「診療行為に関連した死亡の調査分析」における解剖を補助する死因究明手法(死後画像)の検証に関する研究

文献情報

文献番号
200835053A
報告書区分
総括
研究課題名
「診療行為に関連した死亡の調査分析」における解剖を補助する死因究明手法(死後画像)の検証に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
深山 正久(東京大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長村 義之(東海大学医学部)
  • 岡 輝明(関東中央病院)
  • 山本正二(千葉大学医学部)
  • 菊地和徳(筑波メディカルセンター病院病理科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「診療行為に関連した死亡の調査分析」における解剖を補助する死因究明手法(死後画像)の有用性について検討した。
研究方法
1) 研究分担者に20名の検討委員(救急2名,放射線7名,法医4名,病理7名)を加え,症例検討会を組織した。2) 「死後画像が死因究明に寄与する度合い」について解剖調査前に判断を下す状況を考え,モデル事業公表症例を用い予測シミュレーションを行った。3) モデル事業の解剖調査施設として参加している東京地域の病院・施設に所属する病院長,病理ならびに放射線科責任者を対象に,死後画像撮影に関する実施可能な形態についてアンケート調査を行った。4) 東京大学,東海大学では各々4週間,モバイルCT装置(後者ではMRI併用)を用いて,他の施設では臨床装置を用いて、死後画像を得た後に遺体解剖を実施した。
結果と考察
1)検討会:4回にわたり,典型症例10例,実施例6例について検討した。死後画像による病変の検出に関して,正確度が高い病変,疾患が存在するが,異常所見の死因に対する寄与を評価するには,他臓器所見を含めた総合的な検討が重要であり,死後変化を含めた「画像上異常所見」,ならびに「画像上陰性所見」の確度に関するエビデンスの集積が必要である。2)シミュレーション:判断予測について放射線科医同士を含め,評価者間で違いが大きいことが判明した。3)アンケート:自施設臨床装置を他施設症例の撮影に供することには否定的な意見が多かった。4)実施研究:東京大学での実施例は、病理解剖6、モデル事業調査解剖1、司法解剖10症例(医療関連死1、病死2)であった。東海大では、病理解剖2、法医解剖10症例であったが、経時的な撮影を行い、肺など重要臓器に死後変化の所見が示された。 研究分担者の施設では、臨床装置を用いて、千葉大学(病理解剖10例)、筑波メディカルセンター (病理解剖4、法医解剖16例)、関東中央病院(病理解剖2例)、ならびに研究協力施設として東京逓信病院(病理解剖2例)、昭和大学(病理解剖2例)において検討が行われた。
結論
死後画像は解剖調査前の情報として調査を補完する上で有用である。ただし、解剖調査に進むための前段階で用いる場合には、「一定の限界性をもつ」ことについて遺族に十分説明をする必要がある。死後変化を含めた「画像上異常所見」、ならびに「画像上陰性所見」の確度に関するエビデンスの集積が必要である。死後画像の撮影に関しては、「事例が発生した当該施設での撮影」は実施可能であると推定されるが、臨床装置を利用する際のガイドラインが必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-09
更新日
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