歯科医療における院内感染対策の評価指標の開発と有効性の検証

文献情報

文献番号
200835033A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医療における院内感染対策の評価指標の開発と有効性の検証
課題番号
H19-医療・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
泉福 英信(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 公文裕巳(岡山大学医学部 泌尿器病態学)
  • 高柴正悟(岡山大学歯学部 歯周病態学)
  • 狩山玲子(岡山大学医学部 泌尿器病態学)
  • 苔口 進(岡山大学歯学部 口腔微生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
唾液や血液が飛び散る歯科医療において、歯科医師の院内感染対策に対する意識が低いにもかかわらず、その指標や明確な基準が示されていない。本研究は、歯科医療における院内感染防止システムを構築するために、客観的な評価指標および基準を開発し、その有効性を病院歯科および一般歯科において検証していくことを目的とし検討を行った。
研究方法
1.デンタルユニット内循環水を用いた検査システムの評価方法の開発および評価基準の作成、2.歯科診療における院内感染対策の意識、知識、行動調査とその分析を利用した院内感染の評価指標の確立、3.バイオフィルム形成菌および形成指標の開発、4.院内感染における薬剤耐性菌の評価指標の開発、5.歯周病診療における院内感染、6.院内感染の評価指標の細菌学的検証の6つの研究班を構築して、アンケートおよび聞き取り調査、細菌検査等を検討し、その分析を行った。
結果と考察
デンタルユニット作製会社における院内感染対策の取り組みでは、給水系に対する対策は不十分でありかつそれぞれが個々の対応に終始しており、統一された基準が示されていなかった。評価指標の開発では、院内感染対策の講習会への参加、スタッフへの教育、防護用メガネ、グローブの使用、問診票の作成が全体の院内感染対策に影響を与えることから、この4つの質問項目を軸にして有効な院内感染対策の指標を作成していくことが重要であると考えられた。また、ネームカードホルダーの汚染検査や細菌叢の検査としてのT-RFLP法は指標として有効性であることを指摘した。多剤耐性菌の伝播・拡散防止には、バイオフィルムを形成させないための医療・療養環境の管理および口腔ケアが有効であることも指摘した。院内感染対策の大学教育の充実として、研修歯科医師に対する指導環境の統一および感染防止対策講習や実践教育の充実が望まれた。
結論
院内感染対策の評価指標には、統一されたデンタルユニット給水系汚染防止システム、歯科医師が比較的に容易にできる院内感染対策の講習会への参加、スタッフへの教育、防護用メガネ、グローブの使用、問診票の作成、ネームカードホルダーの汚染検検査、医療環境の整備、口腔ケアの客観的評価が有効であることが明らかとなった。大学教育として、研修歯科医師への指導、講習、実践教育の統一が必要であった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-03
更新日
-