外科系医療技術修練の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200835058A
報告書区分
総括
研究課題名
外科系医療技術修練の在り方に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 哲(北海道大学 大学院医学研究科 腫瘍外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 七戸俊明(北海道大学 大学院医学研究科 腫瘍外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 外科系の医療技術修練、特に手術手技の技術向上を目指したトレーニングは医療安全、卒後教育の観点から必須である。本研究の目的は、種々のトレーニング方法を分析・整理し、理想のトレーニング方法の在り方について外科系各分野の共通認識をとりまとめることにある。
研究方法
 外科関連学会協議会の13学会、それ以外の外科系の日本医学会分科会の11学会、計24学会の代表者が調査研究に参加した。調査用紙を用いて、各学会ごとに、臓器別、難度別に代表的術式を挙げて、実地臨床(OJT:on the job training)、模型、コンピューター・シミュレーション、動物、cadaver(死体)による技術修練の位置付けを調査した。また、修練方法別に長所、短所などの特性を検討し、cadaver trainingについてはその必要性と有用性および代替する修練方法の有無について調査した。
結果と考察
 OJTは外科系各分野において必須なトレーニング方法ではあるが、教育体制、症例数などに施設間の格差が存在する。また、トレーニングにさいしては患者に不利益とならないような細心の注意の下に行うべきである。
 動物を用いた修練は基本的な手術手技の習得や内視鏡手術などの新たな手術手技の習得に有用であるが、施設が少なく、費用が高く、研修機会が限られるなどの問題がある。手術修練を目的とした動物実験施設の充実が望まれる。
 cadaverによる技術修練は複雑で難解な解剖を有する領域の手術手技において必要性と有用性が認識されている。諸外国において行われているcadaver trainingを国内でも実施可能にするためには、海外での実施状況の調査はもちろんのことcadaver training の必要性に対する医療者側のコンセンサスの形成、献体を登録するボランティアとその家族ならびに広く日本国民の同意の形成、法的な整備の要否の検討ならびに、解剖学会などの関係する諸団体の協力が得られるような運用体制の整備が必要である。
結論
 cadaverによる技術修練は、複雑で難解な解剖の領域でその有用性が認識されているが、国内においては実施環境が整っていない。今後、国内での実施に向けた取組としては、関係各方面の合意をはじめとした体制整備に必要な事項を整理することが必要である。諸外国の現状についての情報収集も求められる。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835058C