標準的電子カルテ基盤上での医療安全の実現と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200835023A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的電子カルテ基盤上での医療安全の実現と評価に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-028
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(国立大学法人 浜松医科大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 作佐部 太也(藤田保健衛生大学医療科学部臨床工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
感染症の疾病報告などの有害事象の報告の電子化、効率化、迅速化を目指して、報告形式を国際的医療情報標準規格HL7に基づいて定め、これを用いて報告書を簡便に作成するシステムを構築、更に、関係各所からの報告を集計し、検索をおこなうシステムを構築する。
研究方法
昨年度までに異常な検査結果、処方などを定期的に自動で検索し、注意を与えるメールを配信するシステムは構築され、浜松医大病院で実際に運用されている。これをさらに拡げて、今まで本臨床情報検索システムでは扱い得なかった所見情報などを含んだ有害事象報告書の文書形式を国際的医療情報規格、HL7 CDA R2に準拠して策定し、ほぼ、自動で検査結果、処方を取り込んで報告書を作成するシステムを構築した。一方、前年度までに構築された異常な検査結果、処方の自動検索データベースは、今後、多施設からの報告を受けることを想定し、多施設対応改造を行った。
結果と考察
この研究の前提となる基盤である静岡県版電子カルテプロジェクトにおいて、電子紹介状の形式は、策定されており、厚生労働省標準的医療情報交換推進事業SS-MIXとして発展している。この形式は、保健医療福祉情報システム工業会標準規格、更には、医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)でも推奨規格として認定されている。これに準拠した形で作成された報告書規格、及び、これを簡易に作成する今回構築したシステムは、検査結果や処方情報の取り込みの簡易さが評価されたと共に治験・臨床研究分野の標準規格制定団体であるCDISCの定例総会CDISC International Interchange(於:米国ワシントンDC、10月 デモ発表)にて、基本的な情報の掃き出し規格が定まっていることについて、国際的にも高い評価を受けた。
結論
医療安全に資する、有害事象報告の形式を国際的医療情報標準規格HL7に準拠して作成し、実装した結果、病院情報システムから検査結果、処方などの情報を得て、容易に報告書を作成できた。これについて、治験・臨床研究規格制定団体CDISC総会でデモ発表を行い、その簡便性、標準化が国際的にも評価された。この方法は、疾病登録、感染症報告の今後の効率化、簡便化、迅速化に大いに寄与すると考える。異常検査結果や処方の自動検出を前年度に実現できた臨床情報検索システムについては、報告書の収集の多施設対応の改造を行い、多施設からの情報を集計、検索することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200835023B
報告書区分
総合
研究課題名
標準的電子カルテ基盤上での医療安全の実現と評価に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-028
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(国立大学法人 浜松医科大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 作佐部 太也(藤田保健衛生大学医療科学部臨床工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
静岡県版電子カルテシステムプロジェクトで採用されたような医療情報標準的形式による医療情報システム基盤により、疾病対策や医療安全の推進を図ることを目的とした。
研究方法
18年度は、標準形式を出力するコード変換の可否を 調査し、医療情報システムによる医療安全貢献例、インシデント誘起例のアンケート調査を行った。19年度は、疾病対策になる文書作成システムを医療情報国際的標準規格、HL7 CDA R2で作成した。また、静岡県下病院を対象にアンケート調査を行い、作成した機能の利用の可能性を調査した。20年度は、更に、有害事象を報告するための文書形式(検査結果、処方内容などを含む)もHL7 CDA R2規格で定め、これを浜松医科大学病院での病院情報システムから常時情報を得ている静岡県版ゲートウエイ(SS-MIX標準ストレージと同じ)から処方、検査結果などを半自動でインポートし、作成を簡易にするシステムを構築した。最後に、報告書を集計するために前年度構築した臨床情報検索システムを多施設対応とした。
結果と考察
(18年度)オーダエントリシステムによる医療安全への貢献度は、予想通り高かったが、他方で起こるインシデントも意外に多かった。(19年度)浜松医科大学病院での日々の処方、注射、検体検査のデータをもとに特定薬剤使用、特定検査結果、及び、これらの複合、時系列の自動チェックによりメールで報告するシステムを実現した。(20年度)3年間の研究成果として、有害事象の報告の効率化、簡便化、迅速化を実現する技術的基盤が構築された。
結論
オーダエントリシステムの医療安全への貢献に関しては、予想通り高かったが、意外に多くの問題があることも判明した。医療情報システムだけでは、安全性は、十分に上がらず、人間系+情報システム系の協調、あるいはこのふたつのダブルチェックこそが医療安全対策として目指すべきものであると考える。指定薬剤使用(投与開始、あるいは定量人数以上)、指定検査結果、更にそれらの複合のモニタは、浜松医科大学病院薬剤部で運用され好評を得ている。構築できたシステムによるモニタの自動化、更には、報告するシステム、及び、複合、時系列(投与後2週間の検査結果など)で自動チェックが行われていることは、特筆すべき点であろう。最終年度の有害事象報告作成システムにおける効率化、簡便化、迅速化、更に、これらの多施設からの集計を実現したことは、今後の関係各所の報告書作成の応用に多いに寄与することとなろう。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835023C