地域特性に応じた発達障害児の多領域連携における支援体制整備に向けた研究

文献情報

文献番号
202118034A
報告書区分
総括
研究課題名
地域特性に応じた発達障害児の多領域連携における支援体制整備に向けた研究
課題番号
21GC1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
本田 秀夫(信州大学 学術研究院医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 加恵子(国立成育医療研究センター)
  • 小林 真理子(山梨英和大学 人間文化学部)
  • 日詰 正文(独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 総務企画局研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 発達障害の支援は、住んでいる地域で乳幼児期から切れ目なく多領域連携のもと提供されることが重要である。一方、自治体の規模などの要因による地域特性の違いから、支援体制のあり方も一様ではない。また発達障害支援における多領域連携の実態についても明らかではない。発達障害児やその家族が地域で切れ目なく必要な支援が受けられるよう、各自治体が地域特性を考慮した多領域連携による支援体制を構築する必要がある。
 本研究では、地域特性に応じた発達障害児の乳幼児期から学齢期のステージにおける多領域連携支援体制の標準的な流れを示すこと、および各自治体が個々の事例に対して多領域連携支援体制の流れを作成するための手引きを作成することを目的とする。
研究方法
1.発達障害の医療体制に関する法制度整備に関する調査研究(分担:本田秀夫)
 発達障害児者に対する地域の医療体制整備に関して、わが国の法制度でどのように規定されているかを整理して課題の抽出を試みた。
2.母子保健領域における発達障害支援に関連する法制度と社会資源-現状と課題-(分担:小倉加恵子)
 母子保健領域において、発達障害児の支援体制の整備に関連する法制度や社会資源について文献調査を実施し、現状と課題を整理した。
3.児童福祉領域からみた発達障害児支援(分担:小林真理子)
 発達障害児の主として就学前までの支援サービスの整理を行うことを目的として、3つの研究を行った。
(1)発達障害児の支援施策の概観に基づく公的支援サービスの基礎データ作成
(2)発達障害児のための支援サービス機能の分析
(3)発達障害児のための支援サービスマップ作成の検討
4.学校教育における発達障害者支援に関する学校と関係機関との連携体制に関する調査研究(分担:本田秀夫;協力:田中裕一)
 学校教育における発達障害児支援に関する学校と関係機関との連携体制について把握することを目的として、法令や文部科学省の通知等を基に整理を行った。
5.高齢期の発達障害者支援に関する地域支援体制に関する調査研究(分担:日詰正文)
 高齢期の発達障害者に関する地域支援体制の状況について、調査研究等の報告でどのように取り上げられているかについて把握することを目的とした文献レビューを行った。
6.多領域連携による地域支援体制のための地域診断マニュアルの作成(分担:本田秀夫)
 地域の支援システムの充足度と課題を可視化して評価するための評価ツールとして開発された「発達障害の地域支援システムの簡易構造評価(Quick Structural Assessment of Community Care System for neurodevelopmental disorders; Q-SACCS)」を用いて、各基礎自治体の支援従事者や行政担当者が支援体制に関する地域診断を行うためのマニュアル作成に取り組んだ。
結果と考察
 1~5では、医療、母子保健、児童福祉、学校教育、障害者福祉の各領域における発達障害児者支援に関する法制度や公的事業等の変遷と現状について文献調査を中心に整理した。さらに研究協力者による意見交換や自治体の発達障害担当職員へのヒアリング等によって支援体制整備における課題を整理し、「支援サービスマップ」作成に着手した。
 6では、地域の支援システムの充足度と課題を可視化して評価するための評価ツールとして開発された「発達障害の地域支援システムの簡易構造評価(Quick Structural Assessment of Community Care System for neurodevelopmental disorders; Q-SACCS)」を用いて、各基礎自治体の支援従事者や行政担当者が支援体制に関する地域診断を行うためのマニュアルを作成し、全国の都道府県および市区町村の発達障害・知的障害担当部署、精神保健福祉センター、発達障害者支援センターに郵送で配布した。また、マニュアルの内容のダウンロードと解説動画の閲覧ができるように、専用ウェブサイトを作成した。
(https://q-saccs.hp.peraichi.com/)
結論
 初年度の研究によって、発達障害児およびその家族に対する地域支援について、すべての基礎自治体で共通に整備されるべきと思われる支援の流れの骨子と、人口規模などの地域特性に応じた柔軟な運用を可能とするシステム・モデルのあり方を提示するための資料が整理された。次年度は、個別の事例に関する支援の流れの可視化を可能とする手引きを作成することにより、国内のすべての地域で発達障害児およびその家族が確実に支援サービスを受けることができる体制づくりを目指したい。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
8,454,000円
差引額 [(1)-(2)]
546,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,882,382円
人件費・謝金 2,462,170円
旅費 0円
その他 2,109,763円
間接経費 2,000,000円
合計 8,454,315円

備考

備考
自己資金315円

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-