医師過剰業務解消に向けた新たな医療専門職育成のための予備的研究

文献情報

文献番号
200835059A
報告書区分
総括
研究課題名
医師過剰業務解消に向けた新たな医療専門職育成のための予備的研究
課題番号
H20-医療・一般-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 龍太(昭和大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 淑美(大阪大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年急速に地方の基点病院、救急病院の医師不足が顕在化してきた。この理由は質の高い安全な医療の要望、医療紛争の多発、救急患者の集中、法令遵守による規律の要望、研修医制度による医師の偏在、教育の負担等が医師に重くのしかかり、医師の業務負担、精神的負担が急激に増大し、医師の疲弊感、が強まったためであると考えられている。今回の研究では勤務医師の業務負担増の原因を解明し業務改善のために医療分野に新しい職種を導入し、分業による医療者負担減を提案する。
研究方法
A.研究は2年計画で研究全体の計画は以下である。
①日本の救急病院勤務医・看護師の業務の実態とストレスの原因を調査する。
②そのうち業務分業が可能な業務を具体化する。
③分業可能な業務のうちどの業務分業の要望度が強いかを調査する。
結果と考察
アンケート調査結果
vi)今回リストしたのは以下の職種である。
病院内のクレームに対応するメディエーター、
インフォー ムドコンセントを行うICコーディネーター、
診断書 を書く診断書作成師、
麻酔看護師、
診断的読影ができる放射線読影技師、
体位交換、食事介助等を行う病院内介護師
研修医・学生の教育とケアを行うメンター、
診療録記載をするトランスクリプター、
リハビリ処方を行うリハ処方技師、
静脈確保を行う静脈確保専門看護師
専門領域をもつナースプラクティショナー

有資格院内メディエーターと院内介護市士、専門ナースが有用度、必要度、緊急度すべてに高いことがわかった。

結論
①今回のアンケートで医療者の業務負担感が強いことが分かった。管理職は会議、教育等が負担であるが、これはある程度許容できる。一般医師は直接臨床業務ではない診断書記入や事務的な業務に負担感が強い。この部分は業務分担を行う職種を育成することで改善が見込まれる。
③ 療崩壊の原因の最も大きなものは現在の医療政策である。これに関しては医療政策のどの部分が問題であるか今後検討を進めたい。
④ 分担する職種として最も強く望まれたものは紛争に対応するメディエーターである。医療紛争が如何に医療者の負担になっているかをうかがわせる。
⑤ また院内介護士も強く望まれている。教育の専門家や、専門ナースといった専門に特化した職種も望まれており、今後の対策として有用な結果を得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-