EBMに基づいた健康診査の評価とガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
200835041A
報告書区分
総括
研究課題名
EBMに基づいた健康診査の評価とガイドライン作成に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
新保 卓郎(国立国際医療センター研究所 国際臨床研究センター・医療情報解析研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 松井 邦彦(熊本大学医学部 総合臨床研修センター)
  • 徳田 安春(聖路加国際病院)
  • 高橋 理(聖路加国際病院)
  • 福岡 敏雄(倉敷中央病院 教育研修部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は各研究分担者が異なる視点から、健診の評価などにつき考察した。検討課題は、費用対効果(新保)、NICEのガイドライン作成方法(福井)、USPSTFのガイドライン作成方法(松井)、メタボリックシンドローム(Mets)と診断された者の行動変容(徳田)、検査の個人内変動と長期変動からみた適正な健診間隔、医療情報共有のため医療情報評価ツール(福岡)、であった。
研究方法
新保は、決断分析モデルにより複数の健診項目の費用対効果を検討した。福井はNICEの手法につきインタービュー結果を含めて考察した。松井はUSPSTFの方法に関して、日本の現状を考慮し検討した。徳田は人間ドック受診者を対象とし、Mets診断後の生活習慣を検討した。高橋は人間ドック受診者40037名を対象に、4年間の諸検査の変化を検討し、最適測定期間を検討した。福岡は医療情報理解・評価ツールを開発するため、薬剤師を中心とした学習会を月1回程度継続的に行った。
結果と考察
新保の検討では、40歳女性に対する末梢血検査の費用対効果比は$13,100/QALYであった。また40歳男女のMetsに対する健診と生活習慣改善指導は、443万円/QALY、874万円/QALYであった。感度分析では生活習慣改善指導の効果が結果に大きく影響し、現状での精密な評価は困難であった。福井らは問題点として、ガイドラインのみで医師の診療を変えるのは困難、同じガイドラインが立場の違いで異なる使われ方をしている、などを挙げた。松井は重要事項として、対象の明確化、集団に対する視点、エビデンスの確からしさとネットベネフィットによる推奨レベル決定、を挙げた。徳田は、Mets群で診断後でも食生活が健康的ではないことを見出した。高橋の検討では3年目の各検査のS/N比は、TC 0.8, LDL 0.99, HDL 0.7, TC/LDL 1.6, LDL/HDL 1.5であった。3年程度の受診間隔が適切と推測した。福岡はセミナー参加者からのフィードバックや日本薬剤師会学術大会での使用経験を踏まえて、ガイド付きチェックシート、医療情報の利用に関わるスライド、資料などを作成した。
結論
各研究分担者の検討は、健診のガイドライン作成にあたって、底流をなす基本的重要事項である。特に生活習慣改善指導の効果については、早急な評価が必要と考えられた。これらの検討結果を活かしつつ、今後のガイドライン作成を進めたい。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-