肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症の院内発症予防ガイドライン公開後の評価ならびに改定と普及・推進に関する研究

文献情報

文献番号
200835045A
報告書区分
総括
研究課題名
肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症の院内発症予防ガイドライン公開後の評価ならびに改定と普及・推進に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中野 赳(三重大学 三重大学大学院医学系研究科循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 正明(三重大学大学院医学系研究科循環器内科学)
  • 太田 敬(愛知医科大学 血管外科)
  • 小林 隆夫(県西部浜松医療センター、産科婦人科)
  • 左近 賢人(西宮市立中央病院外科、消化器外科学)
  • 瀬尾 憲正(自治医科大学麻酔科学・集中治療医学講座)
  • 冨士 武史(大阪厚生年金病院 整形外科)
  • 中村 真潮(三重大学大学院医学系研究科病態解析内科学)
  • 山田 典一(三重大学大学院医学系研究科循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2004年に発刊されたわが国の初版のVTE予防ガイドラインの改訂を進めるための作業を行う。
研究方法
わが国のVTE予防ガイドラインに改訂のために、初版のガイドライン発刊後の各領域での取り組みや成果を分析し、さらに海外の最新のVTE予防ガイドラインなども分析し、ガイドライン改訂の基礎資料とする。また、わが国のVTE予防ガイドラインの改訂をより診療科横断的なものとするために参画が必要となる学会を検討し、改訂作業に対する協力を要請する。また、わが国の実情をより反映したガイドラインに改訂するための診療ガイドラインの改訂方法を確定する。さらに、各学会から推薦された改訂委員に対して、意識統一の目的で、各領域に共通な問題点に関してアンケート調査を行う。
結果と考察
初版のわが国のVTE予防ガイドラインの発刊後、各領域でのVTE予防は大きく進み、新しい抗凝固薬も使用可能となった。一方で、これまでの方法の限界点も出てきており、またモデルとするACCP予防ガイドラインも改訂となり、ガイドライン改訂の方向性が明らかとなってきた。ガイドライン改訂委員会は、初版の10の学会・研究会に加えて9つの学会が加わることなり、より診療科横断的となった。また、よりわが国の実情を反映し、エビデンスに基づいたガイドラインとするための進め方も確定した。
 一方、ACCP予防ガイドラインの第8版に関しても十分に解析した。リスク分類は3段階となり、より簡便で抗凝固療法が主体のガイドラインとなっている。これらの変更点も含めて、35名の改訂委員に対して、各領域に共通の問題点に関してアンケート調査を行った。簡便な方法への方向性は必要であるものの、初版からの大きな変革は時期尚早との意見が少なくなかった。一方で、新しい薬物を安全に使用した予防法の推進も必要とされた。
結論
VTE予防に関する2004年からの最新の情報を収集・解析し、また診療科横断的で、わが国の実情により合致した予防ガイドラインへの改訂が可能な状況が整備された。

公開日・更新日

公開日
2009-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200835045B
報告書区分
総合
研究課題名
肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症の院内発症予防ガイドライン公開後の評価ならびに改定と普及・推進に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中野 赳(三重大学 三重大学大学院医学系研究科循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2004年に発刊されたわが国の初版の肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症:VTE)予防ガイドラインの改訂を進めるための作業を行う。
研究方法
VTE予防ガイドラインの改定に必要となる下記の事項に関して検討した。
①VTEの臨床・研究の現状と進歩の評価
②各種診療科におけるVTE予防の現状と進歩の検討
③わが国のVTE予防ガイドラインの改訂作業の進め方ならびに組織編成に関する検討
④米国胸部疾患学会(ACCP)のVTE予防ガイドラインの改訂点に関する検討
⑤VTE予防ガイドライン改訂に関するアンケート調査
結果と考察
①理学的予防法に対する理解は深まり明らかに周術期のVTE発症率は減少している。しかし、薬物的予防への抵抗は依然高い。診断は深部静脈血栓症に対しては静脈エコーが、肺血栓塞栓症には肺動脈造影CTが中心となった。治療法では、tPAのモンテプラーゼが保険適応となり、下大静脈フィルターも進歩した。
②多くの施設でVTE予防が積極的に行われるようになり、種々の研究発表もなされつつある。新しい抗凝固療薬の開発も行われ、抗Xa因子阻害薬や低分子量ヘパリンが保険承認された。2008年にはACCPのVTE予防ガイドラインが改訂となっている。
③初版VTEガイドラインへの参加団体は引き続き改訂委員会に参加し、本研究班と協力して作業を進めることとなる。さらに必要な学会に協力を依頼し、現在、19団体から推薦された委員でガイドライン改訂委員会を組織している。
④リスク分類が4段階から3段階となったことであり、より使い易くなった。予防法は、①低リスク=早期離床および”積極的な歩行、②中?高リスク:薬物予防、③出血リスクの高い中?高リスク:理学的予防の大きく3つのグループに分類された。
⑤1)リスク分類、推奨予防法に関しては早急な改変や薬物的予防への傾斜は時期尚早との意見も少なくなかった。2)VTEスクリーニングやVTE発生時の対処法の記載に関しては否定的な意見が多かった。3)特定の院外発症領域への言及の必要性に関しては、社会的にニーズの高い分野は前向きに検討すべきとの意見が半数ほどあった。4)ガイドラインの公開方法に関しては、出版社から発刊した方が、広く普及できるとの意見が多かった。
結論
VTE予防に関する最新の情報を収集・解析し、また診療科横断的で、わが国の実情により合致した予防ガイドラインへの改訂が可能な状況が整備された。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835045C