若年看護師向け医療安全教育へのeラーニングの活用

文献情報

文献番号
200835035A
報告書区分
総括
研究課題名
若年看護師向け医療安全教育へのeラーニングの活用
課題番号
H19-医療・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
川村 治子(杏林大学 保健学部救急救命学科)
研究分担者(所属機関)
  • 八重樫 文(立命館大学経営学部 環境・デザインインスティチュート)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年度より、若年看護師がOJTでの技術習得に合わせて、業務上必要な危険知識を飽きずに楽しくinteractiveに自己学習できる医療安全eラーニングシステム(『e-アプリコットナース』と命名)を開発してきた。今年度は、昨年度の成果をもとに注射業務に関する医療安全eラーニングシステムを完成させ、学習効果を評価する。
研究方法
昨年度開発した『e-アプリコットナース』プロトタイプの形成的評価での改善点を修正するとともに、学習への能動性・継続性を担保するためのネットワーク機能を実装した。学習サイトで提供する注射業務に関する30の授業動画を開発し、『e-アプリコットナース』を完成させた。そして、卒後2年以内の若年看護師10名に授業動画10個を閲覧させ、質問紙による閲覧前後での危険知識習得度の変化や学習やデザインに関する意見とインタビューから学習効果を評価した。
結果と考察
『e-アプリコットナース』で提供される注射業務の授業動画は、キャラクターの講師と学習者が発問―回答を繰り返しながら、業務プロセスでの危険とその理由、逸脱によっておきる結果について、事例や薬剤写真を展開させながら学習する形になっている。昨年度の形成的評価をうけて、動画閲覧部分の操作性を改善し、講師キャラクターを動物(ブタ)を含む5キャラクターに増やし、個性に応じた会話や動きを盛り込み表現力を高めた。また、より深く学びたい学習者への配慮として、補助教材を随時展開できるよう画面上にリンクを張るなどの修正を行った。若年看護師10名による評価実験では、動画閲覧前後の危険知識習得度の変化や自由記載から学習効果が認められた。また、個性的な講師キャラクターの生き生きした表情やセリフ、効果音などにより被験者が飽きずに集中できたことが伺われた。本評価はパイロット的な評価ではあるものの、『e-アプリコットナース』が、実務的でユーザが能動的、継続的に学習できる医療安全eラーニングシステムであることが示唆され、研究目的が達成できた。今後本格運用により評価を行う予定である。本システムはインターネット上で多施設と共有することや、高度のITスキルがなくても授業動画を作成できるなど、汎用性を目指したシステムとなっており、今後の医療安全教育・学習手段として貢献すると思われた。
結論
若年看護師がOJTでの技術習得に合わせて、注射業務上必要な危険知識を飽きずに楽しくinteractiveに自己学習できる多施設共有型の医療安全eラーニングシステムを開発し、学習効果が認められた。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
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