障害特性に対応した住居の構造等の類型化のための研究

文献情報

文献番号
202118039A
報告書区分
総括
研究課題名
障害特性に対応した住居の構造等の類型化のための研究
課題番号
21GC1008
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
松田 雄二(東京大学 大学院工学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 顕(横浜市総合リハビリテーションセンター 研究開発課)
  • 熊谷 晋一郎(東京大学 先端科学技術研究センター)
  • 亀屋 惠三子(豊田工業高等専門学校 建築学科)
  • 藤井 里咲(東京電機大学 未来科学部 建築学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、障害特性(身体障害、医療的ケア、強度行動障害、高次脳機能障害等)に対応した障害者グループホーム(共同生活援助、以下「障害者GH」)や障害者支援施設を対象として、それぞれの障害特性に対して効果的な住宅構造を類型化するとともに、その費用対効果を明らかにし、障害福祉サービス等報酬改定や社会福祉施設整備費補助金等の今後のあり方の検討における基礎的資料を作成することを目的とした。加えて、それらの結果をとりまとめ、事業者等が参考にできるガイドブックの作成も目的とした。
研究方法
本研究は、障害者GHと障害者支援施設を対象とした悉皆アンケート調査と、いくつかの好事例を対象とした訪問調査(事例調査)により構成される。令和3年度は、前者の悉皆アンケート調査を実施した。アンケート調査では、研究代表者・分担研究者によって、アンケート項目の精査を行い、その後研究協力者にアンケート項目の妥当性について意見を伺った。結果として、アンケートでは入居者属性、建物のバリアフリー・面積等の状況、建設費、設備備品費、建設時・改修時の建築的工夫、職員の負担感、入居者の障害に関する行動の程度、建物に対する満足度などについて聞いた。
結果と考察
的工夫をまとめ、満足度の高い施設・GHで行われている建築的工夫を示した。結果として、障害者GH、障害者支援施設のそれぞれにおいて、下記の傾向が示された。
障害者GH:全ての施設分類において、居室・トイレ・浴室の大型化、玄関のバリアフリー化が満足度の高いGHで行われている傾向が見られた。また、重度型GHでは、他の分類と比較して、負担感及び入居者の行動の程度が全般にわたり満足度に影響を与えており、ほぼ全ての建築的工夫が有意に多く行われていた。強度行動障害のある入居者がいる障害者GHでは、他の分類と比較して、負担感及び入居者の行動の程度が全般にわたり満足度に影響を与えている。また、共用部で多くの工夫が行われ、高満足度のグループホームではテレビカバーの設置が有意に多く取り入れられていた。
障害者支援施設:強度行動障害のある入所者が過半の施設では、行われている工夫・高満足度と関係した工夫における傾向が、他の分類の施設とは異なっており、共用部で多くの工夫が行われ、また排泄に関する工夫が満足度の高い施設で行われている傾向があった。また、居室やトイレ、浴室における天井走行リフト設置は、強度行動障害がある入所者が過半の施設以外で行われる傾向があった。また、これらの施設のうち満足度が高い施設では、「特化ユニット設置」「居室リフト設置」「居室防音壁床採用」「トイレ大型ベッド設置」「脱衣室リフト設置」等が行われている傾向がある。これらに加え、居室を最低面積より広くすることは、すべての施設分類において、高満足度の施設で行われている傾向が見られた。また、障害特性の有無と施設整備における建設時の建築的配慮の有無に関して、重度身体障害や高齢化などについては、配慮が見られるものの、強度行動障害においては建築的配慮が見られない結果となった。他方で、改修時には強化窓の設置や壁・床の材料の変更等、強度行動障害を想定したと考えられる工夫が多いことから、施設建設時には強度行動障害への建築的配慮の知見が少なく、建設時には配慮ができていなかったが、施設を利用する中で発生した問題に対応して改修が行われたと考えられる。これら工夫については、職員の負担感・建築への満足度ともにポジティブに作用しており、これら工夫の具体的な内容をとりまとめ、周知を図ることは、極めて効果が高いことが期待される。
結論
 令和3年度は、全国の障害者支援施設・障害者GHを対象とした悉皆アンケート調査を実施し、強度行動障害、車椅子使用者、医療的ケア、高次脳機能障害等の多様な障害特性の全国的な入居状況、入居者の心身の状況と取り入れられている建築的工夫との関係、建築的工夫の内容による満足度の傾向等を整理した。
 令和4年度は、アンケート調査結果のさらなる分析を行い、またこれらの調査結果を参照し、好事例を特定した上で、訪問による事例調査を実施する。加えて、一連の調査結果を取りまとめたガイドブックの作成を行うことを予定している。

公開日・更新日

公開日
2023-01-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-01-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118039Z