治療抵抗性統合失調症薬の安全性の検証による望ましい普及と体制構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202118022A
報告書区分
総括
研究課題名
治療抵抗性統合失調症薬の安全性の検証による望ましい普及と体制構築に向けた研究
課題番号
20GC1017
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
上野 雄文(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本 亮太(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神疾患病態研究部)
  • 古川 壽亮(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野)
  • 古郡 規雄(獨協医科大学 医学部)
  • 金沢 徹文(大阪医科薬科大学 神経精神医学教室)
  • 稲田 健(北里大学 医学部 精神科学)
  • 新津 富央(千葉大学 大学院医学研究院 精神医学)
  • 宇野 準二(桶狭間病院藤田こころケアセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,268,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治療抵抗性統合失調症患者へのクロザピンの投与が推奨されているが他の薬物療法に比べて無顆粒球症、糖尿病などの副作用の発現が多く、一旦発症すると致死的になる可能性が指摘されているために専門家でも使用をためらうことが考えられる。また、クロザピン適正使用のガイドラインが非常に厳しく、使用にあたってはCPMSデータベースへの登録が義務付けられており、内科医との連携ができる病院のみに使用が許されている。そのために処方率が極めて低く、治療抵抗性統合失調症患者にとっては唯一の薬物療法であるクロザピンによる治療にあずかることの出来ない症例が多くあると考えられる。この実態を明らかにするために、現在データベースに登録されているクロザピンの処方量、白血球数、好中球数をもとに解析を行い、現状についての理解を深めることが重要と考えられる。現在CPMSに登録されないデータである血中濃度を把握している症例もあり、血中濃度がこのような副作用に与える影響も検討が可能である。また、諸外国の処方の現状を調査することで本邦と諸外国でのクロザピンの処方率の違いが何によって起こるものかを検討する。また患者の側からも何がクロザピン導入の妨げになっているかをアンケートなどによって調査する。このような検討を行うことによって精神科病床に多く入院している治療抵抗性統合失調症患者へのクロザピン導入を現在より施行しやすくすることを目指すものである
研究方法
1.CPMSのデータを解析し現状を把握するとともに課題を研究する。2.欧米での現状を把握し日本との比較を行う。3.血中濃度データから考えるTDMの現状を考察する。4.患者へのアンケートから臨床でのデマンドおよび処方のよりよい方法を模索する。5.施設へのアンケートからクロザピン臨床の現場の状況把握とこれからの体制構築に向けた検討を行う。
結果と考察
国際比較とCPMSデータのシミュレーションから検査間隔の緩和が可能となった。臨床的には大きな意義があると思われる。また血中濃度解析でもモリタリングの重要性が示唆された。アンケートの結果から患者の入院治療に対する考えが明らかになり、施設へのアンケート結果からは血液内科との連携は概ねうまく行われていることがわかり今後は連携が課題となることが分かった。
結論
本研究の国際比較調査とCPMSのの解析にて検査間隔の緩和の基盤となるシミュレーションが行われた。血中濃度ではモリタリングの必要性が示唆された。アンケートからは患者の入院治療に関する考え方が示され、施設では血液内科との連携が概ねうまくいき今後はこの体制を普及させることが重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,531,000円
(2)補助金確定額
7,531,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,509,212円
人件費・謝金 692,338円
旅費 10,680円
その他 2,676,770円
間接経費 1,642,000円
合計 7,531,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
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