院内事故調査委員会の運営指針の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200835051A
報告書区分
総括
研究課題名
院内事故調査委員会の運営指針の開発に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
相馬 孝博(名古屋大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 良夫(南山大学南山大学大学院法務研究科医事法学)
  • 樋口 範雄(東京大学大学院法学政治学研究科英米法・信託法・医事法)
  • 高橋 英夫(名古屋大学大学院医学研究科救急集中治療医学)
  • 長尾 能雅(京都大学医学部附属病院医療安全管理室)
  • 藤澤 由和(静岡県立大学,医療社会学・医療政策学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究においては、昨今、厚生労働行政において求められている医療安全対策の現状と課題を鑑み、自律的、かつ社会的な説明責任を果たしうる院内医療事故調査委員会のあり方に関する具体的な方策をエビデンスに基づき検討し、その運営指針についての提言を行うことを目的とした。
研究方法
本研究においては、各研究者や医療機関における担当者との議論を踏まえ、提言を作成する上で基礎的な情報となる事故調査委員会の基本用件と必須機能の抽出、委員会の複数カテゴリレベルの設定、医療機関を対象とした質的調査の実施と量的調査の準備、指針原案に関する研究班内外における最終的な意見調整を踏まえ、最終的な指針(案)の作成を行った。
結果と考察
本指針は大きく3つに分けて構成されている。最初に院内における臨床病理検討会や病因死因検討会を基盤にした調査検討方法(仮称A型委員会)について、次にいわゆる重大事故を念頭に外部委員の参画を求める調査検討方法(仮称B型委員会)について記載し、さらにB型委員会の検討対象となりうる医療事故の例を付記している。いずれの委員会も主たる目的は再発防止と医療の質と安全の向上にあるが、特にB型委員会では、専門性、中立性、公平性、透明性を一層確保するために外部委員の参画を求めている。
 本指針はその主たる目的を各々の医療機関の提供する医療の質と安全の向上とし、合わせて有効な再発防止策を全国的あるいは国際的に共有し、以て医療に対する不安の軽減に資することを想定している。医療機関内の事情に通じた院内の医療従事者を中心にして、また必要に応じて広く院外専門家の協力の下に、原因分析と対策立案を行うべきものとして設計している。B型委員会は、本来日常的にA型委員会を適切に開催している医療機関においてはじめて可能な営みであり、A型委員会の延長線上にあるものである。特に専門性、中立性、公平性、透明性を一層確保することの目的に加えて、患者あるいはその家族に対し、医療における予期しない結果についての説明責任を尽くすことも重視している。
結論
各医療機関において質改善活動の機能を高め、説明責任(アカンタビリティ)を担保するため、個別に作成されるべき院内におけるアウトカム検討ないし事故調査のための規則を作成するにあたって、それを担う組織がどう構成され、どのような対象事例に対して、如何なる手続きの下に議論が進められるかについて、一定の方向性を提示し、各医療機関内に於ける検討を容易にすることに対して寄与すべく提案をするものである。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-