日本版EHR(生涯健康医療電子記録)の実現に向けた研究

文献情報

文献番号
200835039A
報告書区分
総括
研究課題名
日本版EHR(生涯健康医療電子記録)の実現に向けた研究
課題番号
H19-医療・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田中 博(東京医科歯科大学 情報処理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 通男(浜松医科大学)
  • 山本 隆一(東京大学)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学)
  • 野川 裕記(東京医科歯科大学)
  • 中谷 純(東京医科歯科大学)
  • 宮本 正喜(兵庫医科大学)
  • 原 量宏(香川大学)
  • 吉田 純(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院)
  • 辰巳 治之(札幌医科大学)
  • 岡本 悦司(国立保健医療科学院)
  • 信友 浩一(九州大学)
  • 永田 宏(鈴鹿医療科学大学)
  • 秋山 昌範(東京医科大学)
  • 土屋 文人(東京医科歯科大学 )
  • 折井 孝男(NTT東日本関東病院)
  • 秋山 美紀(慶應義塾大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「生涯健康医療電子記録(EHR: Electronic Health Record)」は国民が自らの健康管理・疾病予防を可能とし、データに基づく国民の疾病予防、医療の効率化に寄与する。日本版EHRの実現に向け、我国の医療制度・医療社会を考究し実現形態に関して社会エンジニアリング、技術、物流的基礎、医療政策、国民経済等多層的かつ集学的に解明する。
研究方法
本研究では標準化・セキュリティ、地域医療連携、医療経済、評価・シミュレーションの4分科会により進める。2年度は実態調査や小規模実証、3年度は日本版EHR実現への全体像とガイドライン策定を予定する。
結果と考察
【標準化・セキュリティ分科会】日本版EHRに対する国民の受容性や理想のあり方を明らかにするために一般人を中心とした医療ITへの意識調査を行った。結果としては、医療のIT化への期待は、検査・投薬の重複防止、医療費削減、医療レベルの底上げ、説明の充実が高いことがわかった。【地域医療連携分科会】医療連携の実態とICTの導入状況を調べるためにアンケ-ト調査、地域医療連携のためにシステム的に具体的なICTの利用についての検討、保険医療計画に対する各県の取り組み状況の調査、疾病管理による二次予防をめざす地域医療連携を基盤とするEHRについて基礎検討するための糖尿病連携パスを構築と運用を行った。これらの結果、我が国の医療の現状が解明され、連携医療体制課題、これらの課題解決のために日本版EHRの必要性を明らかにした。【医療経済分科会】医療経済分科会では、特定保健指導が医療費に与える影響について、電子化された健診データとレセプトデータをリンクして評価する手法の確立を目指し、特定保健指導の医療費への影響を「後ろ向き」に評価する観察研究と糖尿病治療中患者に対する保健指導の医療費への影響を「前向き」に評価する介入研究を行った。【評価・シミュレーション分科会】マーケティングやシステムダイナミクス等のシミュレーション手法を応用し、患者満足度調査による利用者視点の評価軸開発、効果シミュレーションを行う。本年度は「信頼」にソーシャルネットワークが有用であり「アドボカシー・マーケティング」手法を有用とした。システムダイナミクスモデルによる業務分析シミュレーションにより病院の費用削減、患者安全の向上、病院職員の管理改善に影響を与える対策を可能とした。
結論
本研究を通じて、我が国の医療のintegrity、地域医療の生涯健康医療からの実現、最終的に医療費の適正化、国民の医療行政に対する理解の向上等に寄与することができる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
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