医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用

文献情報

文献番号
200835028A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用
課題番号
H19-医療・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院 政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 平尾 智広(香川大学 医学部)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学大学院 医療経営管理)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部付属病院 安全管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全活動の評価が求められている。特に医療安全活動の推進には安全文化の醸成が必須であるが、それを評価するツールはまだない。また、医療安全活動の最終的な目標は有害事象発生の予防であるが、その有効な測定手法である診療録のレビューは、資源と経験を要するためほとんど実施されていない。そこで医療安全活動の評価をソフト面(安全文化測定)とハード面(有害事象把握)から包括的に行う手法・ツールの開発を目的とした。2年目である今年度は、継続して評価手法・ツールを改良し、安全文化を醸成する有効な医療安全研修のあり方や組織体制の検討を行った。
研究方法
(1)前年度の安全文化測定結果の分析と、継続して質問項目の改善を、言語学・翻訳学などの専門家の協力を得て行った。また、これまで安全文化の測定を実施した病院を対象にしたアンケートや、医療安全研修の現状を調査し、安全文化を高め得る研修を検討した。(2)簡便な有害事象把握手法の開発を目的にa. 先行研究で用いたカルテレビュー項目を見直して作成した手法の評価、b. 近年北米を中心に開発が進むGTT(Global Trigger Tool)日本版の作成と試行、c. 手術関連有害事象の把握手法の開発を行なった。
結果と考察
(1)安全文化測定ツールの改善と前年度実施結果を参加施設へフィードバックした。分析の結果、常勤・非常勤職員のインシデント報告頻度の違いや、職種間のコミュニケーションの違いなどが示唆された。研修の現状調査では参加施設の実施研修をまとめ有益な情報が得られた。(2)簡便な有害事象把握手法についてa. 新しい調査基準によるカルテレビューでは感度・特異度ともに高値を示したが、現場での実行性を鑑みるとさらなる改善が必要と考えられた。b. GTT日本版は現時点では概ね良好の結果が得られており、わが国に導入・普及するに値するものと考えられた。c. 手術関連有害事象の把握手法としてIHI Surgical Trigger Toolによる遡及的診療記録レビューが活用できること、術後抗生剤使用期間を診療録抽出の指標とすると効率のよい有害事象の把握が可能であることが示唆された。
結論
本年度は医療安全活動評価ツールの改良と、安全文化を醸成する有効な研修のあり方を検討した。次年度では、継続して医療安全の評価手法そして安全文化を醸成する研修手法や組織体制を検討し、提案する。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-