就労系障害福祉サービスの支給決定プロセスにおける職業的なアセスメントを介した多機関連携のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
202118040A
報告書区分
総括
研究課題名
就労系障害福祉サービスの支給決定プロセスにおける職業的なアセスメントを介した多機関連携のあり方に関する研究
課題番号
21GC1009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
前原 和明(秋田大学 教育文化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 八重田 淳(筑波大学 人間系)
  • 縄岡 好晴(大妻女子大学人間関係学部)
  • 西尾 香織(小泉 香織)(帝京平成大学 健康メディカル学部 作業療法学科)
  • 後藤 由紀子(筑波技術大学 産業技術学部)
  • 大谷 博俊(鳴門教育大学大学院)
  • 山口 明日香(藤井 明日香)(高松大学 発達科学部)
  • 野崎 智仁(国際医療福祉大学 保健医療学部作業療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者の職業的自立の促進に向けては、支援利用する障害者の希望や適性に応じた支援の提供を前提としつつ、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援といった就労系障害福祉サービス全体が一般企業への移行に向けた支援の必要性を共通認識することが必要不可欠である。そのためにも、障害福祉サービスの支給決定等の過程において、障害者に対して適切なアセスメントが実施され、その結果を障害者本人も含めた関係者が共有し、活用していくことが重要である。この研究では、支給決定に関連するプロセスにおいて効果的なアセスメントと多機関連携を実行していくことできる支援モデルを収集し、この収集された実践モデルを広く全国に周知し、研究成果を実践現場に還元することを目的とする。
研究方法
1)職業的アセスメントを介した連携促進に向けたモデル事例の収集:2021年4月~2022年の3月の期間において、全国11カ所における自立支援協議会等の団体に協力を頂き、地域における取組みを実施した。この参与的かつ継続的な研究に関わるというアクションリサーチで得られたモデル事例を研究データとした。
2)職業的アセスメントの内容に関する研究:日本語を母国語とする3名の研究者らが協議しつつ翻訳した。次に、2021年10月15日~11月19日に、全国の障害者就業・生活支援センター、336所に対して郵送調査を行った。
3)知的障害当事者の社会参加に対するニーズ調査:2022年1月14日~2月10日の期間で、秋田市手をつなぐ育成会の会員316世帯に調査を行うこととした。
倫理面への配慮:研究実施に際しては、研究倫理審査委員会等での承認を得た。かつ、研究対象者に対する人権権利上の配慮、不利益・危険性の排除や説明と同意(インフォームド・コンセント)を十分に行い、研究を実施した。
結果と考察
1)全国11地域におけるモデル事例収集を行った。現在、このモデル事例はアクションリサーチとして継続的に実施されているが、現段階の収集状況から、11地域を2つの段階に分類できると考えられた。その段階とは、「第1段階:未準備段階」と「第2段階:実践展開段階」である。地域の違いはあるが、これらの段階に地域は分類され、また二つの地域は段階としてつながっていると考えられた。
2)アセスメントの実施促進に向けた一つの視点として、米国のIntake Assessment and Outcome Evaluation (IAOE)の日本語版の開発を行った。これを障害者就業・生活支援センターに所属する就業支援者を対象として、調査を行った。次にIAOEの全ての項目の実行状況について調査した。結果、職業リハビリテーションの従事者は、精神障害者及び発達障害者において、利用者に関するアセスメントを多く実行し、精神障害者のみにおいて、健康に関するアセスメントを少なく実行し、資金に関するアセスメントを多く実行していた。本研究は、職業リハビリテーションにおいて実行されるアセスメント内容を明らかにし、この実行の改善に向けた視点を示すことができた。
3)知的障害当事者は、支援ニーズとして、生活面に関連した項目が多く把握された。今回の対象となった当事者は、主に就労系障害福祉サービスを利用する当事者であった。自由回答からは、「親亡き後」の生活に向けた不安が大きく記載されており、その意味で、親亡き後も視野にいれた生活面での自立等の支援ニーズが高く把握できたと考えられる。また、IAOEと同じ構成で作成した調査項目のため、障害者就業・生活支援センターの支援実態との差異について分析した。当事者は、対象者の能力評価についての把握が得点として高かったのに対して、障害者就業・生活支援センターの支援実態としては、就労支援の内容や手続き、訓練に関する項目の得点が高かった。回答者の背景からは、一般企業における就労に向けた支援の見通しが持てないことや、必要となる情報の制限があると考えられた。
結論
本研究では、就労系障害福祉サービス事業所の支給決定場面におけるアセスメントの実施促進に向けたモデル的取組みの事例を収集している。この事例については、最終的にモデル事例として事例集として実践現場に還元することとしている。この事例及び研究で得られたデータ等を用いて実践現場に還元を行うことで、就労系障害福祉サービス事業所の実践者にとって就労支援を実施する上で有用な視点を提供すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,955,000円
(2)補助金確定額
6,955,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,139,072円
人件費・謝金 6,000円
旅費 7,992円
その他 2,201,441円
間接経費 1,605,000円
合計 6,959,505円

備考

備考
研究分担者において、自己資金、合計 4,505円が発生したため

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
2024-03-26