障害者の支援機器開発におけるモニター評価手法の開発及びモニター評価を実践する人材の育成プログラム開発のための研究

文献情報

文献番号
202118032A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の支援機器開発におけるモニター評価手法の開発及びモニター評価を実践する人材の育成プログラム開発のための研究
課題番号
21GC1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
二瓶 美里(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 西嶋 一智(宮城県 リハビリテーション支援センター)
  • 石井 豊恵(神戸大学 大学院保健学研究科)
  • 森山 英樹(神戸大学 大学院保健学研究科)
  • 内田 智子(神戸大学大学院 保健学研究科)
  • 白銀 暁(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
  • 蜂須賀 知理(有光 知理)(東京大学 大学院情報学環(兼任:大学院新領域創成科学研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 支援機器は、障害者が自立した日常生活を送り、活動や参加を実現するために必要不可欠な道具である。また、利用者の多様化したニーズや障害種別、心身機能特性、生活環境・形態に適用するため、製品化の過程で実際の使用場面に即したモニター評価を行い、機器や運用の改善点を抽出することが重要である。そのため、近年モニター評価を実施するための基盤整備や、評価を行う人材の育成、評価指標の策定などが進められている。
 先行研究では、障害者の自立支援機器の活用及び普及促進に求められる人材育成のための機器選択・活用に関する調査(上野、厚生労働科学研究補助金H30~H31)や、支援機器の適切な選定及び導入運用に向けたガイドライン作成のための調査(井上、同事業H31~H32)などがある。一方、開発過程におけるモニター評価体制に関しても、既存事例や既存の評価指標を用いた調査などが行われている。しかし、実際には次のような問題点があることを認識している。
 第一に、モニター評価は、実際の使用状況を把握することで製作現場では想定できなかった機器の改良につながる気付きを抽出することにある。しかし、気付きは、既存の評価指標では抽出が難しく、評価者のスキルや経験が要求される。そのため、簡便な抽出手法や客観的な指標が必要であると考える。第二に、モニター評価者数や施設数が少ないという問題がある。モニター評価は主要な介護業務とは異なるため、業務負担になる可能性があることや、必要なスキルが明確でないため新規参入が難しいことが要因と考えられる。そのため、モニター評価への参加の阻害要因を明らかにし、評価参加者が意義を共有し、メリットを享受できる方策や枠組みが必要だと考える。第三に、前述の問題点に関係する、評価チームや評価者に要求される役職や職種、知識やスキル、評価項目が明らかでなく、さらに評価チームや評価者個人のスキル向上を図るための人材の育成方法がないという問題がある。
 そこで、本研究では、モニター評価者が、開発段階に応じて使用可能な標準的な評価手法及び機器改良に関連する気づきを抽出することが可能な評価方法と、評価チームに求められる知識やスキルの向上を図るための人材の育成プログラムを開発することを目的とする。なお、ここで対象とする支援機器は、開発者や健常者での機能評価を終えた、想定する利用者によるモニター評価を行う段階の機器とする。
研究方法
 本研究では、モニター評価者が、開発段階に応じて使用可能な標準的な評価手法及び機器改良に関連する気づきを抽出することが可能な評価手法と、評価チームに求められる知識やスキルの向上を図るための人材の育成プログラムを開発することを目的とし、調査及びプレ・ワークショップを実施した。
結果と考察
 気づきの抽出調査、評価ツールの開発では、モニター評価参加した企業へのアンケート調査35件及びインタビュー調査20を実施し、気づきの事例収集や気付きを得るための手法、項目などを整理し纏めた。スキル要件の抽出、能力評価では、モニター評価に評価者として参加したことがある専門職など11名を対象としたヒアリング調査を実施した。評価者全員に求められる二種類の能力が抽出された。医療専門職を対象としたモニター評価参加における各種業務への多面的な影響の調査では、業務への影響やモニター評価手法開発時の要点について示唆を得た。気づきの事例収集調査、モニター評価手法の作成では海外先行事例の成果報告書等関連資料を翻訳して情報収集を実施した。概要把握を行い、モニター評価手法の参考情報として取り纏めた。評価人材育成プログラムの開発ではアンケートおよびヒアリングの実施結果より、職種や必要な知識に基づいた教育プログラムのフレームワーク・デザインが必要であるといことがわかった。
結論
 モニター評価には開発に合わせた多面的で集学的な評価が必要であること、機器の改良に用いる観察的手法は報告されていないが、実態として改良に繋がる気づきの手法に関する暗黙知が存在することがわかった。また、モニター評価体制としては、医療職及び開発者を含むチームアプローチが重要であり、評価チームに求められる能力が基礎的な能力や知識と専門的な能力に二分されることが示された。さらに、医療専門職のモニター評価参画促進には、医療職の職業意識に即した関与のあり方、負担の軽減や公平性の検討についての課題が抽出された。そのため、これらの知見を踏まえた職種別教育プログラムのフレームワークの必要性が指摘された。予備検討のためのプレ・ワークショップからは、それらの必要性を補強する結論が得られた。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し
倫理審査等報告書の写し
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研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,910,000円
(2)補助金確定額
14,910,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,316,342円
人件費・謝金 1,045,740円
旅費 193,496円
その他 6,144,422円
間接経費 3,210,000円
合計 14,910,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-23
更新日
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