自立支援に資する介護等の類型化及びエビデンスの体系的な整理に関する研究

文献情報

文献番号
202116012A
報告書区分
総括
研究課題名
自立支援に資する介護等の類型化及びエビデンスの体系的な整理に関する研究
課題番号
21GA2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
  • 田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
  • 福井 小紀子(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
  • 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 藤本 賢治(産業医科大学産業保健データサイエンスセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
A. 研究目的: 本研究では、自立的介護を促進するために、どのような情報を収集・分析することが適切であるのか、それを用いてどのようなケアプラン上の配慮を行えばよいのかについての資料を整理する目的で、自治体の保有する医療保険及び介護保険のレセプトと介護認定調査票のデータの分析及び施設の訪問調査を行った。
研究方法
本研究はは2種類のデータを用いて検討を行った。第一のデータは東日本の1自治体における2014年から2020年度の国民健康保険及び後期高齢者医療制度、生活保護のレセプト及び介護レセプトのデータと介護認定調査票データである。レセプトについては個人単位で連結して、医療・介護サービスの利用状況が時系列で分析出来る仕様とした。第二のデータは西日本の1自治体における平成26(2014)年度・27年(2015)度の日常生活圏域ニーズ調査である。この自治体では匿名化したIDを用いて、日常生活圏域ニーズ調査これらのデータを個人別に追跡できる仕様となっている。以上のデータを用いて、以下の研究を行った。
1) 介護認定調査票情報及び医療・介護レセプトを用いた自立度の悪化に関連する要因の分析
2) 介護認定調査票及び医療保険・介護保険レセプトのパネルデータを用いた要介護度の悪化に関連する要因の分析
3) 年齢階級別にみた在宅医療の現状に関する検討
4) 訪問診療の提供量に関連する要因の生態学的研究
5) 日常生活圏域ニーズ調査を用いた高齢者の自立度の悪化に関連する要因の分析
結果と考察
介護予防の目的は(1)介護予防における一次予防:活動的な状態から要介護前の虚弱状態に陥ることを防ぐ、(2)介護予防における二次予防:要介護前の虚弱高齢者が要介護状態に陥ることを防ぐ、および(3)介護予防における三次予防:要支援・要介護高齢者のADL悪化を防ぐ、の3つに整理される。本研究の結果、上記(1)、(2)に対しては下肢筋力の維持向上、閉じこもりの防止、意欲の向上を目的としたポピュレーションアプローチと健康教室等を活用したハイポピュレーションを適切に組み合わせることが重要であると結論された。また、すでに沖らかとなっている知見をもとに、介護予防や自立に向けた住民の行動変容を促すための情報戦略が必要であると考えられた。そのためには、老年医学、リハビリテーション医学、生理学といった医学系の科学領域の知見以外に、コミュニケーション学や行動科学、ソーシャルマーケティングの視点も含めた学際的なアプローチが求められている。上記(3)については、肺炎や心不全の悪化など、一般病棟への入院を要するような急性期ベントの発生予防のためのケアマネジメントが必要であることが考察された。ただし、年齢が要介護度の悪化にもっとも影響していることを考えると、いきがいや幸福度の維持のようなアウトカム指標の設定が必要であると考えられた。
結論
本研究によって、高齢者の自立度の低下には、筋力低下、栄養状況の悪化、閉じこもり、意欲の低下、入院を必要とするような急性期イベント(肺炎や心不全増悪など)を予防するケアマネジメントが個人レベル、施設レベル、地域レベルで必要であることが確認された。これらの知見はこれまでの研究ですでに明らかになっているものである。したがって、問題はこうした知見を地域の中高年の住民の日常生活における行動の変容につなげるような情報戦略を含めたポピュレーションアプローチが必要である。次年度の研究ではこの点にも着目して、好事例のシステムとしての研究なども行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-02-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-02-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202116012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,990,000円
差引額 [(1)-(2)]
10,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,563,924円
人件費・謝金 2,489,640円
旅費 195,020円
その他 3,972,416円
間接経費 2,769,000円
合計 11,990,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
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