文献情報
文献番号
202118001A
報告書区分
総括
研究課題名
聴覚障害児に対する人工内耳植込術施行前後の効果的な療育手法の開発等に資する研究
課題番号
19GC1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 晴雄(国立大学法人長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 三浦 清徳(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
- 森内 浩幸(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学専攻感染症免疫学講座感染病態制御学分野)
- 堀内 伊吹(長崎大学教育学部)
- 宇佐美 真一(国立大学法人信州大学 医学部)
- 岩崎 聡(国際医療福祉大学三田病院耳鼻咽喉科)
- 高木 明(静岡県立総合病院)
- 樫尾 明憲(東京大学医学部附属病院)
- 南 修司郎(国立病院機構 東京医療センター 聴覚平衡覚研究部)
- 城間 将江(国際医療福祉大学 保健学部)
- 吉田 晴郎(長崎大学大学院医歯薬総合研究科 耳鼻咽喉・頭頚部外科学分野)
- 神田 幸彦(医療法人 萌悠会 耳鼻咽喉科 神田E・N・T医院、長崎ベルヒアリングセンター)
- 佐藤 智生(長崎大学 医歯薬学総合研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学)
- 小渕 千絵(国際医療福祉大学 保健医療学部 言語聴覚学科)
- 北 義子(武蔵野大学 人間科学部 人間科学科 専攻科 言語聴覚士養成課程 )
- 伊藤 真人(国立大学法人金沢大学医薬保健研究域医学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
15,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、高度難聴児に対する人工内耳(CI)前後の効果的な療育体制の構築のために必要なガイドライン(GL)等を作成して、広く国内に周知することである。
研究方法
1.難聴児に対する早期介入手法等の海外諸国で実態調査を行う。
2.CI埋込術施行後の適切な療育手法に係るGLの作成
3.新生児聴覚検査(新スク)で難聴が疑われた患児・家族のための適切な情報提供に資するパンフレットの作成
4.CI植込術施行後の効果的療育に係る好事例の収集
5.成人の先天性難聴症例に対するCI植込術の効果に関する新たな知見の収集
6.新スクで難聴が疑われ、あるいはその後難聴が確定した患児・家族のための、療育を見据えたロードマップの作成
2.CI埋込術施行後の適切な療育手法に係るGLの作成
3.新生児聴覚検査(新スク)で難聴が疑われた患児・家族のための適切な情報提供に資するパンフレットの作成
4.CI植込術施行後の効果的療育に係る好事例の収集
5.成人の先天性難聴症例に対するCI植込術の効果に関する新たな知見の収集
6.新スクで難聴が疑われ、あるいはその後難聴が確定した患児・家族のための、療育を見据えたロードマップの作成
結果と考察
1.海外視察では、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)耳鼻咽喉科および難聴児の療育施設や学校を視察し、その成果を論文発表した(耳鼻臨床 113; 605-613, 2020)。
2.当該文献の広汎なシステマティックレビューを行い、15のクリニカルクエスチョン(CQ)と11の解説項目を含むGLが完成し、難聴児の最適の療育開始時期・方法や最適なCIの適応決定時期、音声言語獲得に適した療育法と手話併用の優位性の有無等がわかった。
3.難聴児と保護者の抱える、今後の療育や支援など当面のさまざまな疑問に答えるためのパンフレットを、新スクで要再検となった場合とその後難聴が確定診断された場合の2種類にわけて完成し、それぞれ前者は全国の産院に、後者は精密聴覚検査機関に常設するように配布した。
4.上記4、5の研究に関しては、国内の主なる約30の難聴児療育施設から、それぞれ約113例、70例の症例データが収集され、それを分析して小冊子を作成し、難聴児の最良の音声言語療育方法確立の資料となるように全国の医育・療育機関や自治体に配布した。
5.高度・重度難聴児のために特にCIを考慮した検査、治療、療育などを、どの時期にどういう風に進めていくかについての概要を示したロードマップを作成でき、これによりCIを選択された保護者やお子さん方が、それぞれの状況に応じて適切にCIを活用してより豊かに成長し、自信をもって社会参加できる援助となること考えられた。
2.当該文献の広汎なシステマティックレビューを行い、15のクリニカルクエスチョン(CQ)と11の解説項目を含むGLが完成し、難聴児の最適の療育開始時期・方法や最適なCIの適応決定時期、音声言語獲得に適した療育法と手話併用の優位性の有無等がわかった。
3.難聴児と保護者の抱える、今後の療育や支援など当面のさまざまな疑問に答えるためのパンフレットを、新スクで要再検となった場合とその後難聴が確定診断された場合の2種類にわけて完成し、それぞれ前者は全国の産院に、後者は精密聴覚検査機関に常設するように配布した。
4.上記4、5の研究に関しては、国内の主なる約30の難聴児療育施設から、それぞれ約113例、70例の症例データが収集され、それを分析して小冊子を作成し、難聴児の最良の音声言語療育方法確立の資料となるように全国の医育・療育機関や自治体に配布した。
5.高度・重度難聴児のために特にCIを考慮した検査、治療、療育などを、どの時期にどういう風に進めていくかについての概要を示したロードマップを作成でき、これによりCIを選択された保護者やお子さん方が、それぞれの状況に応じて適切にCIを活用してより豊かに成長し、自信をもって社会参加できる援助となること考えられた。
結論
以上の研究より下記のような結論を得た。
1.我が国で非常に少ない聴覚専門の言語聴覚士(ST)の養成が必須であること
2.新スクを法制化・無料化することが急務であること
3.新スクをより徹底して難聴の早期診断に努め、難聴診断後は可及的速やかに聴覚活用療育を開始すること、および必要な場合は1歳までには少なくともCIの要否の検討を始めることが重要であること
4.先天性難聴の成人・青年例でも小児期から聴覚を活用した音声言語療育を受けた例や、小児期にはある程度聴こえていた進行性難聴例では、CIは適応外ではないこと
5.先天性難聴児及び保護者には、ロードマップなどにより可及的速やかにその後の療育や支援の案内が必要であることなどがわかった。
1.我が国で非常に少ない聴覚専門の言語聴覚士(ST)の養成が必須であること
2.新スクを法制化・無料化することが急務であること
3.新スクをより徹底して難聴の早期診断に努め、難聴診断後は可及的速やかに聴覚活用療育を開始すること、および必要な場合は1歳までには少なくともCIの要否の検討を始めることが重要であること
4.先天性難聴の成人・青年例でも小児期から聴覚を活用した音声言語療育を受けた例や、小児期にはある程度聴こえていた進行性難聴例では、CIは適応外ではないこと
5.先天性難聴児及び保護者には、ロードマップなどにより可及的速やかにその後の療育や支援の案内が必要であることなどがわかった。
公開日・更新日
公開日
2023-01-17
更新日
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