医療機関の規模や特徴に応じた職員研修の具体的で効果的なカリキュラムの作成と実際の活用と普及

文献情報

文献番号
200835049A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関の規模や特徴に応じた職員研修の具体的で効果的なカリキュラムの作成と実際の活用と普及
課題番号
H20-医療・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
嶋森 好子(慶應義塾大学 看護医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 美雪(山梨県立大学看護学部・基礎看護学)
  • 福永 秀敏(独立行政法人国立病院機構南九州病院)
  • 鮎澤 純子(九州大学大学院医学研究院 医療経営・管理学講座)
  • 長尾 能雅(京都大学医学部附属病院 医療安全学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機関の規模や特徴を考慮した医療安全のための基本的な(標準的)汎用性のある研修プログラムを作成することが目的である。大規模病院に比べ、有床・無床診療所や助産所等における安全確保体制は充分ではない。そこで本研究では、中小規模の医療機関における安全確保のための研修をいかに実施していくかに焦点を当てて研究を行った。
研究方法
1)医療安全研修会参加者を対象に質問紙による調査、2)有床・無床のクリニックの実態について聞き取りと施設見学による調査、3)日本医師会、神奈川県歯科医師会、日本助産師会の医療安全に関わる役員や委員長などからの聞き取り調査、4)日本及び米国・欧州の医療安全研修の取り組みから医療安全研修の考え方の整理、5)研究成果のシンポジウム形式による中間報告を行った。得られた情報を基に検討会方式で結論を得た。質問紙や聞き取り調査では、目的と自由参加であること、情報は匿名性を確保して個人が特定されないように配慮して取り扱う旨文書で説明して同意を得た。情報の公開に当たっては、事前に資料を確認し了解を得たもの、自ら提供のあったものを使用しており倫理的な問題はない。
結果と考察
1.医療安全確保のための研修回数・内容ともに様々で実施状況の差が大きい。2.中小規模でも侵襲性の高い診療を行っている所では、特定機能病院並みの安全確保体制を整えている。3.医療法の改正が手順の整備等安全確保体制整備の契機となった。4.職能団体は医療法の改定を機に中小医療機関の安全確保体制整備の取り組みを強化している。5.中間報告のためのシンポジウムは、マスコミに大きく取り上げられた。これらの結果から、1)中小医療機関の安全確保のための研修はその医療機関が行っている診療内容に応じて実施する必要があり、研修実施場所や方法の検討が重要な課題である。2)有床・無床診療所の医療安全体制確保には、法的整備と院長及び医療安全管理者のリーダーシップが重要であると考察された。
結論
1.中小医療機関を規模と侵襲的な診療の有無によって区分し、区分に応じた安全研修の考え方を明確にした。2.これらの研修を実施し現場の医療安全確保のためには、安全研修のための基本プログラムの策定及び、医療現場における基本的な安全確認行動(ダブルチェック・フルネーム確認など)を統一するなどの標準化が課題である。また、3.インシデント抽出体制や改善策の共有、事例調査など、中小医療機関が得意でないが安全確保のために必要な体制整備には、地域の医療機関の連携や専門職能団体の支援などが必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
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