文献情報
文献番号
202117003A
報告書区分
総括
研究課題名
人工知能を活用した行動・心理症状の予防と早期発見、適切な対応方法を提案する認知症対応支援システムの開発と導入プログラムに関する研究
課題番号
19GB1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
小川 朝生(国立研究開発法人国立がん研究センター 先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野)
研究分担者(所属機関)
- 平井 啓(大阪大学大学院 人間科学研究科)
- 谷向 仁(京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻)
- 高橋 晶(筑波大学 医学医療系 災害・地域精神医学)
- 中西 三春(東北大学 医学系研究科)
- 井上 真一郎(岡山大学病院 精神科神経科)
- 上村 恵一(国家公務員共済組合連合会 斗南病院)
- 深堀 浩樹(慶應義塾大学看護医療学部)
- 榎戸 正則(国立がん研究センター東病院精神腫瘍科)
- 竹下 修由(国立がん研究センター東病院 機器開発推進室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、全国の認知症ケアチーム・緩和ケアチームによる認知症高齢者への評価・対応を学習モデルとした人工知能を開発し、有効性の検証された教育プログラムと安全な運用プログラムとあわせて検証・実装することにより、病院を中心とする看護・介護の現場での認知機能の低下やせん妄の予防・早期発見、行動心理症状への適切な対応方法を確立する点にある。
認知症高齢者の多くは、身体的問題を持ちつつ過ごしている。そのため、認知機能の低下や行動心理症状の評価・対応を行う上で、身体疾患やせん妄、痛み等の身体的苦痛、薬剤を含めた評価が必要である。しかし、包括的な評価と判断は臨床経験に基づく個別判断が中心で、手法が確立していない現状がある。後期高齢者の増加を迎え、認知症高齢者の行動的な変化と共に、身体的な治療や身体症状の変化をとらえ、精神症状や薬物とあわせて評価判断する専門的知識と臨床経験の普及が緊急の課題である。
認知症高齢者の多くは、身体的問題を持ちつつ過ごしている。そのため、認知機能の低下や行動心理症状の評価・対応を行う上で、身体疾患やせん妄、痛み等の身体的苦痛、薬剤を含めた評価が必要である。しかし、包括的な評価と判断は臨床経験に基づく個別判断が中心で、手法が確立していない現状がある。後期高齢者の増加を迎え、認知症高齢者の行動的な変化と共に、身体的な治療や身体症状の変化をとらえ、精神症状や薬物とあわせて評価判断する専門的知識と臨床経験の普及が緊急の課題である。
研究方法
1. 認知症ケアチーム・病棟看護師に対するAI支援システムの開発
1) 認知症の人に対する安全で効果的な看護手法の開発
法情報総合データベースであるD1-law.comを用いて、収集した身体拘束について争われた裁判例(精神科を除く)についての質的内容分析、身体拘束に係わる判例について検討した医学論文について文献検討を継続した。
2) 技術導入に対する医療従事者と当事者・家族の認識の比較
認知症ケアに関する新規の技術導入に関する医療者、当事者、家族の認識の差異を日本、オランダ、ドイツ、スイス、イスラエル、米国の6か国による国際共同研究を実施した。
3) 一般病院における認知症対応の実態把握
認知症ケアチームを全国から10-20チーム程度募って、その症状と対応(身体症状への対応含めて)についてのデータ作りを行った。
4) AI支援システムの開発
認知症の人の一般診療場面における身体症状・精神症状評価とそれに対応した介入・支援とその結果を包括的に収集し、機械学習に向けた症例データベースを構築し、DPCデータ等と診療記録を組み合わせ、BPSD、せん妄の予測が可能か、技術開発とともに探索的に検討した。
2. AIシステム支援を導入した一般病棟での認知症対応プログラムの試行
AI支援システムと、教育プログラムを連携させ、効果的なケアを実践するための運用プログラムを開発しその有効性を検討した。
3. 行動科学に基づく効果的な認知症ケア教育プログラムの開発
意思決定支援における有効な手法について、意思決定の可否に加え、意思決定の結果、根治を選択するのか・現在の生活維持を選択するのかといった決定の種類に資するような支援について解析を加えた。
1) 認知症の人に対する安全で効果的な看護手法の開発
法情報総合データベースであるD1-law.comを用いて、収集した身体拘束について争われた裁判例(精神科を除く)についての質的内容分析、身体拘束に係わる判例について検討した医学論文について文献検討を継続した。
2) 技術導入に対する医療従事者と当事者・家族の認識の比較
認知症ケアに関する新規の技術導入に関する医療者、当事者、家族の認識の差異を日本、オランダ、ドイツ、スイス、イスラエル、米国の6か国による国際共同研究を実施した。
3) 一般病院における認知症対応の実態把握
認知症ケアチームを全国から10-20チーム程度募って、その症状と対応(身体症状への対応含めて)についてのデータ作りを行った。
4) AI支援システムの開発
認知症の人の一般診療場面における身体症状・精神症状評価とそれに対応した介入・支援とその結果を包括的に収集し、機械学習に向けた症例データベースを構築し、DPCデータ等と診療記録を組み合わせ、BPSD、せん妄の予測が可能か、技術開発とともに探索的に検討した。
2. AIシステム支援を導入した一般病棟での認知症対応プログラムの試行
AI支援システムと、教育プログラムを連携させ、効果的なケアを実践するための運用プログラムを開発しその有効性を検討した。
3. 行動科学に基づく効果的な認知症ケア教育プログラムの開発
意思決定支援における有効な手法について、意思決定の可否に加え、意思決定の結果、根治を選択するのか・現在の生活維持を選択するのかといった決定の種類に資するような支援について解析を加えた。
結果と考察
1. 認知症ケアチーム・病棟看護師に対するAI支援システムの開発
1) 認知症の人に対する安全で効果的な看護手法の開発
患者・家族の主張、病院・施設の主張、裁判所の判断についての概念が抽出され、裁判例間での比較を行うための表を作成した。
2) 技術導入に対する医療従事者と当事者・家族の認識の比較
日本語版の見直しを行い、最終確定した。また当事者への調査説明に使用する動画の日本語版を作成するため、確定した日本語版ナレーションに沿って日本人による音声の録音を実施し、動画の日本語版を完成させた。
3) 一般病院における認知症対応の実態把握
認知症ケアチームにおいて困難な事例に関して、明確になった点は困難な症状として調整困難なせん妄、幻覚、妄想、易怒性、不穏、BPSD、暴力、暴言、調整困難な不眠、病識欠如・病状理解がない、食欲低下があった。
4) AI支援システムの開発
患者の基本データとテンプレートのデータを使用し、ランダムフォレストを用いてモデルの作成をおこなった。
2. AIシステム支援を導入した一般病棟での認知症対応プログラムの試行
プログラム受講者194名の日本語版身体抑制認識尺度の総得点は、36.7点であり先行研究における一般病棟の看護師平均得点52.5点よりも低い(身体拘束をしない傾向にある)ことが推測された。
3. 行動科学に基づく効果的な認知症ケア教育プログラムの開発
「生活維持」と同じく、「根治」でも、「a_1 乳がん」が大きな影響を与えていることがわかった。
1) 認知症の人に対する安全で効果的な看護手法の開発
患者・家族の主張、病院・施設の主張、裁判所の判断についての概念が抽出され、裁判例間での比較を行うための表を作成した。
2) 技術導入に対する医療従事者と当事者・家族の認識の比較
日本語版の見直しを行い、最終確定した。また当事者への調査説明に使用する動画の日本語版を作成するため、確定した日本語版ナレーションに沿って日本人による音声の録音を実施し、動画の日本語版を完成させた。
3) 一般病院における認知症対応の実態把握
認知症ケアチームにおいて困難な事例に関して、明確になった点は困難な症状として調整困難なせん妄、幻覚、妄想、易怒性、不穏、BPSD、暴力、暴言、調整困難な不眠、病識欠如・病状理解がない、食欲低下があった。
4) AI支援システムの開発
患者の基本データとテンプレートのデータを使用し、ランダムフォレストを用いてモデルの作成をおこなった。
2. AIシステム支援を導入した一般病棟での認知症対応プログラムの試行
プログラム受講者194名の日本語版身体抑制認識尺度の総得点は、36.7点であり先行研究における一般病棟の看護師平均得点52.5点よりも低い(身体拘束をしない傾向にある)ことが推測された。
3. 行動科学に基づく効果的な認知症ケア教育プログラムの開発
「生活維持」と同じく、「根治」でも、「a_1 乳がん」が大きな影響を与えていることがわかった。
結論
本年度は急性期医療における認知症対応の実態把握をすすめながら、AIシステムの応用可能性、臨床介入の効果検証を行った。急性期医療における認知症ケアの向上には、AIシステムに加えて、身体拘束や意思決定支援等の倫理的な教育プログラムを含む必要性が確認された。
公開日・更新日
公開日
2022-08-23
更新日
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