満足度が高かった。臨床研修理念の「将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識し・・」に叶っているものと理解できる。
3.地域に密着した診療所および医療環境・地域性の異なる病院での選択研修を可能とするプログラムを作成した。将来の保健予防活動、福祉、介護を含めた3次医療圏への貢献が期待できる。
結論
医療においては教育の機会が増え人材育成に携われることを、むしろインセンティブととらえることが必要であろう。将来専門科診療を行うとしても、地域完結型全人的医療を全うするためには急性期病院における屋根瓦診療や地域保健・医療が有効である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835060C