地域共生社会の実現に資する障害福祉人材の確保、養成のための研究

文献情報

文献番号
202118038A
報告書区分
総括
研究課題名
地域共生社会の実現に資する障害福祉人材の確保、養成のための研究
課題番号
21GC1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
岩崎 香(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 創生(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)
  • 種田 綾乃(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 社会福祉学科)
  • 野澤 和弘(植草学園大学 発達教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 社会福祉分野での人材育成・確保は喫緊の課題である。児童、高齢、障害という形で3つの領域が並び称されるが、少子高齢化で注目されている児童、高齢領域と比較して、障害領域は我が事としての理解を得ることが難しい。しかし、今や障害者は行政が把握しているだけでも100万人に届く勢いで、障害福祉サービスの予算額はここ10年で2倍以上に増加している。そこで、本研究では、障害福祉人材の確保が困難な理由を明らかにするとともに、確保と定着のために有効な方策を提案することを目的としている。
研究方法
 一つには、大学生を中心とした若者層を対象としたアンケートを実施し、人材確保が困難な理由を探る。二つ目の調査では、事業を実施している法人を対象に人材確保の効果的な方法などについてヒアリング調査を実施する。。三つ目の調査として、他業種から障害福祉領域への潜在的な転職希望者の福祉業界への転職に向けた準備・再教育のためのカリキュラムやハンドブックの作成を行う。
結果と考察
 アンケート調査については、社会福祉領域の学部・学科、保育領域の学部・学科、看護領域の学部・学科やその他の関連するリハビリテーション領域の学部・学科に所属する、学部2、3年生約500名を対象とし、オンライン調査会社に委託して実施した。調査の結果、有効回答が得られた472名のうち、約200名が福系学領域の回答者であり、47名が就職・進路先として障害福祉分野を希望していた。志望理由として、「人や社会の役に立ちたいから」「社会的なハンデを持つ方に関心があるから」が支持される傾向にあった。福祉領域を志望しない理由については、「他によい仕事があるから」「給与等の収入が多くないから」と回答した学生が多く、障害福祉分野を選択する理由と選択しない理由についての輪郭を明らかにすることができた。
 「魅力」の言語化および発信に向けた先駆的実践者へのインタビューについては、事業を実施している法人が障害福祉領域の「魅力ややりがい」を言語化し、発信するための効果的な方法を明らかにすることを目的として実施した。一般社団法人 FACE to FUKUSHIが運営するウェブサイト上で告知された福祉就職フェアの出展法人のうち、対象要件を満たす事業所をFACE to FUKUSHIによる推薦をもとに選定し、調査協力の同意を得た18法人を調査協力機関とした。その結果、障害福祉の魅力・やりがいの要素として17のカテゴリが抽出された。また、人材確保に関する取り組みとしては、ターゲット層に関する要素として11カテゴリ、採用のためのチーム・体制づくりに関する要素としては6カテゴリ、多様なツールの効果的な活用に関連する要素として15カテゴリ、採用活動で大切にしている視点や工夫として10カテゴリが抽出された。調査を通じて障害福祉に関する「魅力・やりがい」の要素が整理され、人材確保・人材育成において先駆的な実践を行う法人の具体的な取り組みの実際や、効果的なツールの活用方法、人材確保に関する取り組みにおいて大切にしている視点や要素などが明らかになった。
 他業種からの転職希望者など潜在的な福祉人材の確保に関する研究においては、先行研究を参考にしながら、研修用冊子「企業等からの転職者ガイド(仮)」の素案を作成した。また、いきなり福祉業界に入ることは抵抗がある場合が多いと考えられるため、福祉業界や福祉の考え方を理解するための冊子として、「福祉ではたらく人のために(仮)」の素案を作成した。
結論
 令和3年度の調査結果から社会福祉学領域の学生の中に一定数、障害福祉分野を希望する学生がおり、人や社会の役に立ちたいという気持ちや障害のある人への関心などが動機となっていることが明らかとなった。しかしながら、障害福祉分野を希望しない理由として、給与水準の低さと他の仕事への興味が上回っていることが挙げられていた。
 福祉の「魅力」の言語化及び発信に向けたヒアリング調査では、人材確保・人材育成において先駆的な実践を行う法人の具体的な仕組みやツールの活用方法などを整理することができた。
 他業種からの転職希望者など潜在的な福祉人材の確保に関する研究においては、福祉業界に関する知識が十分に伝わっていない点などに課題があるため、転職者に活用してもらえる2冊の冊子の素案を作成し、今後ブラッシュアップしていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
5,938,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,062,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 507,420円
人件費・謝金 1,721,867円
旅費 0円
その他 2,359,594円
間接経費 1,350,000円
合計 5,938,881円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
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